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オズのポリクローム

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第三幕その九

「海の中にいるだけでね」
「悪いことは何もしなくて」
「海草を食べているだけだよ」
「本当にそれだけの生きものですよね」
「凄く大きいけれどね」 
 それでもというのです、魔法使いも。
「何もしない静かな生きものだよ」
「そうらしいですね」
「それではね」
「機会があれば」
 まさにその時はというのです。
「お願いします」
「わかったよ、じゃあね」 
 こうしたこともです、魔法使いは皆とお話しました。そして。
 ドロシーはです、少し考えるお顔で皆に言いました。
「私がまだカンサスにいた頃はあのハトもいたわ」
「アメリカにですね」
「ええ、数はかなり減っていても」
 それでもとです、ジョージに答えます。
「いたのよ」
「そうなんですね」
「けれどもうなのね」
「はい、僕の頃にはです」
 つまり今はというのです。
「いないです」
「そうよね、私はアメリカではこの目では見ていないけれど」
「それでもですね」
「アメリカにもまだいたのよ」
「そうなんですね」
「百年少し前はね」
 そうだったとです、ドロシーはジョージにお話するのでした。
「それでヘンリーおじさんとエマおばさんのお父さんの頃はね」
「凄く多かったんですよね」
「もう群れがお空を覆う位で」
 ドロシーはおじさんとおばさんから聞いたお話もしました。
「木に止まると木の葉よりも鳩が多い位にね」
「沢山止まったんですね」
「そうだったらしいわ、アメリカに凄く沢山いたのよ」
「それがいなくなったんですね」
「そうなの」
「ううん、残念なお話ですね」
 ジョージも悲しいお顔で言います。
「それは」
「ジョージはこのお話は聞いたことがあるの?」
「いなくなったことは聞いていました」
 アメリカからリョコウバトがそうなったことはというのです。
「ですが」
「それでもよね」
「はい、そこまで沢山いたことは」
「聞いてないのね」
「そうでした」
 こうドロシーにお話しました。
「まだ」
「けれど今聞いたわね」
「それで覚えました」
「そうしたこともあったのよ」
「けれどオズの国ではですね」
「リョコウバトも他の生きものもいるから」
 だからだというのです。
「楽しんでね」
「わかりました、見ることも」
「そうしてね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「リョコウバトは元々色が青かったそうですが」
 ジョージは今自分達が見ているリョコウバト達を見つつ言うのでした。
「あのリョコウバト達はマンチキンのリョコウバトだからですね」
「そう、青いのよ」
「そのことからですね」
「それぞれの国で色が違うから」
 リョコウバト達もというのです。
「他の鳩達もね」
「そういうことですね」
「そうよ、それでね」
「それで、ですね」
「他の生きものもよ」
 他の外の国ではいなくなった生きもの達もというのです。 
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