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ポケットモンスター 急がば回れ

作者:おうーん
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10 ブルー対エリカ

イエロー「ブルー、イミテが言ってたことが気になるの?」

ブルー「うん……」

イエロー「きっとロケット団がいて危険だからって意味だよ。
それよりそのボールに入ってるポケモンは?」

ブルー「何かしら」

ブルーはモンスターボールを放り投げる。
空中で開いて黒いシルエットが出てきて、そしてゲンガーが現れる。

ブルー「ギャー! お化け!」

イエロー「ゲンガーだよ。ゴーストタイプのポケモンだ」

ブルー「え? ポケモン?」

ゲンガーはブルーの手を取って嬉しそうに踊っている。
ずいぶん懐いているようだ。

ブルー「やっぱりこわーい!」

逃げるブルーを、ゲンガーは楽しそうに追いかける。

イエロー「でもどうしてイミテはこんな珍しいポケモンをブルーにあげたんだろう」

ピカチュウ「ピカ」

イエロー「あのゲンガー、ブルーにまた会えて嬉しいって?」

ピカチュウ「ピカ」

イエロー「もともとブルーのポケモンだったのかな?
バッジがなくてもあんなに懐いてるし」

ブルー「あたし知らないわよこんなお化け!」

ゲンガーをモンスターボールに戻す。

イエロー「さあ、タマムシに来たことだしタマムシジムに挑戦だ!」

ピカチュウ「ピカ!」

ブルー「いーや、まずはデパートで買い物よ!」

イエロー「えー?」

ブルー「当然じゃない。
やっとマサラのド田舎から脱出できたと思ったのに、ヤマブキではロケット団のせいで都会を満喫できなかったんだから」

イエロー「でもブルー、買い物するだけのお金あるの?」

ブルー「あ……ない。あんた貸しなさい」

イエロー「傷薬やモンスターボールなら貸してもいいけどお金だけはダメだよ」

ブルー「そんなー」

イエロー「そんなにお金が欲しければジムリーダーを倒して賞金を貰うことだね」

ピカチュウ「ピカ」

2人とピカチュウはタマムシジムへ向かった。

イエロー「えっ? 僕は挑戦できないんですか?」

トレーナー「そう、タマムシジムは男は入れないのよ」

イエロー「じゃあ仕方ないか。
僕はデパートで買い物でもして待ってるから。
頑張ってね、ブルー」

ブルー「何よそれ嫌味?」

トレーナー「さあいらっしゃい!
あなたみたいなかわいい娘なら大歓迎よ!」

ブルー「え? かわいい娘? あはははは……」

なぜか笑ってごまかすブルー。

エリカ「はあーい……
よいお天気ね、気持ちいい……
すー……すー……」

ブルー「この人がジムリーダー?」

着物とショートカットの似合うおしとやかな人で、とてもバトルが得意であるようには見えない。

トレーナー「エリカさん、挑戦者ですよ!」

エリカ「あらいけない、寝てしまったわ……
ようこそ。わたくしタマムシジムのエリカと申します。
お花を生けるのが趣味でポケモンは草タイプばかり……」

ブルー「あたしはブルー!
スイーツのお店巡りが趣味で、ポケモンは今のところ水タイプとゴーストタイプよ!」

エリカ「あらやだ、試合の申し込みですの?
そんな……わたくし負けませんわよ」

レフェリー「使用ポケモンは3体。
手持ちが3体以下の場合は手持ち全て。
使用できる道具は挑戦者は無制限、ジムリーダーは4つまで。
ジムリーダーは挑戦者のバッジの数により定められたポケモンを使用すること。
使用できるポケモンがいなくなったら負け。
反則行為は即失格」

エリカ「ブルーさん、あなたバッジは幾つお持ちですの?」

ブルー「1つも持ってないわ」

エリカ「あらそうですの。
ではこの子たちでお相手いたしますわ」

袂から2つのモンスターボールを取り出す。

ブルー「2対2……数では互角ね」

レフェリー「始めっ!」

エリカ「行きなさい、ナゾノクサ!」

ブルー「お願いっ、ゼニガメ!」

エリカ「不利な水タイプで挑むとはなかなか勇敢な方ですのね」

ブルー「ゼニガメ、水鉄砲!」

ゼニガメは口から勢い良く水を噴射させる。
飛沫をあげてナゾノクサの顔面に命中する。
しかし気持ちよさそうにしているだけでダメージを与えた様子はない。

エリカ「植物にとって水は大事な栄養ですわ」

ブルー「もー! どうすればいいの!?」

エリカ「もっと栄養をいただきますわよ!
ナゾノクサ、メガドレイン!」

ナゾノクサの足元から根が伸びて獲物を狙う。
ゼニガメを捉えるとあっという間に締めあげる。
がんじがらめにされたゼニガメから養分も体力も吸い取っていく。
苦しそうに耐えていたが、ついに倒れてしまった。

レフェリー「ゼニガメ、戦闘不能! ナゾノクサの勝ち!」

ブルー「顔に似合わずえげつない技ね」

エリカ「見た目に騙されちゃいけませんねぇ」

エリカは妖しく微笑む。
さっきまでのおっとりした彼女はどこかへ行ってしまったようだ。

ブルー「ありがとうゼニガメ。ゆっくり休んでね」

ゼニガメのボールをしまい、もう一つのボールを取り出す。

ブルー「もうこいつに頼るしかないわね……
お願いっ、ゲンガー!」 
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