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大統領の日常

作者:騎士猫
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本編
  第三十八話 首都戦6

 
前書き
最近なんか話を進められない・・・
思いついても日常系・・・
出来るだけ早く投稿できるように頑張ります。

 
修正点
・妖精さんの人数説明を名から人に変更
・「我々は皇帝陛下に忠誠を尽くす兵士であって貴族の”兵士”ではない」→「我々は皇帝陛下に忠誠を尽くす兵士であって貴族の”私兵”ではない」
・ビッテンフェルトの口調を丁寧語(~ました)から原作基準の(~いただく。~だろう)といった少し砕けた感じの口調に変更しました。 

 
西暦2115年 11月 13日


ペルシャール率いる武装親衛隊が新無宮殿を地獄に変えていたころ、沿岸部では艦娘と深海棲艦による敵前上陸が敢行されていた。敵前上陸といっても上陸前に艦砲射撃と、その前にあった皇帝派軍の砲撃によって焼け野原と化していたため、ほとんど無血上陸に近い状態であった。

上陸した兵力は艦娘側は各艦に乗っている保安隊で編成された800人、深海棲艦側は揚陸艦1隻に100人が乗り込んでおり、それが800隻いるため80000人である。ちなみに艦娘側の妖精はバズーカ程度までしか装備していないのに対して、深海棲艦側は元々人類の主な活動領域である陸地に侵攻するために地上装備もある程度配備されており、中戦車を主力とした戦車部隊も存在する。これは余談だが、妖精の乗り物は人間の車両と大きさは変わらないので、乗ることも可能である、
対して貴族側は艦砲射撃前機甲師団1師団、自動車機械化師団1個師団、歩兵2師団が配備されていたが、戦闘前に行われた皇帝派軍による艦砲射撃と、上陸前に行われた艦娘・深海棲艦艦隊による艦砲射撃によって運よく防空壕に避難できた2000名を除いてほぼ壊滅していた。防空壕に戦車を入れることなどできるはずもなかったので、全員ただの歩兵である。

そしてその生き残りも防空壕から出る前に妖精さんが”ゴミどもは焼却処分だ、ヒャッハァアア!!!”と叫びながら火炎放射器で丸焼きにしたため、全滅した。

国内2番目の大きさを誇る軍・民間用港は、妖精部隊によって赤子の手をひねるがごとく防衛部隊を殲滅され占拠された。占拠した港のドック内で1000人の妖精と艦娘の明石が発見され、全員が協力の意思を見せたため、合流を果たした。その際、いつか貴族たちに反抗するためにひそかに準備していた”超電磁砲”や”アトミック・バズーカ”等のチート武器を譲渡したため、艦娘の妖精たちも攻撃力が格段に上昇した。こうして沿岸部を占拠した妖精部隊は、そのままの勢いで市街地に突入した。

「毎回毎回むちゃな要求してくるんじゃないわよ!こちとら艦艇修理専門なんだよ!!」
日ごろから無茶振りな要求ばかりされていた明石は、両手にアトミック・バズーカ、腰にはパンツァーファウストをこれでもかというほど下げ、背中にはBrowning M1918、両足の太ももには2丁のソード・トカレフという重武装で、貴族派軍を蹴散らしていた。

貴族派軍の市街地専用の軽戦車部隊が姿を現し、忌々しい小人ども(妖精さん)を蹴散らしにかかったが、あの姿からは想像できないほどの運動神経を備えているため、鬼ごっこをしているように笑いながら避けられ、戦車兵たちの怒りを溜めていった。
妖精たちも何も考えずに逃げているわけではなく、大通りを抜けたところある公園に誘導していった。
そしてまんまと誘導された軽戦車部隊は、大通りの両脇にあるビルや、正面の公園で待ち伏せていた別同部隊によって超電磁砲や対戦車兵器の集中砲火を受けて逃げる間もなく鉄くずと肉片に代わって行った。

その後も妖精部隊はその小ささを生かした市街地戦を展開し、貴族派の部隊を次々に殲滅、降伏させていった。ディベル粒子によって通信機器が使えない状態であったため、妖精部隊はペルシャール率いるSSのいる新無宮殿へと向かった。


一方皇帝派の地上部隊は、首都郊外の防衛線を突破し、市街地へと突入していった。
しかし、そこではすでにクーデターの情報を聞いて蜂起した市民たちと貴族派軍の間で戦闘状態になっていた。
「今までやってきたことをそのまま返してやる!!」
「何が門閥貴族だ!帝国に寄生するだけのゴミ虫どもめ!」
蜂起した市民の中には憲兵隊も混ざっており、武器は大量にわたっていた。
「我ら優秀なる門閥貴族にたてつくなど言語道断である!帝国に楯突こうとする反徒どもは抹殺せよ!」
貴族派軍の指揮官である貴族はそういって戦車部隊に砲撃を命じたが、誰一人として撃とうとはしなかった。
「ええい!撃て!撃てというに!!」
そう叫ぶが誰もトリガーにさえ指をかけることはなかった。そして怒りでこぶしを震わせている指揮官のそばに副官が近づくと、
「我々は皇帝陛下に忠誠を尽くす兵士であって貴族の私兵ではない」
そう言って銃を取り出してその貴族の頭を撃ち抜いた。
「帝国に寄生する寄生虫どもに鉄槌を下す!皇帝陛下万歳!!」
副官は銃をしまうと部下に向かってそう言った。


その後も攻撃してくる貴族派軍の抵抗を排除した妖精部隊は新無宮殿にたどり着いた。しかし、そこで最初に聞かされた報告は大統領意識不明の重体の報であった。これを聞いた妖精部隊は直ちに艦娘、深海棲艦に伝えるために伝令を走らせた。

激戦が繰り広げられているその上空では、貴族派軍を殲滅させたロンディバルト軍が、シヴァを集結地点として集結していた。
そしてそこへ内火艇の連絡艇が到着したのはビッテンフェルトが報告のためにシヴァの艦橋についた直後であった。

「貴族派軍の別働隊の殲滅は完了した。我々は本体の攻撃に移らせていただく」
報告を手短に済ませて早々に敬礼して退出しようとするビッテンフェルトをハイドリヒは手で制した。
「その必要はない。既に本体は降伏して皇帝派についたとの連絡が来た。我々は大統領のいる新無宮殿に向かう」
「・・・了解した。では旗艦の方に戻らせてもr・・・」
「内火艇の連絡艇から急報です!!」
ビッテンフェルトの言葉を遮ったのはオペレーターの報告であった。
「急報だと?」
「はっ、新無宮殿の制圧中にミースト大統領が腹部に重症を負い、現在意識不明の重体とのこと・・・」
「な、なんだと!おのれ貴族どもめ!!せめておれの手で、奴らを皆殺しにしてくれる!!」
そういってビッテンフェルトは旗艦に戻ろうとしたが、それを再びハイドリヒが手で制した。
「ビッテンフェルト少将、気持ちはわかるが独断専行を許すわけにはいかない。それに大統領が指揮をとれない状態にある以上最上位である私がここの指揮を取ることになる」
「・・・・・・」
「命令に変更はない。全艦集結し次第新無宮殿に向かい、周囲の安全を確保する」
ビッテンフェルトはこぶしを震わせながらも敬礼すると、無言で艦橋を出て行った。

「ニコラフスキー大佐」
「は・・はっ!!」
それを見ていたニコラフスキーは自分が呼ばれるのに気付かず、そのすぐ後に自分の事だと分かるといつもの倍の声で返答した。
「保安隊と救護班の用意を」
「了解しました!」ニコラフスキーはそう答えるとそばにあった通信機で保安隊と救護班に出動準備命令を出した。

続いてハイドリヒはオペレーターの方を向いて言った。
「それと本国に首都戦と大統領負傷の件を伝えておけ」
「ディベル粒子の影響で通信ができない状態です」
「ビッテンフェルト少将指揮下の駆逐艦を範囲外まで行かせて報告させろ」
「了解しました」


西暦2115年 11月 13日
ホルス・ラーム


「大統領が重傷を負い、意識不明の重体とはどういうことだ!!」
暫定副大統領(国務委員長兼任)のクロスムがアイフェーン元帥に向かって怒鳴った。元帥は微動だにせず報告を続けた。
「現在、大統領は座乗艦シヴァにて治療を施されております。しかし、なおも予断を許さない状況です。ロサンゼルスに待機している部隊は大統領閣下が出撃時に率いて行った艦娘の艦隊、オッソラに向かう道中で合流した深海棲艦5万隻、そしt・・・」
元帥が言い終わる前に地域開発委員長のシュピードが恐る恐る手を挙げて発言した。
「あ~ちょっと質問いいですか?」
元帥が彼の方を向き、”どうぞ”といった。それを聞いたシュピードが立ち上がって質問した。
「その道中で合流したっていう”深海棲艦”とやらはいったいなんなんだい?それも5万隻という数字が気になるのだが・・・」
シュピードが言い終わると、元帥が”しまった”といった表情であわてて書類をあさり始めた。
彼は優秀なのにおっちょこちょいだから困る。酷い時はS級機密文書をカフェで読むなんてことがあったからそれに比べれば大したことはないだろうが・・・

「失礼いたしました。道中で合流した深海棲艦と名乗る勢力は、大統領から送られていた書類によりますと艦娘がいた世界のいわゆる”敵キャラ”に当てはまるもののようでして・・・」
再び元帥の報告を遮るようにシュピードが大声を出した。
「敵キャラって・・・アイフェーン元帥!元帥は大統領に危険が迫っていることを予期したながらわざとほおっておいたのか!?まさか、大統領重傷を負わせたのもその深海棲艦とかいうやつらなんじゃ・・・。クロスム副大統領!今すぐ軍を派遣してその深海棲艦を拘束しましょう!こうしている間にも大統領の身に危険が差し迫っているのですよ!?」
シュピードが長ったらしく行っている間、元帥は”あの~?”とささやくように繰り返していた。クロスム
はうんざりした表情をしつつシュピードの発言を手でやめさせると、さっきから何か言おうとしている元帥に”続きを”といった。
元帥は再び立ち上がると報告を続けた。立ち上がる際に”ここのくらいでわめいてんじゃねーよ。口を縫い合わすぞ”と聞こえた気がするが、きっと気のせいだろう。
「えー、報告を続けさせていただきます。先ほど敵キャラと報告いたしましたが、あくまで本来いる世界での話でして、この世界では友好的な勢力だそうです。内部も高度に組織化されており、知性を有していることも判明しております」
一度言葉を切って元帥はシュピードの方を向いたそしてすぐに正面を向くと言葉をつづけた。
「では、本来の報告を続けさせていただきます。ロサンゼルスにはローゼクルムト王国共同領地であるオッソラに待機中だった第三独立艦隊も同行していたようです」
第三独立艦隊?確かビッテンフェルト少将の艦隊だったか。猪突猛進の脳筋艦隊で知られていたな。大統領が無理やり連れて行ったのだろう。
「では、これまでの簡単な流れをご説明したいと思います。10月23日に大統領は座乗艦シヴァに乗り込み、艦娘艦隊を率いてオッソラに向け出港。翌日に深海棲艦計5万隻と遭遇、大統領の指揮下に入りました」
彼方此方からため息が聞こえた。
どうしたら初めて会った得体のしれない勢力と協力関係を築けるのか・・・
大統領はいろんな意味で普通の人を超えている気がする。
「11月4日にはローゼクルムト王国共同領地オッソラに到着。その翌日には第三独立艦隊とハイドリヒ長官を含む親衛隊を加え、オッソラを出発してロサンゼルスに向けて移動を開始しています」
そこでクロスムが手を挙げた。元帥がそれに気づいてどうぞというと、クロスムは席を立った。
「一つ質問なのだが、オッソラに一度寄港した理由はなんなのだ?理由もなしに共同領地ではあるが、他国の領地に入ることはないだろう?」
「報告書によりますと、どうやら10月20日にハトゥイルカ近海にて海第6艦隊がガルメチアス帝国軍と交戦、その際に発見した女性兵士がオッソラの病院に収容されていたのですが、その女性兵士が艦娘だったようでそれを向かいに行くためだと・・・」
何度目かわからないため息を吐いた。少女一人を迎えに行くためにわざわざ共同領地に出向く大統領って・・・
クロスムは頭を抱えながら大領の薬を飲んでいた。わきには今飲んだのであろう数粒しか入っていない便がいくつも転がっていた。元帥はそれを見てため息を吐いていた。
「報告を再開します。オッソラを出発した後はそのままロサンゼルスに向かい、同13日には近海まで到着、そこで皇帝派によるクーデターが起きたていることを知り、皇帝派と協力体制に入りました。その後、シヴァ、艦娘・深海棲艦連合艦隊とビッテンフェルト少将の第三独立艦隊に分かれ、それぞれ皇帝派軍と共同で貴族派軍と交戦、その途中で大統領と親衛隊を内火艇及び強襲揚陸艦3隻と護衛艦6隻を従えて新無宮殿に突入、本殿の制圧し艦娘宿舎も制圧、制圧終了直前に大統領が艦娘の一人に腹部を撃たれ、意識不目の重t・・・」
元帥が報告していると再びシュピードが席を立って話し始めた。
「艦娘に撃たれた!?艦娘は友好的な勢力ではなかったのですか!?そうだ、そのかわいらしさに大統領は洗脳されているに違いない!副大統領!直ちに軍を派遣して艦娘を拘束すべきです!」
さすがに二度目になると、他の委員長たちは今にも席を立ちそうなぐらいうんざりした表情を示した。それに気づくことなく永遠と話しつづけるシュピードをクロスムがため息を吐きつつやめさせると、元帥がこめかみをぴくぴくさせながら報告を続けた。書類を持つ前に右手が銃を握っていた気がするが、きっと目が疲れていただけだろう。
「報告を続けます。その頃第三独立艦隊は貴族派軍の殲滅に成功。貴族派軍の本体は皇帝派に合流した模様です。同時刻に沿岸では艦娘・深海棲艦が上陸作戦を決行。上陸後は市街地に突入し、新無宮殿にて親衛隊と合流し、大統領重体の報を艦娘・深海棲艦に知らせるために伝令を送っています。そして同時に第三独立艦隊と途中参加したシヴァへ知らせるために連絡艇も発進しています。現在、大統領が指揮をとれない状況にあるため、最上位であるハイドリヒ長官が指揮を執っています。シヴァと第三独立艦隊は新無宮殿上空に移動し、周囲の安全確認を行っている模様です。以上報告を終わります」
そういうと元帥は席に座った。

「・・・報告ご苦労・・」
クロスムがかすれた声で言うと、そばにあった水を飲みほした。
「これからについてだが、まず軍の規模については改めて話し合うとして、大統領の安全確保のために軍の出動を要請したい」
「それについてはこちらの方でも検討しております。軍の規模についてですが、飛空軍は侵攻部隊に回っていて半個艦隊程度しか出せません。海軍と陸軍が中心になるかと思われます」
元帥の言葉にクロスムは傾くと口を開いて話し始めた。

しかし、それは飛び込んできた一本の通信に遮られた。


「・・通信か、アイフェーン元帥だ。何かあったか」
『衛星管理部長のケリー少将であります。至急元帥にお伝えしたいことが・・』
私は元帥の横に座っていたため、少し電話からの声が聞こえた。
「こちらは現在会議中だ、後にしてくれ」
『大統領の安否にかかわることなのです!』
「なに?わかった、委員長らにも伝えたほうがよいか?」
『お願いします』
一度保留ボタンを押すと、メインスクリーンに出し、委員長らに説明した。大統領の事とあっては委員長らもうなずくしかなかった。

「・・・で、ケリー少将、大統領の安否にかかわることといったが、なんなのだ?」
『それが・・・・衛星でロサンゼルスを映していたのですが、いきなり大規模な爆発が発生しまして・・・・』





『・・・核爆発が発生したと思われます・・』




 
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