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オズのカエルマン

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第十一幕その一

                       第十一幕  川を戻して
 皆は玄武が湖の中から戻って来るのを待っていました。カエルマンはその中で五人の子供達に言いました。
「すぐに戻って来てくれるよ」
「そうですね、ただ」
 神宝はカエルマンに考えるお顔で答えました。
「この湖って意外と」
「深いっていうのかな」
「はい、玄武さんも大きいですけれど」
「そういえばそうだね」 
 ジョージも言うのでした。
「この湖って大きいしね」
「そうだよね、玄武さんも大きいけれど」
「その玄武さんがいても」
 それでもです、この湖は。
「青龍さんもいられてそれでも物凄く余裕があるから」
「確かに広いよね」
「うん、流石に五大湖程じゃないけれど」
「ああ、アメリカの」
「五大湖は広いよ」
 ジョージはこうしみじみとして言いました、自分のお国の湖について。
「カナダの方にもあるしね」
「大きな湖が五つ連なっていてね」
「そこからミシシッピー河も流れているんだ」
「あの河も大きいね」
「神宝のお国の黄河や長江にも負けないよ」
 ジョージは自信ありげに笑ってこうも言いました。
「あの河はね」
「確かにね。相当な大きさだからね」
「うん、五大湖もミシシッピー河もね」
「まあそうね」
「そのことはね」
 二人にです、ナターシャとカルロスは余裕のある笑顔で応えました。そのうえでこうしたことを言ったのでした。
「五大湖もね」
「ミシシッピー河にしても」
「黄河や長江も」
「大きいことは大きいね」
「けれどね」
「それでもだよね」
 こう言うのでした、二人一緒に。
「カスピ海やバイカル湖よりはね」
「アマゾン程じゃないね」
「カスピ海は世界一の大きさよ」
「アマゾン河は凄いよ」
「まあね」
「流石にね」
 神宝とジョージは二人の反撃に敵わないといった様子で応えました。
「負けるよ、流石に」
「君達の国にはね」
「湖も河も」
「大きさではね」
「皆広い国だから」
 最後の一人の恵梨香は困ったお顔です、一人だけ。
「日本は敵わないわ」
「日本は確か」
「はい、皆のお国は何処も広いんです」
 四人ともとです、恵梨香はケーキに答えました。
「けれど私の国は」
「狭いのよね」
「そうなんです」
 困ったお顔のまま言うのでした。
「それこそどの河も日本よりも大きくて」
「日本はそんなに狭いの?」
「とても。皆のお国よりは」
 到底というのです。
「人口も違うんです」
「そこまで違うの」
「実は日本も広いなんだよ」 
 恵梨香にです、魔法使いが言ってきました。
「世界的にはね」
「そうなんですか」
「この子達の祖国が大きいだけでね」 
「大き過ぎるんですね」
「そうだよ、他の四国がね」
 四人の出身国がというのです。
「それだけだよ、特にね」
「あっ、ロシアは」
「特別広いからね」 
 魔法使いはナターシャを見ています、ナターシャはその視線を受けて少し自慢そうに微笑んでいます。 
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