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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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21.女の心は移ろいやすい。男の心は狼狽えやすい。

<サンタローズ>

俺は今、サンタローズで瓦礫の撤去をしている。
ビスタ港から船に乗る予定だが出港が10日後の為、少しでもサンタローズの復興に尽力出来ればと、柄にもなく殊勝な事をしている。

ラインハットを出る時は結構な騒ぎだった。
マリソルとデルコは『別れたくない』と泣き駄々をこねる。
『美人に成長したら、また遊びに来るよ』とマリソルの額にキスをし、デルコには『お前の姉ちゃんは俺が目を付けた。悪い虫が寄り付かない様に見張っておけよ』と念を押しておいた。
それを聞いたピエールが俺に蹴りを入れてきた。(この娘、絶対Sだよね!)
それを見て何となくは気持ちを理解したのか、泣きながら見送ってくれた。

マリアさんとヨシュアさんはラインハットに残り復興の手伝いをする様だ。
『ヘンリー!チャンスだ!マリアさんを絶対物にしろよ!』そうヘンリーに耳打ちすると、顔を真っ赤にして恥ずかしがりながら『が、頑張るよ…お、お前に奪われたくないから』って呟く様に言った。
とてつもなく純情だ。
これじゃハーレムなんて作らないなぁ…頑張ったのに計画狂っちゃたなぁ~…

ヨシュアさんは俺に自分の剣を持って行く様に勧めてきた。
『でかすぎて、使いづらいからいらね!』って断ったら、何故かピエールが『お前、もう少し言葉を選べ!』って脇腹を殴ってきた。(俺Mじゃないから!やめて!マジで!)
当のピエールはラインハットに残るのかと思ったが随行を表明してきた。
『僕に惚れちゃったのぉ~?しょうがないなぁ~!』って戯けたら『ヘンリー殿に、お前の常軌を逸した行動を押さえる様、依頼された』ってさ!
ちぇっ…やっとモテモテライフ、テイクオフ!かと思ったのに!
まぁ、そんな訳で短い間だが、今はサンタローズで働いている。(無償)

10年前にあった物が殆ど無くなってしまったが、10年前には無かった美しい物もある。
教会の横手で咲いている美しい桜の木だ。
10年前にフレアさんに渡した桜の枝を、挿し木にして育て続けた様だ。
ラインハットの兵が踏みにじり毒を撒いても成長し続けた桜。
フレアさんは『リュー君桜』と呼びこの木を心の支えに頑張ってきたと、話してくれた。
胸が熱くなるのを感じフレアさんを抱き締め二人して泣いてしまったのをピエール達に見られ恥ずかしかった。



<サンタローズ>
フレアSIDE

リュー君がまた帰ってきてくれた。
しかもラインハットを正し、パパスさんの名誉を回復してくれた。
そしてパパスさんのお墓を、実家だった所の裏に建てるそうだ。
最初は手伝おうとしたのだが寂しそうな瞳で断られた…

少しの期間だがサンタローズの復興も手伝ってくれている。
瓦礫を易々と運ぶリュー君は逞しくて格好いい。
私は兵士達に襲われて以来、男性に触れる事が出来ない。
男性特有の男臭さを感じると、過去の事が脳裏に蘇りパニックを起こしてしまう。
でもリュー君には平気だった。
再会をした時も、そして今も!

「リュー君?何を探しているの?」
教会裏の物置小屋でリュー君が捜し物をしている。
狭い小屋の中にリュー君の汗臭さが漂っている。
でも、全然怖くない。
全然嫌じゃ無い。
むしろ、もっとリュー君を近くで感じたいと思っている。

「釘抜きを探してるんだけど…フレアさん知らない?」
私の問い掛けに、優しい表情で答えると、物置小屋の棚を横目で見て心地よい声で告げる。
「釘抜きなら、その奥に…きゃ!!」
私はリュー君の向こう側にある棚に手を伸ばしバランスを崩した。
リュー君にもたれかかる様に抱き付き、リュー君の顔を…瞳を見つめている。

私からか…リュー君からか、分からない。
互いに唇を求め重なり合う。
唇を離し、互いの身体をまさぐり合いながら私はリュー君の耳元で呟く。
「私…いっぱいの男性に、汚されちゃった…そんな私でも…リュー君…いいの?」
私はリュー君が求める様な女では無くなっていた。
今更ながらその事を告げ過去を悔やんだ!
しかしリュー君は私の体中にキスをすると、
「フレアさんは昔のまま綺麗なフレアさんだ。僕の大好きなフレアさんだ」
そう優しく諭してくれた。
私達はもう止まらない。誰に見られても。誰に咎められても。
もし10年前、パパスさんがラインハットへ行かなかったら私達はどんな10年を過ごしたのだろうか…
リュー君の息づかいを感じ温もりを感じながら、そんな事を考えてしまう。

フレアSIDE END


<サンタローズ>

祝!卒業おめでとう。
祝!大人の仲間入りおめでとう。
いや~…今夜あたりーって考えていたけど、まさか向こうから来るとは…
やっぱ昔にフラグを立てておいた甲斐があったね!

心地よい疲労感を纏い実家跡へ歩いていくと、ものっそい怖い目で俺を睨むピエールが立っていた。
「な、何ッスか?怖い顔して…」
「貴様…この村に寄ったのは、シスターに良からぬ事をする為か!」
はい。ご名答!なんて言ったらきっと殺されるので秘匿する。
「ち、違いますよぉ。え!?もしかして、さっきの見てたの?」
「釘抜きを取りに行って、なかなか戻らんから心配になったんだ!」
「もぉ~えっちぃ!じゃぁ、見てたら分かるだろ。釘抜きを探していたら、フレアさんと接近してしまい、色々と込み上げてしまった挙げ句あぁなったって。」
ピエールはジト目で睨んでいる。

「まぁ…いい。で、釘抜きは?」
「あ!別の物抜くのに気を取られて、釘抜き忘れた!」
「もういい!私が取ってくる!!」
「そんな事言って、フレアさんにエッチな事すんなよ!あれは僕の女だぞ!」
「イオ!」
俺は、怒りに任せた彼女のイオで吹っ飛ばされた。
普通、こんな所でイオなんて唱えないよね!?

残りの数日間はフレアさんのベットで目を覚ました。
ぶっちゃけ、旅の目的なんて忘れていたけど、ピエールのおかげで思い出す事が出来た。船が出港する当日の朝に…ギリギリだったけど…



 
 

 
後書き
ある意味、リュカさんの伝説はここからが幕開けだ! 
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