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オズのベッツイ

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第十二幕その七

「僕がライマン=フランク=ボームだよ」
「はい、これまでお見掛けしたことはありましたけれど」
「君達が僕の部屋に来てくれたのははじめてだったね」
「そうでしたね」
 ナターシャが五人を代表してボームさんに応えました。
「これまでは」
「うん、けれど君達のことは知っていたよ」
「私達がオズの国に来たことも」
「そう、全部ね」
 これまでの旅のこともというのです。
「よくオズの国に来てくれたね」
「まさか来られるなんて思いませんでした」
「ははは、オズの国はそうした国なんだ」
「来られないと思っていても」
「来ることが出来るんだ」
 そうした国だというのです。
「僕もそうだったしね」
「そういえばボームさんも」
「うん、中々来られなかったけれど」
 それが、というのです。
「今はここにいるよ」
「そうですよね」
「うん、嬉しいことにね」
「そうですね、そして今は」
「この王宮に部屋を用意してもらって」
「それで、ですね」
「今は王室年代記を編集しているんだ」
 今の様にというのです。
「君達のこともね」
「年代記の中にですか」
「書かせてもらっているよ」
「じゃあ私達のことは」
「永遠にオズの国の歴史に残るんだ」
 その名前がというのです。
「僕が書いているからね」
「そうなんですね」
「君達はオズの国の大切なお客さんであり市民だよ」
 ボームさんは五人にこのことを伝えました。
「だからこれからもね」
「私達が旅をすれば」
「オズの国で何かをすればね」
 つまり何かをすれば、というのです。
「歴史に残るよ」
「嬉しいですね、何か」
「嬉しい、ならいいよ」
 ボームさんはナターシャの笑顔での言葉にご自身も笑顔になりました。
「僕も書きがいがあるよ」
「ボームさんもですか」
「うん、やっぱり仕事は楽しくないとね」
 書きがいがないと、というのです。
「だから君達が喜んでくれるのならね」
「ボームさんもですね」
「うん、君達の分も楽しく仕事が出来るよ」
 こう五人にお話するのでした、そして。
 ボームさんは皆にです、こうも言いました。
「そうそう、そろそろヘンリーおじさんとエムおばさんの結婚記念日だから」
「はい、そのことは」
「もう僕達も知っていますので」
「参加させてもらえます」
 三人の男の子がボームさんに笑顔で答えました。
「それが楽しみで」
「今うきうきしています」
「パーティーが待ち遠しいです」
「僕も参加させてもらうからね」
 ボームさんもだというのです。
「皆で楽しもうね」
「はい、ボームさんも一緒に」
「パーティーを楽しくですね」
「過ごすんですね」
「うん、そうしようね」 
 ボームさんは皆にとても優しい声で言いました、そして。
 そのボームさんにです、恵理香がこう尋ねました。 
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