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ドリトル先生と森の狼達

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第五幕その八

「僕達は一緒に暮らしてるからね」
「えっ、一緒に?」
「一緒に暮らしてるの」
「穴熊さんと狸さんは」
「そうなの」
「今の僕の穴にも一緒に住んでいるよ」
 その狸がというのです。
「与作君って言うんだけれどね。ちなみに僕の名前は茂助っていうんだ」
「そう、狸君達は自分で穴を掘ることが出来ないんだ」
 ここで先生が皆にお話しました。
「それで自分で穴を掘ってそこで暮らせる穴熊君のところにね」
「厄介になってなんだ」
「入ってそうしてなんだ」
「暮らしてるんだ」
「日本の狸さん達は」
「そうだよ、僕達も食べることは彼等が彼等でするからね」 
 それでとです、穴熊君もお話します。
「別に何とも思わないよ」
「一緒に住んでも」
「そうなんだ」
「特に何も思わずに」
「一緒に住んでいるのね」
「今も楽しく暮らしてるよ」
 その狸と一緒にというのです。
「一匹で住むより二匹の方が何かあった時いいし」
「同じ穴の狢という言葉があってね」
 先生は日本のこの言葉も出しました。
「狢とは穴熊君のことだけれど」
「同じ穴に住んでいる」
「だから一緒って意味なんだね」
「狸さんと穴熊さんは」
「そういうことね」
「そうだよ、実際に童話とかじゃ穴熊君も化けるしね」
「そうそう、それで狸君と一緒にされるんだよね」
 穴熊君も笑って言います。
「そこも同じ穴もだね」
「そうだね」
「いや、流石ドリトル先生だね」
 穴熊君も先生のことを知っていて笑顔でお話します。
「そう言ってくれて嬉しいよ」
「そうなんだ」
「うん、僕達のことを知っている」
 そのことがというのです。
「嬉しいよ、日本の生きもののことについても知っていてくれていることがね」
「まあ学者だからね」
「知っているんだね」
「そうだよ、学問をしているつもりだからね」
「本当の学者だね、先生は」
 さらに起源をよくした穴熊君でした。
 そして、です。こうも言いました。
「それで僕に聞きたいことは」
「いや、幸せに暮らしてるみたいだね」
「狸君と一緒にね」
「食べものにも困っていないね」
「この通り少し太ったよ」
 自分の身体を先生に向けての言葉です。
「冬眠前みたいにね。だから最近よく動いて」
「痩せる様にしているんだね」
「さもないといざという時動き鈍いと」
 それだけでというのです。
「命の危険があるから」
「山犬に襲われるね」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「気をつけているんだ」
「それはいいことだよ」
「奥の方に行くとやたら動きの速い山犬さん達もいるから」
「またそのお話だね」
「他の生きものからも聞いたんだ」
「結構ね」
「うん、一回狸君と一緒にそこまで行ったんだ」 
 森のさらに奥の方にというのです。
「それで凄く動きの速い山犬さん達を見てね」
「逃げたんだね」
「与平君と一緒にね」
 狸の彼と、というのです。
「そうしたんだ」
「見付からないうちに。賢明だったね」
「お陰で二匹共助かったよ」
 穴熊君はそのことも喜びながら先生にお話します。 
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