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MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士

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LAST EPISODE

「う、ううん………」

長い倦怠の中にあったかのように思い瞼を開ける。見上げた先にあるのは石の天井、冷たく無骨な光景が広がっているが不思議とそれが見れて安心している自分が居た。深い泥の層に埋もれていた身体が発掘され動かすようだ。

「起きたかドロシー?」

天井だけを見続けていた視線を少し動かせば自分の顔を見下ろしている男がいた。それは酷く愛しくてずっと会いたくて話したくて致し方無かった人が居た。恋人であるジークフリード、彼が自分に微笑みながら自分に以前と同じように話しかけてくれていた。

「ジーク……おはよう♪」
「ああおはようドロシー。随分と……君は迷惑をかけたな」
「いいの、ちゃんと帰ってきてくれたから♪」

今まで自分が傍におらず冷たい所か残酷な態度を取っていたというのに笑顔で返してくれる彼女の笑顔を受けたジークは思わず嬉しくなりホロリと涙を零しはにかんだ。

「って私……ひ、ひひひひひひ膝枕されてるのぉおおおおお!!!??」
「フフフッまあそんな所だ」
「あ、あわわわわわわ……」
「おいおいあれだけラブコールしてくれたのに今更膝枕で顔真っ赤になるのか?」

久々の恋人との時間、ジークにとってはなんとも奇妙な気分だが彼女のとの触れ合いが年単位で久しい気がしてならなかった。顔を真っ赤にし膝の上でわなわなとしている愛しい人の頭を撫でる。小さい幸せだが彼にとってはそれが大きな幸せになっていた。そんな時、城全体を揺るがす凄まじい振動が巻き起こっていた。

「なっなに!?」
「………ドス黒い魔力が消えていく、どうやらキングが倒されたようだな。そして………」
「う、ううん………あったま痛いわ………」

揺れまくる室内に木霊する女性の声、気だるげに身体を起こし頭に手を当てて頭を振るっている。ジークはドロシーを優しく起こし、漸く目を覚ました女性の元へと行きそっと手を差し伸べた。姫君を護る騎士のように。

「お目覚めだな。さあ手を貸そう、ディアナ」
「ジ……ジーク………?あれ……私、元の体に戻ってる……?」
「話は後だ。今は―――妹と話をすると良い」

ジークの手を取りドロシーの元へと導かれたディアナは視界に入った妹の姿を見ると恥ずかしげに頬を掻き、ただいまと口にした。ドロシーは少し涙ぐみながら姉に抱きつきおかえりと優しく囁いた。そしてまずジークが考えたのは。―――

「おーいドロシー!!勝ったぜってクイーン!!?それにジーク!?」
「ジークお前正気に戻っているのか!?」
「た、大変っす!!ドロシー姐さんにディアナが襲い掛かってるっす!!」
「助けるぞ!!」
「おうドロシーちゃんを助けるで!!」
「えええっ!?これって如何いう状況なの?!」

「………まず、状況の説明だな。とりあえず全員待てぇええええ!!!!!」

ディアナに襲い掛かりそうなメルのメンバーを何とか食い止め状況を説明するジーク。ディアナがオーブの洗脳から完全に開放され元のドロシーの優しい姉に戻った事、自分も正気を取り戻した事。なんとか全員を納得させる事が出来たが直ぐにレスターヴァにクロスガードのメンバーやメルヘヴン中の人間が押し寄せている事を予想したジークは

「それじゃあ俺とドロシーそしてディアナは一旦ここから逃げる!ギンタ何かあったらこいつで連絡しろ。行くぞドロシー!」
「えっ!?もう解ったよジーくん!」
「えっえっ!?きゃあ!!?」
「っておいジーク!?」
「ウィング!!」

ディアナを担ぎ上げながらギンタに連絡用のARMを投げる、そして壁に穴を開け翼を羽ばたかせそこから外へと飛び出していくジークとドロシー。いきなり行動にギンタ達はそれを呆然と見る事しか出来なかった。

「な、なんなんだ一体…?」
「まあ幾ら洗脳が解けたっつっても他の連中はそれを理解するのは難しいだろう。だからディアナを安全な場所に移すんだろうな」
「ああなるほど」



「んでジーくん、これから如何するの?」
「カルデアへ行く。そして掟を変える」
「掟を………?」

空の旅を続けながらドロシーはジークにこれからの予定を訪ねた。そしてジークはカルデアへ行く掟を変えると宣言した。その言葉にはジークに抱かれているディアナも顔を赤くしながら思わず尋ねた。

「これから世界は変わっていく、平和な物へと変わっていく。だからカルデアも変わっていく必要がある」
「具体的には如何するつもりなのかしら」
「身内の不祥事は身内が解決するという掟をまず変える。ウォーゲームが起こった原因の一つでもあるからな」
「はぁ~随分と大改革ね」
「大変よ?カルデアは古い掟を重んじる国だから」

確かに大仕事だ、容易な事ではないがジークは絶対に出来ると信じていた。理由はあった。自分と自分を愛してくれている人の力があるからだ。単純だが大きな力を発揮する理由になりえる。

「大爺も理解してくれるさ」
「そうね、それにジーくんがお願いすればいやとは言えないと思うし♪いざというときはファヴニールで脅せば」
「ドロシー貴方何言ってるの!?お姉ちゃんが正気じゃない間に何があったの!!!?」
「成程……ファヴニールを使う手もあるな………」
「ジィィィイイクゥゥゥ!!!??」

愉快な三人組の空の旅はカルデアに着くまで続いたという………。






「ギンタ、ジークはまだ着かないのか?」
「う~んもうちょっとで着く筈なんだけど……「もう着ているぞ、遅くなってすまない」
「やっほ~皆久しぶり!」
「ジークドロシー!!」

レスターヴァ城の決戦から2週間。チェスの兵隊は壊滅しメルヘヴンには平和が戻り連日連夜メルヘヴン中で行われていた平和祭典も治まった頃、世界を救った英雄たちは再び一同を会していた。

「お久しぶりっす姐さんにジークさん!カルデアはどうっすか?」
「相変わらず忙しい毎日を送っているさ。だが嬉しい忙しさではあるがな」
「だけどまさかカルデアで改革起こした話が来た時はとは驚きすぎて顎が外れたぜ思わず」

あの後ジークは二人と共にカルデアへと渡りドロシーと共に暮らしている。カルデアの掟を全て見直し新しい掟を作り上げている最中。現在はそれを統括し執行するカルデアの掟の騎士となっている。ディアナはジークの補佐という名目の監視処分を受けているが本人は幸せそうに生活している。

―――が忙しい7割方はドロシーとディアナによるジークの取り合いが原因なのだが。

「ディアナも最初は受け入れられなかったがな、何れ隔たりも消えるだろう」
「そっか!良かったなドロシー姉ちゃんと暮らせて!」
「それはいいんだけどね………ディアナってばジーくんにちょっかい出しすぎなのよ!!私の恋人なのにぃいいい!!」
「全く相変わらず五月蝿い女じゃ」
「なんですってこのヘンテコ似非紳士ブサイク!!」
「お前今なんと言いおったこの無礼者!!!?」

「んでお二人さんは何時結婚するんや?」
「正直まだ掟の再編やらARMの回収作業の再開の目処が立っていないからな。暫くはお預けだ」
「そうかだが式には呼んでくれよ?」
「勿論だアルヴィス。ちゃんと呼ぶさ」



「おいギンタ、そろそろ」
「ああ解ったよ親父………バッボバージョン8!!逆門番ピエロ!!」







―――なあギンタ。お前がこのメルヘヴンから居なくなってもう3ヶ月が経とうとしている。こっちは元気にやっているぞ、漸く掟の再編の目処がついてな。これからはまたARM集めの旅だ。また、お前に会えると良いな。そうだ最後に報告だ。

「ねえ如何したの空なんか見て?」
「んっいやなんでもないさ。さあ行こうか」
「うんジーくん♪」
「結婚しても、まだその呼び名なんだな」

―――俺たち、結婚したぞ。お前にも、届いてると良いな。この景色が―――。














MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士 完
Thank you for reading with me.  
 

 
後書き
MÄR - メルヘヴン - 竜殺しの騎士 ついに終了!

長い間ご愛読してくださった方、有難うございました!
いやぁあっという間に終わったな!って感じがします。ですがまだまだ終わりませんよの小説!

次回からはMÄRΩ編!の前にジークとドロシーの新婚編、行くぞー!!
皆さん、これからも宜しくお願いしまーす!!!! 
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