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オズのポリクローム

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第五幕その十一

「自分で飛んでいる感じがして」
「しかも後ろまで見られて」
「普通は見られないところまで見られて」
「普通に飛んでいるよりも」
「ずっといいです」
「うん、私もそう思うよ」
 魔法使いもでした、このことは。
「こうして三百六十度お空の中を見られるとね」
「ただお空の旅をするよりも」
「ずっといいですよね」
「下の雲も地上も見られて」
「星空も見られて」
「最高ですね」
「最高の旅です」
 五人はお寿司と夜の上も下も見られる状況を見てでした、幸せな気持ちになっていました。そしてなのでした。
 その中で、です。ポリクロームは皆に言いました。
「下を見て」
「下?」
「下をですか」
「ええ、私達の下をね」
 丁渡足の下をというのです。
「見ましょう」
「あっ、下は丁渡」
「オズの国ですね」
「田畑もあって」
「家もありますね」
「森も道もあって」
「全部見えますね」
 五人もその夜の中にあるオズの国を見ました、暗いので色でどの国かはわかりませんが。
 魔法使いはポケットから方位磁針を出してでした、方角を確かめてです。
 それからです、地図も出して下の山を見て言いました。
「ギリキンだね」
「今僕達がいるのはですね」
「ギリキンの上ですね」
「僕達はそこにいるんですね」
「そうなんですね」
「そうだよ、そこにいるよ」
 丁渡そこだというのです。
「ギリキンの上にね」
「お昼は紫でわかりますけれど」
「夜はわかないですね」
「暗いせいで色がわからなくて」
「少し見ただけだと」
「わからないですね」
「同じ場所でもね」
 それでもとです、魔法使いはハマチのお寿司を食べつつ言いました。
「昼と夜では違うよ」
「時間が違うとですね」
「同じ場所でも」
「全く違う」
「そうなるんですね」
「そうだよ、昼と夜は同じ世界でもね」
 そして同じ場所でもというのです。
「全く違う世界なんだ」
「時間が違うと、ですね」
「同じものでも違ってくる」
「そういうことなんですね」
「そうだよ、だから下のギリキンの国もね」
 その国もというのです。
「今は紫が見えなくてね」
「それで、ですね」
「そうだよ、だからね」
「ああしてですね」
「お昼と受ける印象が違うんですね」
「それも全く」
「そうなんですね」
 五人も頷きます、そして。
 トトもです、こう言うのでした。
「あの中にいるのと上から見るのとね」
「また違うわね」
 ドロシーがトトに応えます。 
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