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万華鏡の連鎖

作者:fw187
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夢幻界の断片
  蜃気楼の彼方

 夢幻公子の魂が宿る転生、沖田総司が《弥勒》と邂逅した時空連続点《クロス・ポイント》。
 思念の直接交換も可能な兜率天、高次元世界に物質は存在しないが。
 沖田総司の潜在意識に潜む膨大な《人格》のひとつ、星体《アストラル・ボディ》が煌いた。

 アルド・ナリスの姿が瞬き無数の多面体、重層宇宙意識の間に精神接触《コンタクト》が成立。
 異世界の《菩薩》は訪問者の激情を緩和する為、旧知の《顔》に変貌。
 ミロク教を信奉する若者、ヨナの静穏な思考と微笑が緊張を解除する。

(貴方は…調整者とは、如何なる存在なのですか?)

(私は無数に続く永劫の管理者、宇宙全体の総エネルギー量を調節する者。
 集合体であり、個であり、物質であり、サイコ・エネルギー生命体でもあります。

 多種多様な物質の構成原子、知的生命体の意識を包括する惑星規模の統一体《ガイア》。
 惑星《ガイア》の発展形、星間物質から超銀河系に至る規模の宇宙意識体《フロイ》。
 ウォルドリア星系Bの集合意識体、第2段階レンズマンの精神融合体を超越する形態。
 第3段階レンズマンの統一体、白金の光《フロイ》が近い状態を達成し得た存在です。

 現在の貴方なら血液の流れが滞ると、身体の一部は壊死してしまうと理解出来ますね。
 同様に宇宙全体を循環する血液、エネルギーの過不足は銀河系を死滅させる事もあります。
 我々第3段階の調整者は宇宙の呼吸、エネルギーの循環を調整する役目を引き受けた者です。
 微小な原子と広汎な超銀河系の意識を同時に感知し得る存在のみが、調整を成し得るのですよ。

 時には宇宙エネルギーを調整する為、ブラックホールに意志と知性を与える事もあります。
 貴方の世界でも星船の不時着が地脈に不整脈を生じさせ、カナンはノスフェラスと化しました。
 グル・ヌーの底に眠る星船はエネルギー生命体《アモン》を追放する為、宇宙へ飛び立ちます。
 星船が飛び立ちグル・ヌー消滅の暁に、地脈は正常化し死の砂漠に嘗ての緑の大地が甦ります。
 我々は現実界が虚無の海に還る事の無い様に様々調整を行う故、調整者と自称しています)

(宇宙生成の秘密とは、何なのです?
 何故、宇宙は此の様に存在するのですか?)

(混沌の宮廷から逃れ、真世界を創造した存在の心象《イメージ》に起因します。
 審判の宝石に内在する紋様《パターン》に触発され、黄金律《パターン》が誕生しました。
 貴方が審判の宝石を用いて宇宙を創造すれば、全く異なる黄金律の新世界が誕生するでしょう。
 真世界アンバーの至宝、審判の宝石に世界生成の秘密が隠されていると云われています。

 多次元宇宙全体に審判の宝石は存在しており、貴方の世界にも幾つかの投影が存在します。
 何れランドックの帝王が身に帯びる王錫の飾り石、ミラルカの琥珀《アンバー》も其の一つです。
 真世界アンバーは、多次元世界《パラレル・ワールド》の中心《センター》。
 混沌の宮廷と抗争を繰り広げ、黒い道を経由し一時は混沌の宮廷を占領した事もありました。

 アンバーの王族は紋様《パターン》を織り込んだ肖像画を用い、次元転移する事が可能です。
 紋様《パターン》と同調した者は、数多の次元界を自在に移動する能力を備えています。
 真の都アンバーの文字列変換《アナグラム》、投影の鏡像でもある海中の都レブマ。
 青竜星アトランの海底都市クィーグ、別名ルルイエにも投影された紋様が存在します。

 夢幻境カダス黒瑪瑙の城、月光を受け空中に出現する幻影の都ティルナ・ノグスも同様です。
 東渓湖に隠されたユーライカの瑠璃、或る次元界に潜むオーランディアの碧玉もまた同様です。
 抹殺されたと伝えられる精神文明の惑星、白の星は隠された原初の真世界アンバーでした。
 原型《オリジナル》の黄金律《グランド・パターン》が刻まれた真の都、聖地であったのです。

 創造者は多元宇宙全体の改変を企む勢力の目を逸らす為、最初の影の世界を真世界と偽りました。
 黄金律《グランド・パターン》が隠される白の星は、新たな階梯に昇る基点であったのですが。
 サイコ・エネルギー生命体は選択を誤り、白の星を抹殺した為に進化の機会を失っています。


 アリシア人が認識票を授けた銀河文明の守護者、レンズマンの大半は第1段階。
 貴公と意気投合した竜型の異星人、ヴァランシア星のウォーゼルは第2段階。
 惑星クロヴィアの銀河調整官、キムボール・キニスンの息子は第3段階。
 各段階の間には遙かな時を必要とする進化の過程、天地の差が存在します。

 ランドックの民は時も次元も解明された神々の都を棄て、虚空の彼方へ立ち去りました。
 アウラ・カーに総てを託し、高次元世界から現実界を見守っていると唱える者もいますが。
 先住者の如く寿命も意思で制御可能、豹頭王の様に強化された戦闘用改造生命体の創造者。
 カイザー転送機と星船を自在に操り、アグリッパが超越者と呼ぶ種族も第1段階に過ぎません。

 肉体の限界に縛られぬ階梯に進化、羽化登仙を果たした精神エネルギー生命体。
 無数の異なる星間種族を支配した物質文明の使徒は精神文明の進化を拒み、白の星を抹殺。
 第2段階の銀河帝国は構造的な矛盾を解決する努力を忌避、自己崩壊を選択しています。
 闇の司祭グラチウスが黒魔道を操り、ユラニア大公国を操っていた状態とは異なりますが。
 ヤンダル・ゾックが強大な魔力を以て、キタイを支配している状態に近いかも知れません。

 東海公子リーンの属する調整者一族も進化の過程、第2段階に相当します。
 異世界で驚異的な進化を遂げた惑星生命体《ガイア》の発展形、銀河系生命体《ギャラクシア》。
 地球の女神《リアリー》、大いなる白金の光《フロイ》に進化する可能を秘めた特異な種族。
 天帝ベルセビュート以下108公子、調整者一族の銀河帝国は衰退と崩壊を辿り姿を消しています。

 次の階梯に進化する機会を失い、アリシア星系の第3惑星ランドックは崩壊に至りましたが。
 廃帝グインを嫉妬し追放した女神アウラ・カーに奉仕するクローネ、クローナ達の語らぬ秘密。
 真実を直視せぬファイファ・システムの支配者、聖母頭脳《グランド・マザー》の罪と罰。
 自己矛盾の解決を拒み、トーラン・ツーラン星域全体の崩壊を招いた責任を転嫁した故です。

 先住者は人間に潜み転生輪廻する天津神、固有のエネルギー体で長命を保つ国津神に分化。
 運命の子シリン・レイ、セイヤ・リー、セイヤ・アスタシア、セイ・グランヴァルド。
 予知能力者の呉秀英が幻視した銀河戦士達の希望を一身に集める銀河の救世主、星《セイ》。
 一なる四者の統一体が覚醒した暁に、初めて第3段階へ到達する機会を得る事となります。

 アルド・ナリス、貴方が夢見る力を以って宇宙の真相に迫るを得たのには理由が有るのですよ。
 夢幻の世界を実在化させ得る特異な能力を備え、夢幻宮廷の一族に属し夢幻世界を統べる者。
 現実の世界と夢の世界を往来し強力な思念を作用させ、現実の存在として根拠を与える力。
 世界を誕生させ消滅させる鍵は、夢と現実に相渡る思念の力と無意識の内に心得ているのです。

 愛する者を滅亡する世界から異世界の別存在へと逃亡させ、転生の禁忌に触れ追放された貴方。
 最も強力な夢幻戦士であり、調整者であった夢幻公子ルシファ・ベルフェゴール。
 刀身を泳ぐ紋様《パターン》の宿る夜の剣、月光を受け輝く銀の剣グレイスワンダーの分身。
 中原三大秘宝の一《パロスの剣》を操る有資格者、古代機械の認める聖王家の主《マスター》。
 アンバーの王子と同様に黄金律の魔法陣を歩み、多次元宇宙の創造が可能な存在でもあるのです)

 物質文明の銀河帝国を支配する調整者一族ならぬ、兜率天に座する真の調整者集団。
 超越者の種族から離脱《セパレート》を為し得た至高の存在、弥勒《ミロク》。
 高度な精神文明を発達させ、銀河文明に秘められた構造上の矛盾を解決する可能性を秘めた萌芽。
 或る時空では天帝に抹殺され、闇に葬られた怨念と呪縛に拠り銀河帝国を崩壊に導いた白の星。
 多元宇宙の中心に位置する真世界、王城アンバーを最初の影とする原初の魔法円陣が輝いた。

 審判の宝石が蔵する3次元立体形の黄金律を転写、王家の血を用い大地へ描いた模様《パターン》。
 二重螺旋を髣髴とさせる究極の魔法紋様、円形の迷宮《ラビリンス》に踏み出す聖王家の貴公子。
 身体の内部を名状し難い波紋、戦慄と共に未知の感覚を呼び覚ます血の呼び声が疾走。
 歩を進める度に細胞一つ一つが共鳴和音を響かせ、何かが煌き血管を経由し体中を駆け巡る。
 外から内へ湾曲し螺旋を描く通路を歩む間、数多の転生が探求者の裡に甦り記憶と体験が溢れ出す。
 天帝後継の最有力候補にして調整者一族最強と称される東海公子、真の理を司る夢幻界の覇者が覚醒を遂げた。 
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