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2部分:第二章


第二章

「俺は一体どうなったんだ・・・・・・」
 彼は病室で一人呟いた。原因不明の病気なので面会謝絶となり彼に会いに来る者はいなかった。家族も仕事の同僚も彼に会いに来ることはできなかった。
 彼と顔を合わせるのは医者と数人の看護婦だけであった。彼はその医者に対して尋ねた。
「先生」
「はい」
 医者は答えた。
「私の胃の中には何がいるのですか」
「・・・・・・・・・」
 医者はそれに対し答えようとしない。
「答えて下さい」
 彼はその幽鬼の様になった顔で医者に問うた。
「私は一体何の病気なのですか」
「それは・・・・・・」
 医者は難しい顔をした。
「ご存知なのですか、私が一体何の病気であるのかを」
「いえ・・・・・・」
 医者は難しい顔をしたまま首を横に振った。
「そんな、私は何の病気にかかっているのかもわからないのですか・・・・・・」
 彼はそれを聞いて絶望した顔になった。
「はい・・・・・・」
 医者は力ない声で答えた。
「貴方のご病気が何であるか、私達にもわかりません。身体の何処にも異常はないのです」
「そんな、私は今も胃に激痛を感じているのですよ」
 彼は苦しい声で言った。
「それはわかっています。しかし」
 彼は苦しい顔で言った。
「レントゲンを撮っても異常は全く見られないのです。確かにほんの小さな穴が数個見られるのですがとてもそこまでの衰えの原因になるものとは」
「穴ですか!?」
 彼はそれを聞いて言った。
「はい。ですがほんの零点数ミリ程の穴です。痛みなぞとても感じられないような」
「穴・・・・・・」
 彼はそれを聞いて考え込んだ。
「先生、手術をお願いできますか」
「えっ!?」
 医者は彼の申し出に驚いた。
「しかしそのお身体では・・・・・・」
 生命の危険すらあった。だが彼は頼み込んだ。
「お願いします、このまま死ぬよりは余程いいです」
「そうでしたら・・・・・・」
 彼もそれを承諾した。確かにこのままでは彼が死んでしまうことは火を見るより明らかであったからだ。
 そして手術は開始された。特別に外科の中でも特に知られた名医に頼んで来てもらった。
「開始します」
 彼は準備を整えた。
「はい」
 周りの者達が答える。そしてその医者は横たわる彼の腹部にメスを入れた。
「見たところ何もないが・・・・・・」
 胃には何もなかった。だが出血によりその中は血の海であった。
「この程度の穴でここまで出血するものだろうか」
 医者は不思議に思った。そして胃の中を調べていった。
「ムッ!?」
 そこで彼はとあるものに気がついた。血の中に何かが光っているのだ。
「これは・・・・・・」
 それをピンセットで取った。それは小さな、米粒よりも遥かに小さいものであった。
 気をつけないと見えない程のものだ。彼はそれを丹念に全て取っていった。
「これは一体何だ!?」
 彼は周りの者に尋ねた。
「それは・・・・・・」
 誰もそれが何なのかわからない。ただ首を横に振るばかりである。
 ともあれ胃の中にあるそれを全て取った。そして胃の傷跡を塞ぎ手術は終わった。
 彼は暫く絶対安静の状態であったが次第に体力を回復していった。身体にも肉が戻り血色も次第によくなっていった。
「どうやら助かったみたいですね」
 彼は手術を担当した医者に対してまだ弱々しい笑顔で言った。
「はい、どうやら峠は越えましたね」
 その医者も笑顔で答えた。
「ところで先生」
 彼は医者に対して尋ねた。
「私の病気は何が原因だったのですか!?」
「虫です」
 彼は答えた。
「虫!?しかし私の胃の中には何もないと・・・・・・」
「レントゲンでは確かに何も映ってはおりませんでした」
「ではその虫は・・・・・・」
「はい、どうやらレントゲンに映りにくい身体の構造だったようです」
 医者は深刻な表情で答えた。
 
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