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K's-戦姫に添う3人の戦士-

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1期/ケイ編
  K2 やるからには投げない

 ケイが連れて行かれたのは、妹の未来たちが通うリディアン音楽院の、東京スカイツリー3本分はある地下空間にある、ノイズ対策本部らしい場所だった。

 そこでケイはペンダントを取り上げられ、医務室らしき場所でMRIにかけられて、ようやくまともな説明を受けられた。ペンダントも返してもらえた。

 大体の事情は風鳴弦十郎と櫻井了子、他、特異…ナントカ二課職員の説明のおかげで呑み込めた。

(立花ちゃんも必死にフォローしようとしてくれたけど、ごめん、こんがらがるだけだったよ)

 ケイは「分かりました?」とわんこのように不安げに自分を見上げる響に内心で謝った。

「まあ、こういうことだったんだなーって納得はした」
「そ、そうですかっ」
「立花ちゃん、未来と流れ星観る約束してたろ。一緒に行けなかったって未来から聞いてはいたけど」

 急に響が萎れた。
 ケイは苦笑し、響の頭をぽふぽふ叩いた。

「こういう『用事』じゃしょうがない。うん、しょうがない」
「ケイさん……」

 響はふにゃりと笑った。未来にやると「子供扱いしないでよ」と邪険にされてきたため、心にジーンと来るリアクションである。

「とにかくだ。君のおかげでネフシュタンの少女は退けられた上、絶唱を口にしたのに翼は軽傷ですんだ。感謝する、小日向ケイ君」
「いえ。大したことじゃ。そもそも自分がそんな大それたことしたなんて未だに信じられなくて」
「君のは第7号聖遺物……そうだな、便宜的に“プリズムレーザー”とでも呼ぼうか。中粒子ビーム砲の聖遺物なんぞ聞いたことはないが」
「その辺は任せてちょーだい。きっちり調べて裏取っといてアゲル♪」

 ケイは何となしにペンダントを出して眺めた。

(そんな大仰なコードネームが付くほどの厄介なエネルギーが、こんな小さな宝石に詰まってて、オレはそれを今日まで持ち歩いてきた、と)

 考えると背筋がぞーっとする話だ。

 紛争地帯にNGO活動に行った友人は、どうしてシンフォギアなど入手して、しかもケイに送りつけたのか。このペンダントを送ってきた友人が故人でなければ、小一時間膝詰めで問い質したかった。

「それで。ここからが本題なんだが。人類が持ちうる力でノイズを打倒しうるのはシンフォギアだけだ。日本政府、特異災害対策機動部二課として、協力を要請したい。小日向ケイ君。君に目覚めたシンフォギアの力を貸してくれないだろうか。ノイズから人々を守るために」

 ケイは少し考え、横にいる響を見下ろした。

「立花ちゃん、少し出ててもらっていいかな。ちょっとディープな話になるから」
「あ、は、はい! 分かりました!」

 響は小走りに中央制御室を出て行った。確かめ、ケイは弦十郎と了子をふり返った。

「さっきの協力って、ボランティアですか? それとも正規雇用ですか? どっちの意味かで返事も変わってきますから」
「君はどちらが望ましいんだ?」
「正規雇用がいいですね。給料が欲しいんで」
「――金目当てにノイズと戦う気か」
「まあ、まとめるとそうなります。早く家から独立したいんですよ。もちろんやるからには全力で取り組みます。一度やると口にした以上は半端に投げるな、が死んだ祖父さんの鉄の教えだし。そもそも金貰ってやるなら立派に責任があるから、その責任はちゃんと負います」

 弦十郎は品定めするようにケイを見つめた。
 ケイは内心びくつきながらも、弦十郎の視線を真っ向から受け止めた。

「――いいだろう。君の出す条件で、君を二課装者として雇う。それなりの働きを期待しているぞ」
「はい! ありがとうございます!」

 ケイは直角近くまで頭を下げた。 
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