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ソードアート・オンライン~漆黒の剣聖~

作者:字伏
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アインクラッド編~頂に立つ存在~
  第十五話 結ばれる思い

五十五層クランザムにあるKoBの本部にルナはいた。アスナのように攻略に狂ったように励むのはルナのスタイルではないため、今日は留守番という訳である。

「・・・はぁ~・・・」

秘湯での出来事から数日が立つが、あの時のソレイユの行動の意味をルナは理解できないでいた。

「・・・どういう意味なんだろ・・・?」

ソレイユがルナの耳元でささやいた言葉について悩んでいた。その時の言葉を思い出し、ついその言葉を口ずさんでいた。

「Auf die Hande kust die Achtung,
Freundschaft auf die offne Stirn,
Auf die Wange Wohlgefallen,
Sel'ge Liebe auf den Mund;
Aufs geschlosne Aug' die Sehnsucht,
In die hohle Hand Verlangen,
Arm und Nacken die Begierde,
Ubrall sonst die Raserei.」

「・・・なかなか古い格言を知ってるんだな。女の子ではそれが当たり前なのか?」

何気なく口ずさんだものを聞かれたことに驚きながら、声のした方を向くとそこには意外な人物がいた。

「お、オシリスさん」

「やあ、ルナ。久しぶりだね。息災そうで何よりだよ」

「は、はい、オシリスさんも元気そうで何よりです」

KoB特別顧問であり、二つ名≪流星≫で有名なプレイヤーだ。噂では、≪聖騎士≫ヒースクリフと同等の実力を有しているとかいないとか。
そんなことはさておき、いきなりの登場驚いたルナだったが、徐々に落ち着きを取り戻していった。

「そういえば、さっき私が口ずさんだ言葉を知っているようでしたけど・・・」

「ああ、あれね。フランツ・グリルパルツァーの『接吻』っていう詩だよ」

「接吻、ですか?」

「そう、いわゆるキスの格言ってやつさ。四十年以上前のな」

「キスの格言・・・。それってどんな内容なんですか?」

「手なら尊敬のキス、
額なら友情のキス、
頬の上なら厚意のキス、
唇なら愛情のキス、
瞼なら憧憬のキス、
掌なら懇願のキス、
腕と首なら欲望のキス、
それ以外はみな狂気の沙汰・・・っていう意味だよ」

「唇なら愛情・・・」

そこで、数日前のソレイユの言葉がよみがえった。

『おれは、君の唇にしかキスは落とさないよ・・・』

オシリスの説明でソレイユの行動の意味をルナはやっと理解した。遠回りな告白だったのだ、あれは。それを理解したところでルナは顔を真っ赤にしていた。急なルナの変わり様に驚いたオシリスだったが、ルナの反応を見て納得がいったようであった。

「告白でもされたかい?」

「っ!!!?」

真っ赤になりながら必要以上に驚くルナを面白そうに見ていたオシリスだったが、不意に真剣な表情になり、ルナに語りかけた。

「その様子じゃ、ほんとにされたらしいね」

「え、えっと・・・はい・・・されました・・・」

恥ずかしさのあまり俯いてしまうルナ。そんなルナに構わずオシリスは話を続ける。

「だが、そいつの言った言葉の意味が解らず、告白されているとは知らなかった、か」

「・・・はい・・・」

「なら、今すぐ返事しに行ったほうがいい」

「は、はぁ!い、今からですか!?」

「ああ、知らなかったからとはいえ何日も待たせてんだろ?だったら、さっさと返事してきた方がいいと思うのだが」

「そ、それはそうですけど、だからって・・・、それに気持ちの整理もついてないですし・・・」

「本当に?」

「・・・え・・・?」

「本当に気持ちの整理ができてないのかい?」

「・・・・・・・」

オシリスの言葉に再び顔を俯かせてしまう。うすうす、感じていたのだ。だが、今の関係が心地よくて、その心地よさを失いたくないがために一歩踏み込むことを拒んでしまっていた。しかし、今彼が行動を起こしたことにより、ルナの心には恥ずかしさのあまり認めることがなかなかできなかったが、ある思いが浮かんでいた。もっと、彼のことを知りたい、もっと彼のそばにいたい、という気持ちが。

そのことを認めてからはルナの行動は早かった。外出の準備をして、ギルド本部を飛び出そうとしたが、留守番であったことを思い出し思いとどまってい舞いそうになったところで、オシリスが背中を押してくれた。

「俺が言い訳しといてやるから、心置きなく行って来い」

「・・・ありがとうございます!」

一言礼を述べるとルナは颯爽と飛び出していった。向かう先はいつも彼に修行をつけてもらっている三十九層の彼のホームの一つである。



三十九層の転移門をくぐり、街はずれにある小さな村へ向けてルナは雑木林の中を走っている。懸命に気持ちを抑えようとしているが、一度あふれてしまった思いは止めることができないでいた。しかし、そこで最悪のプレイヤーたちど出くわしてしまったため、浮かれた気持ちが一気に吹き飛んだ。

「Wow、誰かと思えばKoBの≪流水≫様じゃねぇか」

「・・・PoH!」

ソードアート・オンライン屈指の危険人物が目の前にいた。しかも一人だけではなくPoHの隣には、頭陀袋のような黒いマスクをかぶっているエストック使い≪赤眼のザザ≫と髑髏を模したマスクをつけている毒ダガー使い≪ジョニー・ブラック≫がいた。即座に武器を構え、臨戦態勢を取るルナだが表情は険しかった。

「さて・・・、なかなか出会えない奴に出会っちまったな・・・。どう遊んだもんかね。希望はあるかい、≪流水≫」

「・・・あなたたちが私に倒されるっていうのはどう?」

精一杯虚勢を張るルナだが、そんなことできないことがわかりきっているPoHたちは笑いながら武器を構えていく。

「くっくっくっ、なかなかinterestingなことを言ってくれるじゃねぇか」

「おもしろい、やって、みろ」

「ンなことは、状況を見てからいえよな!」

絶望的な戦いがPoHのお決まりの一言で始まりを告げた。

「イッツ・ショウ・タイム」



ルナに向かって突進してくるジョニー・ブラックを持ち前の回避ステップで避け、ザザを迎撃しようとするが、そこへPoHの友切包丁が割って入ってきたため迎撃をやめ回避に専念していく。

「Wow、なかなかやるな」

「・・・それはどうも」

軽愚痴を叩きながらも嵐のような攻撃をしてくる三人に、ルナは回避に専念するしかなかった。今の状況で攻撃に移ったらやられてしまうのは目に見えていた。注意すべきはジョニー・ブラックの毒ダガーである。十中八九あれには麻痺毒が塗られている。食らえば、その瞬間にアウトである。しかし、いつまでも回避に専念していられないのが現状であるため、多少の危険を冒しても攻勢に移るしかなかった。狙うは毒ダガーを持つジョニー・ブラック。毒を使う彼を何とかすれば・・・、と考えたところで予想外のことが起きた。

「・・・っ!!」

急に体が動かなくなったのだ。自分のHP表記を見ると状態異常、それも麻痺を食らっていることを示していた。そんな、いつ、と困惑するルナをよそにPoHはルナに近づきながら語りだした。

「狙いは悪くなかったと思うぜ。but甘かったな。poisonを使うのはジョニーだけじゃないんだぜ」

そう言いながら、ザザが投擲用ナイフを見せる。そこにはうっすらとした液体が塗られていた。それを見たルナは目を見開いた。うかつだった、その可能性を考えていなかった。勝負を焦るあまり、視野がせばまった結果だった。後悔をするルナをよそにPoHは友切包丁を振り上げてルナに別れを告げた。

「see youだな、≪流水≫」

振り下される友切包丁目を瞑ってしまうルナだったが、予想していた衝撃は来なかった。代わりに一陣の風が吹いた。目を開けるとそこにいたのは、深みのある漆黒のコートを着たソレイユだった。いきなりの登場に驚くPoHだったが、次の瞬間にはsuckと罵り距離を取るため後退した。ジョニー・ブラックとザザも距離を取っていく。対して、ソレイユは刀を構えず、気の抜けた佇まいだが、恐ろしいほどのプレッシャーを放っていた。

「・・・なにをしてたか、なんてくだらない質問はしねぇよ。だがなPoH・・・」

言葉を区切り間を置くソレイユ。そして、ドスのきいた声でラフィン・コフィンの三人に言い放った。

「・・・俺は今、すこぶる機嫌が悪いんだよ。このまま立ち去るなら見逃してやる。だが、おれと殺り合うってんなら・・・死んでも文句は言うなよ・・・」

ソレイユから放たれるプレッシャーが増した。しかし、そんなことお構いなしにジョニー・ブラックとザザは叫んだ。

「ンの野郎・・・。余裕かましてんじゃねーぞ!状況解ってんのか!」

「調子、に、のるな、よ、≪剣聖≫」

「黙れザコども。彼我の実力差がわからないお前らなど眼中にないんだよ」

侮辱ともいえる言葉に憤怒し、ジョニー・ブラックとザザがソレイユに向かって突っ込んでいく。ジョニー・ブラックの毒ダガーを紙一重で回避していきカウンターで腕を切り落とした。突然のことに驚くジョニー・ブラックをソレイユは刀の柄頭で弾き飛ばす。弾き飛ばした先にはザザが突っ込んできていた。いきなり弾き飛ばされてきたジョニー・ブラックを避けることができず、二人まとめて地面に倒れ込んだ。ザザが下敷きになり、両腕を亡くしたジョニー・ブラックが上に乗っかって倒れているため、なかなかうまく立ち上がることのできない二人。たった一瞬で二人を無力化してしまったソレイユにルナは感嘆するしかなかった。

「・・・彼我の実力差をわからずに突っ込んでくる。だから、お前らは弱いんだよ」

その一言を囁きPoHに向きなおる。地面に転がっている二人、特にジョニー・ブラックが罵詈雑言を並べているが、ソレイユの耳には入っていなかった。

「・・・どうするんだ、PoH。俺とやりあうか?」

「・・・・・・」

無言で友切包丁を腰のホルスターに収めると膝下まで包む艶消しの黒いポンチョを翻し、去っていく。いつの間にか起き上がっていたジョニー・ブラックとザザもそのあとに続いていく。去り際にザザがソレイユに囁いた。

「いつか、殺すっ」

「やれるものならやってみろ、ザコが」

ザザの言葉に吐き捨てるように答えるソレイユ。PoHたちの姿が見えなくなったところでソレイユはルナに向きなおり、結晶を使って麻痺を解いた。先ほどの雰囲気は嘘のように消えていた。

「大丈夫か?」

「うん、ありがとう、助けてくれて・・・ねぇ、ソレイユ・・・」

「うん?」

「私って、あなたに合わないほうがいいのかな・・・・・?」

立ち上がりながら、顔を俯かせながらルナは胸の内を告げていく。ソレイユは、いきなりのルナの言葉に多少驚いたが、冷静な声で返した。

「どうして?」

「・・・・・だって、私はあなたに迷惑ばかりかけてる・・・。それなのに私は何もしてあげられてない・・・。さっきだって・・・」

「迷惑だと思ったことはないんだけどな」

「・・・・・え?」

ソレイユの言葉を理解することができないルナ。そんなルナをお構いなしにソレイユは言葉を紡いでいく。

「一緒にいても迷惑してないってこと。それにな・・・」

「・・・?・・・ッ!?」

引き寄せられ唇を奪われるルナ。いきなりのことで驚いていたが、ルナが暴れだす前にソレイユはルナを離した。

「まだ、答え聞いてないしな」

「!?」

ソレイユの言葉に雷に打たれたような衝撃がルナに走った。PoHたちが現れたことによってそれどころではなくなってしまったが、今改めてそのことを思い出すと逃げ出したい気持ちになってしまう。

「あ、あの・・・その・・・えっと・・・」

しどろもどろになっているルナを愛おしそうに見つめるソレイユ。そんな表情をされたら好きになっても仕方がないじゃないか、と思ってしまうルナだったが、言葉にするのが恥ずかしかったため、ソレイユに抱きつきキスをした。いきなりのことに驚くソレイユだったがすぐさま冷静さを取り戻すとルナを感じるためにルナの体を抱き寄せた。



「むぅ~、話してくれてもいいじゃない!」

「いやです」

頬を膨らまして抗議してくるアスナの意見を一刀両断するルナ。そして一言言い放った。

「大切な思い出をそうやすやすと話すわけないでしょ」

「ルナのケチー!」
 
 

 
後書き
うっ、うぐっ、ひくっ・・・

ソレイユ「まだ泣いてるのかよ」

し、仕方ないじゃないか!き、木野下先生がソレイユの絵を描いてくれたことがうれしくて今日一日中涙が止まらなかったんだ・・・
まぁ、そんなわけで、結ばれた二人でした。
なんか、どっかで見たことある気がする読者様もいるだろうが、それは気のせいと言うものでしょう

ソレイユ「またずいぶんと大雑把だな。もっと捻れなかったのかよ」

無理、だね。
だいたい恋愛経験の少ない私に恋愛をかけ、なんていうほうが無理だ。

ソレイユ「あっそ」

次回はソレイユとキリト君のお話に参ります。お楽しみに!
感想をお待ちしております。

P.S.
ねぇ、ソレイユ。

ソレイユ「なんだ?」

クリスマス企画とかやった方がいいのかな?

ソレイユ「その前にオリキャラのプロフィールを書けよ・・・」

それは今急ピッチに書いてる!!
まぁ、そんなわけでこんなものを作ってみた


新婚生活を送っていたキリトたちとのんびりと休暇を謳歌しているソレイユたち。
そんななか、突如来訪してきたクラインは意外な言葉を口にした。

「なぁ、キリの字。レジェンド・クエストって知ってっか?」

その一言が今までに見たことのない絶望の幕開けとなってしまった。

「こんなのってアリかよ・・・」

呆然と呟くキリト。

「うそ、うそよ。こんなのって・・・」

口を押えながら目を見開くアスナ。

「さすがに、これは・・・」

難しい表情で呟くルナ。

レジェンド・クエスト。その正体とは―――


こんな感じでどうだい?

ソレイユ「いいんじゃねぇの」

ちなみに、レジェンド・クエストに参加したいってオリキャラがいればめっちゃ受付まっせぇ!!
受け付けは感想板かメッセージにて、期限は今週いっぱい!!

ソレイユ「いや、いないだろ。いたら奇跡だ」

そこまで言うかっ!?そこまで、言わなくたって、いい、じゃ、ないか・・・
うわあああああああああああんε=ε=┏( >_<)┛ ズベッ(ノ_ _)ノ

ソレイユ「・・・・・・馬鹿の言うことは無視してくださって結構ですので・・・・・」 
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