| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

異世界系暗殺者

作者:沙羅双樹
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

訪問の時間(2016/03/22 一部修正)

 
前書き
主人公の自宅の全貌がついに明らかに……(笑) 

 



【視点:樹】



それはカルマの一言から始まった。


「ねぇ、イッキ」
「ん?何だ、カルマ」
「イッキって、どこら辺に住んでんの?」
「え?」
「だから、イッキの現住所がどこか聞いてるんだよ。最初の頃は烏間先生が用意したアパートに住んでたって知ってるんだけど、2週間くらいで引っ越したでしょ?イッキ、億万長者だからどんな家に住んでるか興味あるんだよね」
「あっ!俺もそれ気になってたんだ」
「私も!」


俺とカルマの会話を聞いていた何人かのクラスメイトが、小走りで俺達の所にやって来て会話に加わった。近付いて来なかった奴らの中にも、俺の家が気になっているのがいるようで、チラチラとこちらに視線を向けて来る。


「………どうせ1人暮らしだし、興味ある奴は今から遊びに来るか?」


俺がそう尋ねると、クラスの半数近くが手を挙げていた。そして―――


「ここ、高級住宅街だよな?南、こんな所に住んでるのか?」
「伊達に億万長者じゃないからな。と、そんなこと言ってる内に見えてきた。あそこが俺の家だ」


前原の質問に簡潔に答え、既に見えてきた自宅を指さし、ついて来たクラスメイトに教える。すると―――


「「「「「「「「「「え?………えぇーーーーーーーー!!」」」」」」」」」」


俺の家を目にしたクラスメイト――カルマ、潮田、磯貝、前原、杉野、千葉、木村、茅野さん、中村さん、速水さん、倉橋さん、矢田さん、神崎さんの以上13名は驚きの声を上げた。

まぁ、見えてきた家が煙突の付いたそれなりに立派な洋館だからな。もっと分かり易く言うなら、F●teシリーズに登場する遠坂邸だ。


「こ、これが南の家なのか?」
「ああ。外観が気に入って購入した。名義には烏間さんの名前を借りてるけどな。まぁ、取り敢えず気楽に上がっててくれ」


とは言ったものの、皆はこんな立派な洋館に招かれたことも無いのだろう。動きがいつもより硬くなってしまった。俺しか住んでないから、そこまで緊張する必要もないんだけどな。

で、皆を玄関まで案内すると、家を管理する為に雇っている家政婦さんが出迎えてくれた。


「あら。おかえりなさい、樹君」
「ただいま、磯が――」
「母さん!!?」


俺が家政婦の磯貝さんに帰宅の挨拶をしようとすると、磯貝が大きな声を上げた。……ん?磯貝?


「磯貝。もしかして。こちらの磯貝さんはお前の母親か?」
「あ、ああ。ってか、母さん!南の家で何やってんだよ!?」
「あら、悠馬。あなた、樹君と友達だったの?」
「磯貝さん。俺と磯貝は友達というか、クラスメイトなんッスよ」
「そうなの?いつも悠馬が迷惑を掛けてないかしら?」
「そんなことないッスよ。磯貝は立派にクラス委員を務めてます」
「そう?なら良かっ―――」
「そんな世間話はどうでもいいから、この状況について説明してくれ!!」


自分の母親が俺の家にいる理由を1秒でも早く知りたいのか、磯貝が説明を急かして来るので、取り敢えず俺は磯貝さんに人数分の紅茶を用意して貰う様に頼んで、リビングで説明することにした。

説明自身は簡単だけど、玄関で13人の人間が立ち話ってのも何だからな。で、皆をリビングに案内して磯貝さんのことについて説明すると―――


「「「「「「「「「「家政婦?」」」」」」」」」」
「そう、家政婦。外観が気に入って買ったはいいけど、俺って学生じゃん?平日の約半日は学校で過ごすから、家の管理に手が回らなかったりするんだ。だから、家政婦を募集して、それに応募したのが磯貝の母親って訳。
日給10万円で募集してたから、応募者は多かったんだけど、書類選考の時点でまともな応募者が磯貝さん以外殆ど居なかったんだよ。
殆どが給料目当てだけの高校生や大学生だったからな。で、まともな応募者の磯貝さんを雇ったって訳だ」
「日給10万ってことは、週5日働いたとして単純計算でも月給200万以上。そりゃあ、応募者―――金欲しさの学生も殺到するわな」


俺が家政婦を応募した理由と磯貝さんを雇った理由を説明すると、杉野が呆れ気味にそう言ってきた。


「ちなみに給料は日払い。主な仕事は屋内の掃除や食品の買い出し、晩飯の用意だな。拘束時間は朝8時30分から17時30分までの9時間。休憩時間は手が空いたらいつでも、って感じだ」
「え?仕事が終わったら何時間でも休憩できるの?」
「ああ。一応、1日で屋敷の全てを清掃するのは無理だから、清掃ノルマってのを作ってんだ。そのノルマを終えたら、食品の買い出しや晩飯用意の時間以外を基本的に自由時間としてる」
「最近、朝昼晩のおかずの数がファミレスのセット料理並に増えてたのは、母さんが南の所で働いて稼いでたからか」


俺達がそんな会話をしていると、磯貝さんが紅茶を持って来てくれた。この時、俺がふと壁側にある古時計に目を向けると、時計の針は17時15分を指していた。


「磯貝さん。今日はちょっと早いけど、もう上がっちゃいますか?」
「え?」
「今日は磯貝も来てるし、残り時間は磯貝――悠馬が代理ってことで、磯貝さんは家に帰って上げて下さい。まだ小さいお子さんもいるんでしょ?」
「あ、ありがとうございます。それじゃあ、今日はこれで上がらせて頂きます」
「はい。今日もお疲れさんでした。また明日もよろしくお願いします」
((((((((((イ、イケメンだ!!))))))))))


磯貝も親の職場――しかも、仕事中に長居するとか居心地悪いだろうし、磯貝には小学生低学年の弟と妹がいるって聞いてたから、磯貝さんには少し早目に仕事を上がって貰うことにした。

そして、磯貝さんが帰ったのを確認すると、俺は改めて口を開いた。


「で、これからどうする?一応、ゲーム部屋とかあるけど、ゲームでもするか?」
「げ、ゲーム部屋って……。ってか、南ってゲームするのか?」
「一応、趣味の1つだからな。それにこの屋敷、部屋数が多いから私室と客室以外に色んな部屋を作ったんだよ。書斎とか、ハッキンg―――PC部屋とか」
「ちょっと待って!今、ハッキング部屋って言おうとしなかった!!?」
「潮田の聞き間違いだろ。気にするな」


潮田の質問を流しつつ、俺は皆を2Fにあるゲーム部屋へと案内した。


「……すげぇ。俺、こんなにモニターが大量にある部屋見るの初めてだ」
「いや、杉野。普通に考えて、この光景を見る機会なんて無いと思うよ」


部屋に入って第一声を放った杉野に対して、潮田がツッコミを入れた。まぁ、一般家庭ではまず見られない光景だろうな。

1つのゲームハードに対してモニターが1つ。このゲーム部屋だけでゲームハードの数はPFX、PF3、PF4、Vii、Vii:Cの5機。テレビモニターも5つ。携帯ゲームも含めればゲームハードは計8機。

その他にもPCモニターとハードが4機ずつ、モニターは上下2列繋げる形で配置している。これはオンラインゲームを、両手両足を使って最大4キャラ操作する為だったりする。


「これ、PCだよね?南君、さっきゲーム部屋とは別にPC部屋があるみたいなこと言ってたけど」
「それはオンラインゲーム専用PCだ。深夜帯とかに両手両足使って、4キャラ操作したりするんだ。ほら、キーボードとマウスが2セットずつ椅子の下にあるだろ?それは足専用だ」
「どんだけ器用なの!?ってか、何で1人で4キャラ操作しようと思ったの!?」
「え?強いて言うなら、期間限定クエで効率よくレアアイテムを手に入れる為?」
「………もう何も言わないよ」


PCが4機あることについて潮田から質問され、ちゃんと答えてやったらツッコまれた上、最終的には投げ遣りな返事が帰って来た。解せぬ!

この後、俺達は18時30分まで各々が好みのゲームをする形で時間を過ごした。とは言ったものの、ほぼ全員がガンシューティングをしていた訳なんだが……。

ちなみに、ガンシューティングの順位は意外なことに神崎さんが1位だった。俺の予想では千葉と速水さんがトップ争いをすると思ったんだが、神崎さんはリロードのタイミングが神懸っていて、正に無双状態だったんだ。

まぁ、ガンシューティングは相手の方から突っ込んで来ることもあって、実際の射撃より着弾させ易くはある。重要なのはリロードのタイミングと敵をどこまで引きつけてから撃つかの見極めだ。

今回はその判断速度で神崎さんが断トツだったってだけで、次やる機会があれば千葉と速水さんなら神崎さんを超えられると思う。と、こんな感じで俺の自宅訪問は幕を閉じた。次、家に招く機会があったら工作室とかも案内したいな。

……え?工作室って何か?金属加工会社とかエンジン製造所にオーダーメイドで発注したパーツで色々作ってたりするんだよ。そう、色々と。何を作ってるかは今の所秘密だ。


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧