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血と肉と

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1部分:第一章


第一章

                          血と肉と
 今街でだ。嫌な事件が続いていた。
「またか」
「はい、またです」
 ジャーマングレーのトレンチコートの中年の男にだ。制服の警官達が述べていた。彼等は今署の中にいる。
「また犠牲者が出ました」
「駅の裏です」
「駅の裏か」
 それを聞いてだ。トレンチコートの男は嫌な顔をした。
「あそこでか」
「はい、そしてまたです」
「全裸で。しかも」
「胸を刃物で刺されてです」
「血が抜かれています」
「殺し方も同じだな」
 男は顔を顰めさせて述べた。
「これまでとな」
「はい、そうですね」
「それもまた」
「明らかに同じ犯人だな」
 男は言った。
「間違いないな」
「それで和久田警部」
「どうされますか、それで」
「行かれますか?」
「現場に」
「俺が行かなくてどうする」
 その男和久田は警官達にすぐに返した。
「俺がこの事件の担当なんだからな」
「そうですね。それじゃあ今から」
「現場に向かいましょう」
「それでは」
 こうしてだった。和久田は制服の警官達を連れてそのうえで駅の裏に向かった。そうしてそのうえでだ。その駅の裏ではだ。
 既に人ごみができていた。そしてその奥に警官達が集まり群集を制止していた。鑑識達もいた。彼等はその死体を調べていた。
 その死体のところに来てだ。和久田は言った。
「本当にいつも通りだな」
「はい、全裸にされそしてですね」
「胸を一突きです」
「それで殺されています」
 その通りだった。そこには全裸の美女がいた。黒のショートヘアで整った顔をしている。しかしその顔は蒼白になっていて表情も虚ろだ。
 豊かな胸と胸の間が鮮血で濡れていた。その中心にだった。
 傷があった。縦に大きいものがだ。和久田はそれを見てまた言うのだった。
「ここから血を抜いてか」
「何かおかしな殺し方ですよね」
 警官の一人が言った。
「普通の殺人じゃ明らかにないですよね」
「そうだな。通り魔とかそういうのじゃないな」
 それはだ。和久田も感じ取っていた。そのうえでの言葉だ。
「これは」
「捕まえて裸にしてそれから動けなくしてそれからですね」
「胸を一刺し」
「そんな感じですね」
「これまでのガイ者は」
 和久田は今度はこのことについても考えた。駅の裏は日陰になっていてこれといって目立った建物もない。店もなくひっそりとしている。
 しかしその中でだった。美女が殺され横たえられている。実に異様な光景だった。
 その異様な光景の中でだ。和久田は言うのだった。
「看護士にOLに女子大生に学校の先生にだ」
「そしてこのガイ者はです」
「誰でしょうか」
「これまでのガイ者の経歴はまばらだったな」
 それはまさにその通りだった。しかしだった。
 今度の被害者はどういった経歴なのか。彼はそれを言うのだった。
「このガイ者が誰か。調べるか」
「はい、そうですね」
「じゃあそれをすぐに」
「調べましょう」
 こうしてだった。この駅裏での事件について細かく調べられた。その結果だ。
 署でだ。警官達がこう和久田に話すのだった。
 
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