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ドリトル先生と森の狼達

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第八幕その四

「うん、このことも噂通りだね」
「先生の周りには皆もいるね」
「動物の皆もちゃんといて」
「このことも確かな証拠だね」
「犬と豚、オウムに梟に猿、家鴨」
「鼠と馬、それに雀」
「そして、ええと」
 最後の一匹については。狼さん達はよくわからなくてお互いにお顔を見合わせてです。そのうえでお話をしました。
「誰だったかな」
「噂には聞いてたけれど」
「前後に頭がある生きもの」
「ええと、オサレオシツツ?」
「オシャレオスキじゃないの?」
「オシツオサレツだよ」
「僕の名前はオシツオサレツだよ」
 名前が出ない狼さん達にです、オシツオサレツが自分で名乗りました。
「覚えていてね」
「この名前を」
「ああ、オシツオサレツさんなんだ」
「名前が出てこなかったよ」
「前後に頭がある不思議な生きもの」
「いや、君も一緒だよね」
「そうだよ、僕も先生の友達だからね」
「こうして今も一緒にいるんだ」
 オシツオサレツはその前後にある頭で狼さんにお話しました。
「宜しくね」
「以後お見知り置きを」
「いやいや、こちらこそ」
「先生のお友達なら歓迎するよ」
「動物達の友達先生のお友達ならね」
「こちらこそね」
「そして」
 今度はです、狼さん達は王子とトミーにもお声をかけました。
「王子とトミーさん」
「先生の人間のお友達だね」
「お二人のことも聞いてるよ」
「先生の昔からのお友達だよね」
「そうだよね」
「うん、そうだよ」
「僕達のこともご存知で何よりだよ」
 二人もです、狼さん達に笑顔で応えました。
「こうしてニホンオオカミさん達に会えた」
「嬉しいよ」
「何かね、僕達ってね」
 最初の狼さんが応えました。
「凄く珍しい生きものみたいなんだよね」
「そうかな、別にね」
「僕達は僕達だよね」
「ずっとここにいるしね」
「この森にね」
「いや、君達はね」 
 先生は自分達でお話している狼さん達にこのことを言いました。
「実は絶滅、いなくなったって思われていたんだ」
「えっ、そうなんだ」
「僕達いなくなったって思われてたんだ」
「それはまたね」
「意外っていうか」
「そんな風に思われていたんだ」
 狼さん達は先生の今のお話を聞いてでした、またしてもお顔を向かい合わせてです。怪訝なお顔で言うのでした。
「何ていうかね」
「ずっとここにいるのにいなくなったって思われるって」
「不思議な気分だね」
「僕達別に幻じゃないんだから」
「この森に生きているから」
「代々ね」
「それでも僕達人間はそう思っていたんだ」 
 そうだったというのです。
「実は」
「ううん、そうなんだ」
「僕達がいなくなっていたって」
「そんな風に思われていたんだ」
「そんなこともあるんだね」
「というか人間はそう思っていたんだ」
 狼さん達にとっては実感が湧かないことです、ですが先生は人間の世界でニホンオオカミがどう思われていたのかをお話しました。 
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