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オズのポリクローム

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第一幕その五

「そうしているんだ」
「そうなんですね」
「あの娘はそうした娘なんだ」
「生粋の冒険者で」
「そう、いつも周りに人がいてくれる」
「神様のご加護があるんですね」
「そうだね、あの娘にはね」
 それがドロシーだというのです、こうお話してです。
 そしてです、五人はボームさんと一緒にお茶とお菓子を楽しみました。ういろうは七種類あってそのどれもが美味しいです。
 ボームさんとお話をしてからです、五人は王宮の中庭に出ました。そこでかかしや木樵と一緒にクリケットをしているドロシーに会ってです。
 ボームさんのことをお話しました、するとです。
 ドロシーはにこりと笑ってです、五人にこう言いました。
「あの人がアメリカを去る時にね」
「その時にですか」
「そうなの、皆であの人がオズの国に来る様にお願いしたの」
「それでオズの国に来られたんですね」
「しかも王宮にね」
 そこにというのです。
「そうお願いしたの」
「そうだったんですね」
「そう、それでね」
「それで、ですか」
 ジョージがドロシーの言葉に応えます。
「ボームさんはこの王宮に来られたんですね」
「そうなの」
「成程、そうだったんですね」
「それで来てくれて」
 そしてというのです。
「今は皆と楽しく過ごしているのよ」
「オズの国の歴史編纂係としてですね」
「あの人がいなかったら」
 それこそともお話するドロシーでした。
「私達のことを誰が皆に教えてくれたか」
「うん、そのことはね」
「わからなかったよ」
 かかしと木樵も言うのでした。二人共今日はエメラルドの都に来てドロシーと遊んでいるのです。横には臆病ライオンと腹ペコタイガーもいて気持ちよさそうに寝ています。
「果たして誰が教えてくれたか」
「一体ね」
「そのことはね」
「わからなかったね」
「そうなの、ボームさんがいてくれたから」
 ドロシーも言うのでした。
「私達のことが皆に知ってもらってね」
「そしてね」
「後にも王室編纂係の人が出てくれたんだよ」
「今も書いてくれていて」
「賑やかになっているんだ」
「そうなんですね、最初にボームさんがいてくれて」
 そしてとです、ジョージはまた言いました。
「後の人も出て来たんですね」
「最初に誰か出てくれないと」 
 ドロシーがお話しました。
「何もはじまらないのよ」
「ううん、そうなんですね」
「最初に誰か出てくれないと」
「お話は動かない」
「何もはじまらないんですね」
「そうしたものなんですね」
 ジョージだけでなくです、四人も頷くのでした。
「ううん、ボームさんがいてくれなかったら」
「僕達もオズの国のことを知れなかったかも知れないんですね」
「そしてこうしてドロシーさんに会えなかったかも」
「オズの国に行くことも」
「なかったかも知れないんですね」
「そうかも知れなかったのよ」
 実際にとです、ドロシーは五人に答えました。
「私も皆に会えなかったかもね」
「ボームさんがおられてこそ」
「それで、ですか」
「僕達はドロシーさんを知ることが出来て」
「オズの国にも来られて」
「皆さんとも会えたんですね」
「そうなるわ、だから皆ボームさんに感謝しているの」
 それこそというのです、ドロシーも。
「そして今はあの人とも楽しく遊んでいるのよ」
「ボームさんもスポーツをされるんですか?」
 ジョージはドロシーにこのことを尋ねました。
「あの人も」
「いえ、あの人はね」
「何かスポーツはでしたよね」
「ご自身がされることはあまりないの」
「アメリカにおられた時はお身体が弱くて」
「そうした方だったから」
 だからだというのです、オズの国に来てからも。 
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