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七星羊皮

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第五章

「大学に入った時から一人立ちしたくて」
「それで独立されて、ですか」
「アパートに入って学費も自分で稼いでます」
「それは大変ですね」
「それで最近ずっと働いてるせいか」
「肩も腰もですね」
「疲れを感じていました」 
 お店の人に自分からこのことをだ、夏姫は話した。
「特に肩が」
「やっぱりそうですか」
「はい、ですが」
「最近は疲れていて」
「こちらに来ました」
「そうなのですね、やっぱり疲れた時はです」
 こうした場合はとだ、お店の人がマッサージをしつつ夏姫に笑顔で話した。
「お風呂ですよ」
「そうですよね」
「お客様普段はお風呂は」
「シャワーです」
 アパートの部屋にあるそれでというのだ。
「済ませています」
「それでは身体は奇麗になりますが」
「それだけですね」
「疲れは取れません」
「そうですね」
「はい、ですから」
 それで、というのだ。
「お風呂の方がいいです」
「疲れが溜まっていると」
「ですから時々でもです」
「こうしてですね」
「お風呂に入られるといいです」
「わかりました」
 夏姫はお店の人のその言葉に頷いた。
「それじゃあ」
「自分の身体のことは自分で、ですからね」
「そうするしかないですね」
「私達も確かに働いてますが」
 それでもというのだ。
「しっかりと休んでいますので」
「お風呂もですね」
「実は私達ナシ族はお風呂には詳しくないんですよ」
「あっ、そうなんですか」
「最近まで拭く位でした」
 その身体をというのだ。
「それだけでした」
「そうですか、ですがこうして」
「商売を考えていまして、店長さんが」
 その人がというのだ。
「お風呂屋さんがいいだろうと仰って」
「それでここにですか」
「お風呂屋さんを開いたんですよ」
「商売の観点からもですか」
「そうなんです、人気が出てしかもお客さんが満足してくれて何度も出てくれる」
「そうしたお店はですね」
「やっぱりお風呂屋さんだろうということで」
 この店の店長が判断して、というのだ。
「お風呂屋さんになったんですよ」
「そうした事情があったんですね」
「この七星羊皮の通り」
 そして紐にあることだ。
「私達は朝早くから夜遅くまで働くことを美徳としていますが」
「それでも疲れを取らないといけないので」
「はい、お風呂に入っています」
「お店の人達もですか」
「働いても疲れは癒さないと」
 このことは絶対だからというのだ。 
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