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オズのポリクローム

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第三幕その十

「それぞれの国の色があるよ」
「じゃあカワウソも」
「そうよ」
 ドロシーは恵理香にも答えました。
「それぞれの国の色よ」
「他の生きものと同じで」
「マンチキンなら青でね」
「ウィンキーなら黄色ですね」
「そうした色になっているのよ」
「そうなんですね、わかりました」
「まあ僕達はね」
「僕達の色だけれどね」
 ここで臆病ライオンと腹ペコタイガーもお話しました。
「僕達がこの色でいたいって思っているから」
「この色なんだ」
 二匹共それぞれ他の国の生きものの毛並みです、腹ペコタイガーにしても奇麗な黄色と黒の虎模様です。臆病ライオンも立派な鬣までそうです。
「マンチキン生まれだけれどね、僕は」
「僕は元々カドリングにいたんだよ」
「あっ、そういえば」 
 ジョージは腹ペコタイガーのカドリングにいたという言葉であることに気付きました。
 そしてです、腹ペコタイガー自身に尋ねました。
「腹ペコタイガーさんって」
「うん、カドリングにいてね」
「臆病ライオンさんとはじめて会ったのは」
「そうだよ、ライオン君が森の大蜘蛛を退治した時にね」
「はじめて会ったんだね」
「その時からの知り合いで」
「ずっと一緒にいるんだったね」
「思えば長い縁だね」
 腹ペコタイガーはジョージに笑ってお話しました。
「僕とライオン君は」
「本当にそうだね」
「王宮にも入ってね」
「色々な人達とも出会って友達になって」
「随分とね」
「最初の頃と比べると賑やかになったよ」
 こうお話するのでした、そして。
 腹ペコタイガーもリョコウバト達を見ました、そうしてでした。
 その長い舌を出して舌なめずりをしてこんなことを言いました。
「あの鳩達美味しいだろうね」
「また食べることを言うんだ」
「だから僕はいつもお腹が空いているんだよ」 
 その名前の通りとです、ジョージにも言います。
「だからね」
「全く、いつも誰よりも食べているのに」
「誰よりも食べてもね」
「誰よりもお腹が空くの?」
「そうなんだ」
 だからだというのです。
「それでね」
「リョウコウバトも食べたいんだ」
「食べることを許してもらったらね」
 その時はというのです。
「食べたいね」
「それでなんだ」
「うん、ただね」
「ただ?」
「食べることを許してもらってね」
 それで、というのです。
「鳩君達もいいっていうのならね」
「食べるんだね」
「そうなった場合はね」
「まあね、誰かが許してもね」
 ジョージは腹ペコタイガーにこう答えました。
「鳩君達はいいって言わないよ」
「やっぱりそうなんだ」
「言う筈がないよ」 
 とてもというのです。 
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