| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

時間停止で異世界ファンタジー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一話

 
前書き
ろむ専だったけど書いてしまった。
自分のペースで楽しく書いていきます。 

 

「……眠い」

学校の昼休みは危険だ。
僕、三鳩 三戸はたださえ睡眠欲求が骨と皮膚と布を着て歩いているような人間なのに。
昼下がりの窓際から注ぐ光の暖かさと丁度の良い満腹感が僕を襲う。
とても気持ちが良い。
今日もこのまま寝てしまおうか。

「ミートー!」

「ぐふっ……!」

背後から猛烈な打撃。
とても痛い。

「……誰」

「相変わらず萎えてやがんなぁ?ええ?」

「太郎……僕は眠いんだけど」

長谷川太郎。高校に入って出来た友人だ。
女好きでいつでもテンションが高い。鬱陶しい時もあるがいいヤツである。あと坊主。

「そんなことより聞いてくれよミト」

「僕の睡眠がそんなこととは」

「おれ、とうとう見つけたんだ!」

「何を」

足りない知恵を?
僕をよそに太郎は拳を上げ噛み締めるように言った。

「恋、さ」

「何回目だよ」

「今回はマジなんだって!」

その言葉も何回目だ。
教室にいるクラスメイトの視線が凄い冷たい。これやだな。授業中隣の席のやつが怒られてるんだけど、自分も怒られてるみたいになるやつに似てる。

「おれのマイエンジェル……。昨日、一年の教室の前を通ったら、見つけてしまったんだ。黒髪ロングのヤマトゥナデシコを」

おれのマイエンジェルとは。僕も寝て睡眠したい。

「名前は?」

「あぁ、黒髪ヤマトゥナデシコと付き合いてェーッ!」

知らないんだ。
まぁ太郎のこの悪癖もそのヤマトゥナデシコに振られれば治るはずだ。

「ぜひがんばってね。応援してるよ太郎くん」

「あぁ、応援しててくれ。もうすぐ夏休みだからな!高校最後の夏休み、ようやくおれは大人の階段を上るんだ。……早くあのでけえ胸揉みてえ」

クズだな。
僕が言えたことじゃないけど。おっぱいは好き。

「貴様との童貞卒業勝負はやはり出来レースだったようだな……フッ」

そんなレースした覚えないけど。




僕が通っている高校は偏差値も特に高いわけでもなく、低いわけでもない。通っていた中学では大多数がこの高校に何となく入学している。僕も例に洩れず。
だからといってどうという事は一切ないし、家が近いからといって歩いて3分というほどインスタントな距離でもない。
下校時刻は終わりではないのだ。まだゴールではない。むしろ、最後の試練なのだ。

「あ”ぁ疲れた足痛い眠い制服暑い眠い早く家帰りたい眠い」

独り言である。
ごめんよ、すれ違った小学生。
怖かったね。

河原の土手を歩く。
この道はいわゆる近道という奴だ。
季節は春下旬。夕方の風が気持ちがいい。

「……ここで寝たい」

ふと、思った。
土手に生えている緑色をした芝生。今ここに寝転んだらどれだけ気持ちがいいことだろう。
思いたったら即決行。

「うわ……ふぁー」

天国か。
背中の感触は柔らかくないがそれ以上に外で寝るというのは思いの外気持ちが良かった。
まぶたが落ちてきた。
風邪をひいてしまうかもとか鳥の糞が顔に落下してくるかもと頭をよぎる物はある。
もしかしたらこの後僕はここで寝たことを後悔するかもしれない。
けれどここで寝なかったら僕はそれ以上に後悔をする。単純明快。ビバ睡眠至上主義。寝る事こそが全てにおいて優先事項だ。

多分。まぁ鳥の糞が落ちてもいいか。

僕は眠りにおちた。
ちなみに鳥の糞の事がこの世界で最後に考えていた事だったと思う。





 
 

 
後書き


上杉美鳩というキャラがその昔いてだな・・・・ 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧