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第二章

「構わない」
「有り難うございます」
「だがそれでもだな」
「はい、頭をです」
「そして薄毛をだな」
「隠していました」
 その鬘でというのだ。
「そうしていました」
「余と同じだな、では」
「それではですね」
「その鬘を作らせよう」
 王はあらためて言った。
「そしてだ」
「鬘をですね」
「被ろう、そしてだ」 
 その薄毛、もっと言えば若禿を隠そうというのだ。そして王はその鬘を作らせて実際にであった。
 頭に被ってみた、そして周囲にその鬘を被った姿を見せて問うた。
「どうだ」
「はい、それならです」
「わかりません」
「豊かに見えます」
「それもかなり」
「そうか、ならいい」
 王も彼等の言葉を聞いて満足した、そしてだった。
 王はこの時から鬘を被る様にした、そしてそれが。
 王と会う貴族達もだ、次第にだった。
「あれで薄毛が隠せるのならな」
「実にいいことだ」
「私も最近気になっていた」
「私もだ」
 男の悩みをだ、彼等の多くの抱えていたのだ。
「髪の毛が」
「近頃どんどん」
「しかしだ」
「鬘を被れば」
「それで隠せる」
「その頭がな」
 こう話すのだった、そしてだった。
 貴族達も鬘を被りだした、最初は隠すだけだった。
 だが、だ。自然にだった。
「黒髪だけでは飽きる」
「茶色だけでは」
「他の色も欲しい」
「他の色の鬘も」 
 自然とだ、鬘を着けている者達はこう思いはじめたのだ。
「そのスタイルもな」
「もっと欲しいな」
「それぞれな」
「鬘は一つだけでは駄目だ」
「幾つも欲しい」
「それで色々な髪型になりたい」
「どうせ鬘だ」
 ここでだ、鬘であるということが強く意識された。
 そしてだ、その鬘がというのだ。
「取り替えられるからな」
「そこが本来の髪と違う」
「ならいいな」
「それじゃあな」
「他の鬘も用意しよう」
「そして色々な髪型になろう」
「髪の色もな」
 こうしてだ、すぐにだった。
 鬘を被る者達は様々な鬘を用意しだした、そうして彼等のヘアスタイルを見てだった。
 鬘を被っていないつまり地毛がある本来なら幸せな面々もだ、考えだした。
「ああして様々な髪になれるのなら」
「我々もだ」
「被るか」
「そうするべきか」
「隠すだけではないぞ」
「色々な髪型になれる」
「髪の毛の色も変えられる」
 そうしたことを見てなのだ。 
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