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新妹魔王の契約者~龍剣使いの神皇帝~

作者:黒鐡
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2巻
  電車内での会話×到着してからデート

「ホームに電車入ってくるのはいいが、車内も混雑しているな。俺から離れるなよ、柚希」

「座席も埋まっているからか、つり革や手すりも持つ所がないみたい。一真、どうする?」

そう言われたので、もう片方の扉前に背中を預けた俺であり、柚希はまるで俺に抱き着くような格好となってしまった。密閉された空間だと、否応無しに互いの身体が密着する恐れがあるから、対策として背中を預けるのが自動的に俺となった。

「少しの間だけ我慢してくれよな?こうしないと、余計に密着度が高まってしまう」

「うん分かった、一真の策は流石と言うべき」

ホントは柚希の身体の温もりと柔らかさ、そして女子独特の匂いで感じてしまう程のラッキースケベを発揮してしまうが、俺はそうはさせまいと電車が揺れたとしても少し密着程度なので問題ない。まあ本来の主人公なら、ガタンと揺れた事で膝を柚希の太腿と太股を押し広げるように間に入れてしまう。内股に脚が当たって擦っている、というイベントが発生してしまうのを回避するべく取った策がこれという感じである。

『ある意味で相棒に救われたな、本来だったら少々ヤバい格好になっていたからな』

『そうですね。私もそう思いますし、本来のイベントを回避するというのはなかなか出来ない事ですよ』

『おいお前らな、他人事だと思って見てるんじゃねえよ。隣の車両には深雪らが乗っているんだからな』

『そうだったが、深雪嬢は平気なのか?いくら警察専用車両になったとしても、この混雑は半端ないぜ』

身体を小さく震わせて、気まずい騒ぎを起こすような主人公であったが俺は立派な紳士とした行動をしていた。そんで隣の車両に乗っていた深雪と万理亜は、こちらの様子を見ていた。深雪が持つ透明の聖剣で、深雪と万理亜は隣からは見えないようにしていた。

「流石一真さんですねえ、ああいう風に紳士な行動をするとは流石とも言いましょうか」

「お兄様は事前にこうなる事が分かっていたので、あえてこういう行動になったのですよ」

「それにしても澪様は大丈夫でしょうか?こちらと離れてしまいましたが、声から察するに痴漢をされているのでは?」

「その通りですよ万理亜。ですが心配いりません、これはお兄様と柚希さんのデートを監視しようとしたお兄様と私の罰です。それにそろそろ次の駅で、二人目の痴漢常習犯が降ろされますが、行き先の駅に到着するまでは痴漢地獄をたっぷりと味わってもらうつもりです。それに感覚を呪いみたいにしたそうなので、触られるだけでイかないようにしているとか」

深雪と万理亜が喋っているが、澪は遠く離れたドア付近で胸を揉まれていたのだった。これで二人目だが、車両にいる男女私服警察官達は一真の罰だと言い餌役を指定したのだった。一人目が降りたと思いきや、すぐに二人目の痴漢常習犯が乗ってきたからか、感じてはいるけど痴漢常習犯は主に胸フェチなのか、胸ばかり責めていた。

「・・・・うん・・・・んんんん・・・・」

澪は我慢していたが、流石に声はダダ漏れだったが澪がいる周辺に声が聞こえないような結界をしている所為か、誰にも聞こえない様子だった。そして次の駅になる事で痴漢魔が降りるけど、乗ってきた次の魔の手で胸を揉まれぱなしだった。澪本人も可笑しいと思いながらも、胸だけでイこうとしてもイかない様子だった。

「もうこれで五人目ですけど、目的地の駅まで一駅のようですね」

「ホントでしたら、私は澪様に怒られてしまいますがこれが一真さんと深雪さんからの罰なら仕方ないと言いましょうか。サキュバスである私でさえ、ああいうプレイはしてみたいと思います。ま、それは家に帰ってから言っときますから、その笑顔のようで怒っている目を向けないで下さい!」

俺が柚希とデートしに行くと言ったら、深雪は家で待ってますと言っていたが一応という事で、デートの邪魔はしないがそれを見届ける権利はある。なのでこうして澪と万理亜は、深雪と打ち合わせをしてから秘密裏に万理亜と打ち合わせをしたのだった。柚希との戦闘を経て解り合えた部分はあるが、最近の柚希は変に積極的な部分をわざわざ澪が見える所で俺と交流しているからだ。

この尾行は正統な追跡であり、澪が一真と柚希が二人きりになると思うと嫉妬心が生まれる。本来ならそこで呪いが発動し、前戯だけで最近は呪いが治まる事になっているが呪いのスイッチは一真自身の手にある。

なので溜まり切った身体を弄ぶ兄を見ていた深雪だったが、深雪自身も理解しているので兄兼父である一真を止める権利はない。そうしている内に全ての痴漢常習犯を現行犯逮捕した事で、そろそろ乗り換えだったのか一真と柚希が降りたのを見たので澪を介抱していた沙紀と共に追い掛ける深雪達だった。

「予定ではここで降りてから、乗換のようなので私と万理亜は先に行ってます。結衣と沙紀は、澪の介抱をしながらこちらに来て下さい」

「了解しました。澪についてはお任せを、それに元々専用車両だったので私達が降りると自動的に一般客が入るのも計算の内に入っているようですね」

そう言ってから、深雪に万理亜と独立蒼翼黒鮫課の者達は全員降りてから不自然にならないように追い掛けた。はぐれないようにするが、柚希にバレては全てがパーになるので電車を一本遅れてから行く事にした。

痴漢常習犯だった者達は、今まで逃げられたのに人間に捕まってしまったので、魔族特有の魔法を使おうとしても対魔族戦にて鍛錬された者にとっては、罪の重さを知る権限を得た訳である。乗り換え一回、所要時間一時間かかったが無事に目的である駅に到着した。その間、俺と柚希はくっついていたが、変に抱き着くよりはマシだった為に柚希もリラックスした状態となっていた。

「やっと着いたが、腹減ったか柚希?」

「うんお腹空いたけど、どこにする?」

「俺に任せな、ここら辺は既に調査済みだ」

そう言った俺は、駅近くにあるレストランに入った。ここは一般人でも知られているレストランだが、あえてファストフードより大人が来るようなレストランにした。その訳は、いくら高校生同士であったとしても俺は立派な大人であり紳士なのだ。安いファストフードでもいいが、ここはあえて俺が予約した店の方がいいと思っての事だ。

勇者の一族として生きてきた野中柚希は、普通の高校生がどういうものか知らないし普通の大人がデートするならという事も知らない。柚希が現在蒼翼町の高校へ通っているのは、先代魔王の遺児である成瀬澪の監視任務を遂行する為である。勇者としての使命があるだけだが、今だけは普通の女の子として楽しみたいと思っていた事がまるでお見通しのようにしている一真。

「どうした?柚希。こういうレストラン入るの初めてか?」

「・・・・うん。それに高級レストランに入る事自体が初めてだから、凄く動揺している」

若者や大人の街でもあるが、休日なのか普通のファストフードやレストランは満員御礼である。なので一真は、わざわざ予約してからここに来たのである。無論このレストランは、蒼い翼関連がやっている店のチェーン店である。周りにいるのは、若い恋人とかではなく大人な紳士や淑女が夫婦同士で一杯で、不思議そうに一真を見る柚希だった。

今の一真は大人ではあるが、昼間から酒は飲まないのでコーヒーを飲みながら待っていると頼んでいたパスタが来た。初めての高級レストランの味に驚いていたが、パスタの味もデザートも他では味わえないモノばかりで、何もかも不慣れな様子だった柚希。

今はデートしているんだと思いながら、大切な思い出の一つとして楽しむ。食事を終えると本日のメインイベントである服の購入へと向かった。ランドマークとしても有名なファッションビルに入るが、その後ろから見ていた澪や万理亜も驚いていた。

「凄!ここホントに今流行の服ばかりだわ」

「どの値段を見ても高いモノから安いモノまでありますね澪様」

澪の介抱で遅れた結衣と沙紀だったが、無事に一真の後ろに追尾していたので結衣と沙紀は、蒼太と合流を果たしてからそっと見ていた。遠くから見ていると、そこには大人な対応をしている一真と、何もかもが初めてな柚希の姿を見ていたのだった。

一真と柚希は互いの手と腕を組んでいる状態で、ビル内に入るが気圧されたのは意外にも柚希だった。蒼翼町にも同じようなファッションビルはあるが、恐らく入った事は余りないのだろうと推測をした深雪と蒼太達。

エスカレーターで上へ向かいながら、一通りショップの前を通ってから入る俺。慣れているとはいえ、ここには知り合いの店ばかりだからなのか。目的の服も買った事だし、そろそろ他の所へ行こうとするとウザい店員が来た。

「どうも~、何かお探しですかぁ?急に声掛けちゃってスミマセン~。こっちを見たのでとりあえず声をかけさせて・・・・」

「どうもすいませんお客様。この人、最近入ったばかりでして、貴方様の顔を知らないのですよ」

「別に構わんよ、だが目的のも買えたから今日はこのまま立ち去るよ。他のお客に迷惑掛かるのは、俺的には嫌だからね。また今度寄らせてもらうわ~」

「本当にすいませんでした、また来てくれると助かります。・・・・こら!何で織斑様に変に声を掛けたのよ!あの御方の顔を知らないの?蒼い翼関連の者なんだから!」

「す、すみません店長。まさかあの人があの御方だとは知らなかったので・・・・」

と俺達が立ち去った後に怒られた店員と店長だったが、俺達は屋上に向かってから少し休憩をした。買い物したブツは、全て空間に入れといたから問題なし。それよりそこに隠れている深雪達をそろそろ登場させた方が良さそうだな。飲み物を買って、柚希に渡してから一息入れた。

「そこにいる深雪達、隠れてないで出て来なさい。追尾やら尾行しているのは、とっくにバレているんだからな」

「え?深雪や成瀬さん達がいるの・・・・全然気付かなかった」

俺らのデート中に楽しんでる所を見ていた澪は、先日の公園で見た柚希の実力を見せたのかデートをぶっ壊そうと何度もいらぬ邪魔をしようと出て行く所だったが、何度も深雪らが押さえていたのでとても良かった。

俺が選んで試着した服は、見事に似合っていたが値段見た柚希は買わない素振りをしてたので買ってあげた。最初は柚希本人は買わなくていいと言ったが、デートするのに一々値段を気にしない俺とカードを見たら固まった柚希だった。普通持てないはずのクレジットカードを持っていたのと、カードの色で驚いていた。

「すみませんお兄様。デートのお邪魔はさせたくなかったのですが、澪と万理亜が尾行したいと言うもんですから」

「アンタ達、もしかして電車乗っていた時のアレは一真の仕業?」

「・・・・何の事?成瀬さん」

「知らんな、俺は何も関わっていない。澪の美貌に惹かれたんじゃないのか、それと万理亜もアイス食うか?」

「食べますけど、深雪さんと澪様の分も買ってきます」

そう言ってお金を渡したら、万理亜は三人分のアイスを買いに行ったのだった。それと澪が痴漢に遭った事については、俺の策通りとなり餌役である痴漢し甲斐がある身体も火照っていたのでアイスで冷やす澪だった。

俺と深雪らの策に見事だった事に関してだったが、深雪と澪に柚希が比べても勝者は必然と分かってしまう。深雪は淑女のような服装であり、夏から秋なのに胸を曝け出す澪と一真とのデートの為に用意した服で来た柚希ではあったがな。

「いつからいたの?深雪」

「最初からですが、尾行をしようと言ったのは澪ですよ?私は反対したのですけど、お兄様と柚希さんとのデートには邪魔しないと言ったのですが」

「ま、俺は最初から気付いていたが、デートをぶっ壊すのであれば罰が必要だなと思っただけだ。実際に実行してないぞ」

「私は一真と一緒に居られるのは、今でも嬉しいけど・・・・これが普通だと言う一真の生活には驚いている」

澪と柚希が己の立場を理解したタイミングは決定的に違うが、澪の素性を知ったのは半年前に両親役であった養父母が殺されてからだ。それまで澪は普通の女の子として生きてきたが、普通の幸せを持っていた。対して柚希は物心が付いた時には自分がどういう存在か知らされ、修行をさせられてきた。

無論それを不幸だと決めつけるのは傲慢であり、勇者の一族にはこの世界を守護する役割という使命があるが、当然ながら幸せを感じる時もあったであろう。それでも普通の人間が得る、当たり前の幸せを憧れを抱いた経験は無いに等しい。 
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