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神様転生した先のサイバーパンクで忍者になって暴れる話

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シチュエーション・オブ・ソウカイヤ
  4話

ふうまはトーキョークライシスの大通りを歩いている。
回りを見渡すと、卑猥な格好をしたオイラン達が立っていた。彼女達の秋波を交わしながら、目的地に向かう。
途中でふうまは、スシ・バー台を見つけた。そちらに足を向ける。ノレンを上げると、店主が頭を下げる。


「イラッシャイ」

メニューを見ると、幾つかセット品があった。ふうまはそのセットの一つに指差す。

「四つくれ」
「二つで充分ですよ!」
「いや四つだ」
「二つで充分ですよ!」

ふうまは、幾らかの押し問答の末にあきらめた。

「じゃあ、ソメン・ヌードルもくれ。ふたつだ」
「分かって下さいよ」

屋台の前で少し待つと、店主から一つの大きな袋を手渡される。中を確認すると、スシ・セットとヌードルが、実際二つずつ入っていた。

「オカンジョ」
「アイアイ」

金額を手渡し、屋台に背を向ける。
いくらか歩いていくと、途中の路地の前でヨタモノ達が騒めいていた。
ヨタモノ達の会話を聞くと、どうやらファック・アンド・サヨナラがショーめいて行われているようだ。
ふうまはその光景を取り合うことなく去っていく。この程度、トーキョーキングダムではチャメシ・インシデントの事だった。
そのまま歩き続けて、ある倉庫の前で止まる。中へと入っていく。
中心まで歩いたところで手を合わせる。

「ドーモ、フウマ・ニンジャです」

暗闇に向かってオジギをした。
闇の奥から、目元だけを隠すメンポを被った女が現れる。その胸は豊満であった。

「ドーモ、フウマ・ニンジャ=サン。メンポ・ニンジャです。気づいていたのね」

古来の礼儀であるアイサツを終えて、二人は視線を交わす。
ふうまは手に持った袋を挙げた。

「食べるか?」
「ええ、頂くわ」

メンポ・ニンジャの肯定を得たふうまが、袋からスシとソメン・ヌードルを取り出す。
そのまま、二人は向かい合わせになるよう、置かれた荷物の上に腰を下ろした。
スシとヌードルを食べながら話し合う。

「渡されたクローンオーク。あれ、結構イイみたいね。米連でも投入することが決まりそうよ」
「それはよかった。スポンサーが喜ぶ。彼等も、DSO(防衛科学研究室)から流された物にも満足している」

メンポ・ニンジャは、米連の下部組織であるDSO(防衛科学研究室)に所属しているようだ。彼らは米連に居ながらも独立独歩を貫いている。その命令系統は実際複雑だった。

「ああ、アスカにアサギからの伝言だ。渡しといてくれ」
「……何故、私が」
「同じ保護者で元ライバル同士だろう」

メンポ・ニンジャは、いわゆる抜け忍という奴だ。とある事が起きて、メンポ・ニンジャの正体を知った彼が、井河アサギとの縁を作っていた。
つまり米連の下部組織でありながら、独自行動の多い彼等DSO(防衛科学研究室)と対魔忍の井河アサギ閥の上層部は、ふうまの組織を挟んだ関係を作り上げている。
その後も、数分ほどの情報交換をしていた。
スシとヌードルを食べ終えると、メンポ・ニンジャは立ち上がる。

「それじゃあそろそろいくわね」
「おい、ちょっ」

ふうまの引き留めるような言葉を無視して、暗闇に身を隠していった。
ふうまは所在がなさげに立ち尽くす。

「やれやれ、あの時程簡単にはいかないか」

彼の独り言は、倉庫の闇に消えていった。






ふうまは今、本拠地の地下にいた。そこには、ある女性の研究室がある。
桐生美琴。ヤバイ級の魔科医……魔界医療技術者の事……である彼女を、ふうまは抱き込んでいた。
ふうまのスカウトを承けた美琴は、ソウカイヤの口に出すのもはばかられる数々の違法実験についての責任者を任されている。
そんな彼女が受け持つ実験室に二人は入っていく。
最新鋭の魔界医療設備が立ち並ぶ世界だった。
輪切りにされ透明樹脂版で挟まれた死体が、オブジェの如く並ぶ。銀色の医療器具と透明なチューブと血肉の赤が、背徳的なグロテスクさを醸し出している。
10メートル四方はあろうかという水槽の数々が、端の方に幾つも並ぶ。そしておお、ナムアミダブツ!なんたる禁忌!
中には次世代型のクローンオークが浮かんでいた。周りでは幾人かのPVC白衣を着た研究者たちが、何かを話し合っている。彼等の中心に立っている、黒い髪を腰まで伸ばし異形の右腕を生やした桐生美琴に、ふうまは近づく。

「呼び出したからには、それなりの研究成果を見せてくれよ」

振り返りサディスティックな笑みを浮かべて、ここの主である桐生美琴がふうまを出迎える。その胸は豊満であった。

「今回は私じゃないわ」

彼女は隣にいる研究者に目で合図をした。別の男の研究員が前に出る。

「フウマ=サン、新型のクローンオーク、Y-13ができました」 16

研究員は汗を拭きながら、しどろもどろに説明した。ふうまは潰されかけたザイバツを復活させた立役者である。彼の機嫌次第では、彼の首が物理的に飛ぶことになる。研究員が緊張するのも当然のことだった。

「見てみよう」

と頷いたフウマは、彼の肩に手を置き

「落胆させないでくれよ」

と笑顔で話しかけた。

「アイエエエ……勿論です」

顔を青白くさせながら、ふうまを先導するように歩き始める。
その後ろでは、ふうまが携帯端末を素早く捜査していた。

「何してるのかしら?」
「ああ、ちょっとな」

美琴の問いを交わして、ふうまは前方の研究員を追う。
美琴も面白そうに微笑むと、彼等の後を追い始めた。
少し歩くと、吹き抜けになっているトレーニング場についた。下はアリーナ状になっている。
それをぐるりと見下ろすふうま達がいる場所のガラス窓は、すべて強靭な防弾ガラス製となっていた。

「あそこです」

下のアリーナには、新型のクローンオーク達がボーリングのピンめいて整然と並んでいる。
ふうまが美琴に目をやる。隣にいる美琴は意を組んだように、近くのボタンを押した。
ソウカイヤ・マークの描かれた巨大なショウジ戸が開く。中から魔界に生息するの凶悪な魔獣が姿を現す。たちまちクローンオークたちに飛び掛っていった。
 並のオークでも何十人がかりでも殺せない、恐るべき魔の生物だ。
 だがクローンオークは、全員まったく同じ動きで左の腰からスラッグガンを抜き、一糸乱れぬ射撃で魔獣をアノヨに送った。
 それから、まったく同じ動きでスラッグガンを仕舞い、まったく同じ動きで床にタンを吐いた。ナムアミダブツ! なんたる統率力か!

「タン吐きの制度もますます磨きがかかっているな」
「毎度お世話になっております! クローンならではの統一感で、敵を打倒します! Y-13に敵う存在は実際少ないかと」

ふうま達の後ろで、興奮した研究員が声を上げていた。

「じゃあ、アルカ・スティエルと戦わせろ」
「アイエッ!」

ふうまの言葉と共にトレーニングアリーナに、ジョットパックを装備した露出の激しい女が進入。

「充電率100%。発射します」

クローンオークが身構える前に、アルカと呼ばれた女は腰元にある小型の筒を構える。

「イヤーッ!」
「「グワーッ!」」

小型化された陽電子砲から放たれる、ボジトロンキャノンがクローンオークを瞬く間に殲滅した!サツバツ!

「あっという間に消し炭だ!」

楽しそうにふうまは声を上げた。
後ろでは研究員が、余りの光景に失禁。床に腰を落とした。

「申し訳ありません。不出来な物を見せた責任を取って、今すぐセプクします!」
「いやいい」

研究員の方にふうまとヨシ琴が向き直る。

「大量生産品が、貴重な人員より強いのはうまくない。いい仕事だった」
「毎度お世話になっております!」

安堵と声と共に、研究員が立ち上がる。そんな彼に美琴が冷たい視線を送っていた。

「だけど、貴方は私の研究室の床を汚したわ」
「アイエッ!」

ヨシ琴が一瞬で研究員の目先まで移動した。そのまま研究員を異形の右腕で捕まえる。

「アイエエエエ! アイエエエ! 助けアバッ!」

感触を楽しむようにゆっくりと研究員の頭をつぶした。
彼女の顔は紅潮している。
美琴はねっとりとした視線をふうまに送る。その意味を察したふうまは、彼女に近づき腰元に手を置いた。

「このあと、時間が空いてるんだが」
「あら、この部屋にちょうどいいのがあるの」

美琴が胸元から取り出した携帯端末を操作する。近くに柔らかそうなベットが迫り出した。

「ここでか?」
「っふふ。血の匂いと共に激しく前後するのもいいものでしょ」

彼女の言葉に、ふうまが仕方なさそうに頷く。
せり出したベットの上で、二つの影が一つになる。
そして、

「アタシいま体温何度あるのかなーッ!?」

美琴の艶声が響くのだった。 
 

 
後書き
 これで第一章は終了しました。
 次から第二章が開始されます。
 この小説のお屋形様は、ニンジャスレイヤーのワザと技術をもって活動しているので、かなり強いです。
 その技術を生かして色々行動しているので、かなり組織力も向上しています。
 思うんですけど、ニンジャスレイヤー世界と対魔忍世界ってけっこう似ていると思うんですよ。
 カラテ粒子=対魔粒子でニンジャが居て、固有のジツがある。対魔忍の中の魔=ニンジャ・ソウルでサイバーパンクでニンジャが暴れる=サイバーパンクで対魔忍が暴れる。
 ここまで似通っていると、ニンジャスレイヤー世界と対魔忍世界はある種の平行世界関係にあると言えるのではないだろうか!(彼は狂っていた)
  
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