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K's-戦姫に添う3人の戦士-

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1期/ケイ編
  K9 やっときづいた “キミガスキ”

 本部に帰投するなり、響はメディカルチェックのため了子に連れて行かれた。
 残るケイと翼は、休憩スペースでソファーに座り、響待ちである。

「悪いとこがないといいんだけど。立花ちゃんに何かあったら俺が未来に殺されかねない」

 未来については、緒川はじめとするエージェントが機密の説明をしに行っている。それで自分と響、特に響のほうの事情を未来に理解してもらえればいいのだが。未来はあれで頑固だとケイは知っていた。

「小日向」

 翼の呼びかけは、決してケイの独り言に答えるものではなかった。

「一つ聞きたい。櫻井女史にコーチをつけてもらったと聞いたのに、小日向は立花に比べてアームドギアの使い方がなってない。戦いの才もずっとない」
「自覚はしてる。俺に狙撃の才能はないんだろうなって。これでも一応、空き時間に練習はしてるんだけど」
「だが、それを自覚していても、小日向はいくさ場に立つことをやめないでいる。今日も妹の目の前でギアを纏ってまで立花の救援に駆けつけた。何が小日向をそこまで駆り立てるのか、気づいたからには、聞かないではいられない。小日向がどんな理由でいくさ場に立ち、戦っているのかを、私は知りたい」
「理由――」

 ケイは俯いて考え始めた。

 最初は響のピンチを見過ごせなかったからだ。響は妹の親友だし、両者の事情はこじれている。響がまたノイズ関係で傷つけば未来も心を病む。

 次は金のためだった。弦十郎に正規雇用でギャラを出せと迫りまでした。ケイは小日向家から早く独立したかった。そのために大学の授業料もバイト代と奨学金で賄っているのだ。

(もっともその過程で未来にバレてちゃ世話ねえな)

 今日の雪音クリスとの戦いは返す返すもデメリットしかない。微力ながら響や翼の助けになれたとしても、未来に秘密を知られた上に泣かせた甲斐があったかといえば断じてNO。

(そうか。何だ。シンプルな話だったんだ)


「俺の妹の願いがそれだから」
「妹? 小日向未来か」
「ああ。未来はさ、響ちゃんが出撃するたびに苦しむ。もう会えなくなるんじゃないか、あるいは自分に愛想尽かしたんじゃないかって。でも未来は戦えないだろ? だから力がある俺が戦うんだ。戦場に、響ちゃんの隣に行けない未来でも、これなら、心だけは連れて行ってやれる」
「妹の、ため? しかも妹本人を守りたいからではなく、妹の深層心理の願いを汲んで自ら死地へ――」

 翼が席を立ち、ケイの肩を掴んだ。

「いけない、小日向。それは小日向自身の想いじゃない。お前も妹も、そんなことを続けたら破綻する!」
「破綻って。風鳴、大袈裟だよ。こんなの自己満足だし、第一、未来の知らないとこでやるんだから未来は関係ないだろ」
「関係ないはずあるか! 妹はもうお前がしていることを知ってしまったんだ! この先、彼女は立花だけでなく、兄のあなたをも心配して、苦しんでいくんだぞ!?」
「未来が? ないよ、そんなの。今回のことで完全に愛想尽かされただろうから」
「そんなわけあるか! 家族だろう!?」
「家族じゃない」

 翼の手が困惑気味に離された。

「養子なんだ、俺。ノイズ災害で親を亡くして、縁あって引き取ってくれたのが小日向の家。だから俺は未来と血が繋がってない。義理の兄妹ってやつだ」

 幼い頃は本当に、自分より小さくか弱い、守るべき女の子としか思っていなかった。
 けれども、毎日すぐ目の前で女らしくなっていく未来を見てきて、ケイの感情の性質もまた変わっていった。

「好きなんだよ、未来が。多分、俺が養子で未来と血の繋がりがないって知った時から、ずっと」
「小日向――」
「捧げたいんだ。俺の全部。あの子に」

 ――それが報われない恋の必勝法ってやつだろ?

 ケイは力なく笑って付け加えた。 
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