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人魂料理

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2部分:第二章


第二章

「あれって魂じゃないかもっていうしな」
「別の生き物って話もあるよな」
「だよな。別の妖怪だって」
「魂とは別にな」
「じゃあいいか?」
 皆確証を持てないまま話していく。
「食ってもな」
「それでもいいか」
「それなら」
「俺は食うぞ」
 一度決めたら引かない、それが秀であった。
「もうこうなったらな」
「決めたのか」
「どうしてもか」
「食うんだな」
「もう調味料も油も衣も用意したんだよ」
 そこまで用意していた。既に決めていたのだ。
「だからだよ。捕まえてな」
「そうするか」
「で、俺達も一緒にか」
「食おうかってことだよな」
「人魂を」
「ああ、皆で食おうな」
 秀はここではにこりと笑って言った。こう言ってからコーヒーを一口飲むのだった。
 その独特のほろ苦さを口の中で楽しみながらだ。彼はまた言った。
「それでどうだよ」
「ああ、じゃあな」
「今夜墓場に行ってな」
「そうするか」
「そうだな」
 彼等も結局頷いたのだった。そうしてそのうえで実際にその夜墓場に行った。それぞれその手には虫取り用の網と篭があった。
 まるで子供の頃の様になったその装備でだ。彼等は人気のない静かを通り越して不気味なその墓場に来たのであった。
 墓石が連なり草木が闇夜の中に浮かび上がっている。遠くから梟の声が聞こえてくる。それを聞きながら墓場の中に入るのだった。
 その墓場の上にだ。人魂達がふわふわと漂っていた。
 丸く尻尾が細くやや短い。そして青白い光を放ちながら。人魂達は墓場の上にいた。その人魂達を見てだ。彼等は言うのであった。
「じゃあ捕まえるか」
「普通に虫取り網でいけるよな」
「あの漫画じゃそうだよな」
「ああ、捕まってるよな」
「それでいけるだろ」
 秀は楽観的に述べた。当然彼も武装している。
「虫取り網でな」
「それ言うと何か蜻蛉みたいだな」
「ああ、浮かんでる高さだってそうだしな」
「だよな」
 皆もその人魂を見ながら話す。確かに浮かんでいる高さは蜻蛉の飛ぶ高さであった。
「じゃあその要領で捕まえるか」
「そうだな。蜻蛉取りならな」
「よくやったしな」
「慣れてるしな」
「そういう要領でいいか?」
「ここは」
「とりあえず捕まえような」
 秀はまた言うのだった。
「それからだよ」
「そうか、まずは捕まえてか」
「それからか」
「捕まえようとしてだな」
「そうだよな」
 こうしてだった。とりあえず虫取り網を上に振る。するとだ。
 本当に蜻蛉を捕まえる要領でだった。人魂が捕まるのだった。
 そしてだ。それを水槽の中に入れる。実に簡単にだ。人魂達は特に暴れることなく水槽の中に入ってだ。大人しくしていた。
 そしてだった。その人魂達を秀の家に持って行ってだった。すぐにそれをだ。
「生のままでいいんだよな」
「生きたままで食っていいんだな」
「衣をつけて」
「ああ、漫画じゃそうなってるからな」
 秀が仲間達に話す。
「それじゃあこのまま着けてな」
「よし、じゃあな」
「そしてそこに入れて揚げて」
「食うか」
 水槽の中の人魂を掴む。ここでも特に暴れない。
 
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