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K's-戦姫に添う3人の戦士-

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1期/ケイ編
  K3 A・レンズ

 響と呼応したわけではないが、ケイもまた自身がプリズムレーザーを扱うには役者不足である自覚があった。
 だが、トレーニングだの練習だのをするには、このプリズムレーザーは目立ちすぎる上に、的を外した時の被害が大きすぎる。
 よってケイはシンフォギアの扱いに最も長けていそうな、櫻井了子を訪ねた。




 二課本部に降り、廊下を歩く了子を見つけるなり、ケイは声をかけ、かぶりつくように事情を説明した。

「そうねえ。確かにキミのA・レンズは後衛向きだから、聖遺物研究の最先端を行くアタシにお願いするのは理に適ってるわ。よくできました♪」
「A・レンズ?」
「キミのプリズムレーザーの正式名称がようやく決まったの。A(アルキメディアン)・レンズ。古代ギリシャの学者アルキメデスが建造した、太陽光を鏡に反射させてビームに変える兵器。それがキミのシンフォギアの正体ってわけ」

 ケイはペンダントを握り、溜息をついた。

(ギリシャにまで行ったのかよ、()()()。フットワーク軽すぎだろ)

 改めてペンダントを見下ろす。やはり、とてもそんな大仰な物には思えなかった。

「さっきも言いましたけど、これを使いこなしたいです。櫻井さんはその方法を知りませんか?」

 了子は意味深な笑みを浮かべた。

「それはアタシに教えを乞いたいと、そういうわけかしら。言っとくけどアタシの指導は厳しいわよぉ」
「それで構いません。お願いします」

 一度引き受けると答えたからには半端に投げない。亡き祖父の言葉であり、小日向ケイ自身の信条である。
 そのために了子の「厳しい」指導を受けることにためらいはなかった。

「オッケー。じゃあトレーニングルームへ行きましょう。今日からはワタシがキミのコーチよ。知識と実践、同時にやるから。頭にも体にもしっかり叩き込むわよ」
「はいっ。よろしくお願いします、櫻井コーチ!」






 宣言通り、了子の指導はそれは厳しかった。

 いかにもSFアクションものでよく観たトレーニングルーム。了子はホログラム投影したノイズを、ケイが倒す先から次々に出現させては、何度となくケイに撃退させた。


《アルキメデスの太陽光反射レンズは、文字通り太陽光を反射して光線で敵艦隊を焼き払う兵器よ。そのギアはキミや他の装者の歌声を“反射”して照射してるようね。“反射”だから、長時間エネルギーを溜めておくのは難しいわ。一撃入魂よ》


 その仮想戦闘とてプリズムレーザーの反動で狙いを外しまくりで、何度「MISSION FALES」のアラームを食らったことか。


《プリズムレーザーには反動を殺すためのヘビーバレルやカウンターウェイトが付いてないから、反動はキミ自身が踏み止まることで軽減するしかないわ》


 その上、(うた)っている最中にも、通信でA・レンズの特性や使い方を伝えるものだから、仮想ノイズと了子の知識面を教授する声、どちらに集中していいか分からず、やはり「MISSION FALES」の判定を食らった。


《せっかくバイザーがあるなら望遠モードなんかも使って、充分離れてノイズを狙撃してみなさい》


 朝から夕方までは大学の講義に出て、夕方にバイト、夜は訓練と、ケイはハードな日々を送った。


《ほら見なさい。レーザー砲のコントロールに気を取られるから歌に集中できてない。フォニックゲインが高まらないと、威力が落ちるわよ》


 だが、ケイはそれを後悔してはいなかった。給金を要求した上で「やる」と答えたのは小日向ケイだ。そのために必要なことを積み上げているだけだ。「仕事」のために「必要」ならケイは迷わないし悔いない。


《レーザー砲に鏡が付いてるでしょう? その部分はサーベルに見えるけど、実際は刃が潰してあって剣としては使えないの。それでも剣として使いたいなら、短時間だけ、フォニックゲインを纏わせてビームサーベルを形成するしかないわ》


 ――そして、ついに。

《今日までのトレーニングでだいぶ様になったわよ。もう実戦投入しても大丈夫♪》
「え!? たったあれだけでいいんですか? 俺、まだ的にも全然当たんねえし、反動でひっくり返るのだって完全に直ったわけじゃ」
《んー、そーねえ。そう言ってきっちりやるだけの猶予があればよかったんだけど》
「――明日の任務、ですか」

 つい口にしたのは、明朝5時からスタートする、ノイズ退治とは異なる任務だった。

 サクリスト「D」、デュランダル。EUの経済破綻で出た不良債権の一部肩代わりを条件に日本が譲り受けた、数少ない完全聖遺物、との能書きだ。RPGではよく目にした武器だが、まさか実物を拝む日が来ようとは夢にも思わなかった。

《アタシも色々準備しなきゃだし、今日はここまでってことで》
「……そう、ですよね。すいません、長々と引き留めちゃって。今日までありがとうございました」

 ケイは天窓に向けて深く一礼した。

《もっとレベルアップしたくなったら、いつでもいらっしゃい。櫻井コーチがしっかりきっかりびっしり教えてアゲル♪》
「その時はよろしくお願いします」

 ケイはA・レンズのギアを解除してから、トレーニングルームを出て帰路に着いた。 
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