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食事の秘密

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2部分:第二章


第二章

「何だ、その名前は」
「だから俺達のグループ名だよ」
「知らないのか?それは」
「あんた本当にドイツ人か?」
「そ、そうだ」
 戸惑いながら答える彼だった。
「ミュンヘンから来た」
 一応ミュンヘン訛り、スパイ養成学校で学んだそれを使って話した。
「そこからだが」
「おいおい、ミュンヘンで何度もコンサートしたけれどな」
「なあ」
「それで知らないって」
「あんたもぐりだろ」
「もぐり?」
 今度はその言葉にいぶかしむシュナイダーだった。
「何だその言葉は」
「いや、そう言われるとな」
「俺達もどう言えばいいかわからないんだがな」
「ちょっとな」
「ううん、参った兄ちゃんだな」
「とにかくだ。君達はヘビメタなんだな」
 シュナイダーはとりあえずそのことを確かめた。
「そうした集まりか」
「ああ、そうだよ」
「それが俺達の音楽だよ」
「わかっていておいてくれよ」
 笑顔で話す彼だった。そうしてだった。
 彼等はだ。シュナイダーを囲んで言うのだった。
「あんた仕事は?」
「何やってんだよ、一体」
「それで」
「タクシーの運転手だ」
 そういう名目で潜り込んでいるのである。実際はタクシーにすら乗っていない。
「今日は休日だ」
「タクシーの運ちゃんねえ」
「あまりそうは見えないけれどな」
「何か銀行員に見えるな」
「そんな感じだよな」
「しかしそうだ」
 あくまでそういうことにする彼だった。
「わかったな」
「一応わかったよ。まあな」
「しかし俺達を知らないなんてな」
「悲しいぜ、おい」
「あまり悲しいからちょっと来てくれ」
「何だ?」
 今度は内心身構える彼だった。このまま何処かに連れられてそしてスーツの内ポケットをその上からさすった。そこには銃がある。
「一体」
「飯おごってやるよ」
「ついでに俺達の雑誌もやるから」
「来てくれよ」
「とりあえずはレストランな」
「レストランか」
 シュナイダーはそれを聞いて自身の任務を思い出した。そしてなのだった。
 そのゴルトリッターというヘビメタバンドと一緒にある店に入った。やたらと目立つ赤や青のネオンの看板の店であった。
 そこに入るとだ。これまた派手な内装だった。
 髑髏が飾られ緑の蔦がある。妙に暗くなっていてそれでいて不思議な魅力があった。
 その店に入るとだ。ゴルトリッターの面々が言ってきた。
「じゃあ適当な場所に座ってな」
「食おうぜ」
「ここの飯って安くて美味いんだよ」
「お化け屋敷か、ここは」
 シュナイダーは子供の頃に時々遊んだそこを思い出した。
「そうなのか?」
「お化け屋敷って」
「ここがか」
「言うねえ、あんた」
「面白いジョークだよ」
 ゴルトリッターの面々はだ。シュナイダーのその言葉に思わず吹き出した。そしてだった。
 
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