雨音
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第三章
「攫われるから」
「気をつけないとね」
「絶対にね」
「早く捕まればいいのに」
「本当にね」
こうしたことを二人で話していた、犠牲者の噂が出ていてそれが女の子達と家族の不安をさらに大きくさせていた。
それでだ、警察も黙っておれずに。
この噂について捜査をはじめた、すると。
捜査班の面々はすぐにだ、ある話との関連性に気付いた。
捜査にあたっていた若い刑事がだ、捜査班長にこう言った。
「実は被害届けが出ていまして」
「誘拐のか?」
「いえ、ストーカーです」
刑事は班長に答えた。
「実は青葉区に住んでいる女子大生の人から届け出がありまして」
「ストーカーのか」
「雨が降っている夜の時に襲われて何とか逃げたことがあったそうです」
「それでどうなった」
「その時は逃げられたそうですがまだストーカーは続いているとか」
「ではそれがか」
班長もここで気付いた。
「この噂の元か」
「そうかも知れません」
「どっちにしてもそのストーカーは放っておけないな」
「襲いもしていますからね」
「これは何とかしないといけない」
班長は鋭い目になって刑事に告げた。
「そのストーカーを取り調べて捕まえるか」
「そうしましょう」
「さもないと大変なことになる」
ストーカー行為がエスカレートしてだ、それを警察が放置して殺人事件になったことが幾つもあって班長もそれを気にしているのだ。
「だからな」
「はい、それじゃあ」
こうしてだった、そのストーカー事件についての捜査に重点が移ってだった。そのストーカーをしていた男が取り調べられると。
実際に女子大生がバイト帰りに夜間雨の時に一人で歩いている時に襲っていた、それも一度ではなく二度だ。女子大生はどの時も幸いにして自力で逃げられていたが。
盗撮や脅迫電話等執拗な嫌がらせとも取れるストーキング行為であった、その捜査の後でだ。警察は彼を逮捕した。
この事件のことは報道されてだ、仙台市民達はわかったのだった。
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