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オズのポリクローム

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第十一幕その七

「ですから」
「それで、なのですか」
「私達は彼は避けているだけでした、ですが」
「退位して今の王様になって」 
 それで、とです。恵梨香も言います。
「平和になって」
「ノーム達とも普通にお付き合いが出来る様になりました」
「じゃあ宝石も」
「はい、金や銀もラゲドー王になる前の様に」
 その時の様にというのです。
「楽しくお話をして金銀や宝石を貰える様になりました」
「そうだったのですね」
「ですからこうしてです」
「博物館にも」
「宝石があります」 
 この様にというのです。
「それも沢山」
「色々な宝石が」
 ナターシャもその宝石達を見ています。
「あるんですね」
「そうです」
 こうお話するのでした、そして。 
 天使さんは一行をその博物館を案内してからです、遂にです。
 一行を天使騎士団長のお部屋に案内しました、そこは眩いばかりに輝いていました。
 柱も壁も床も黄金に輝いています、鏡の様に磨かれた大理石に金が沢山飾られていてそれで輝いているのです。
 天井には天使達がお空に舞う絵が描かれていてです、そのお部屋の奥にです。
 六枚の翼を持った緋色の法衣を着た奇麗な人がいました。髪はブロンドで腰のところまであって虹色に輝く目があります。
 お肌は雲の様に白くてです、お顔はまるで彫刻の女神の様に整っています。その人が黄金の玉座に座っています。
 その人にです、天使さん達が挨拶をしてです。
 そのうえでその人もです、高い女の人を思わせる声で一行に言ってきました。
「ようこそ、天使の城に」
「あれっ、貴方は」 
 そのお声を聞いてです、ポリクロームは言いました。
「男の人なのね」
「そうです」
 その通りとです、その人は答えました。
「僕は天使騎士団長を務めている熾天使です」
「オズの国の天使さん達の中で一番偉い人なのね」
「そうです」
 その通りだというのです。
「団長を務めさせてもらっています」
「そうなのね、やっぱり」
「そうです、そして何故私が男だとわかったのですか?」
「だって天使の人達は皆男の人だし」
 それにというのです。
「貴方の声も男の人のものだから」
「えっ、どう聞いても」
 ポリクロームの今の言葉にです、ジョージは驚いて言いました。
「この人の声は」
「女の人の声に聞こえるのね」
「そうなんですけれど」
「いえ、僕の声はです」
 団長さんからジョージに言ってきました。
「男のものです」
「とてもそうは」
「この声はカウンターテノールなのです」
「カウンターテノール?」
「男の人の声で高いものをテノールといいますが」
 その声からです、団長さんは説明しました。
「それよりもさらに高い、裏返して歌う声をです」
「そうした声をいうんですね」
「そうです」
 それがカウンターテノールだというのです。
「そうなっています」
「そうなんですね」
「はい、ただ僕は声を裏返していなくても」
「そのお声なんですね」
「そうなのです」
「それでそのお声ですか」
「はい、ポリクロームさんはおわかりですね」 
 こうポリクロームにも言うのでした。 
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