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オズのベッツイ

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第九幕その八

「いや、オズの女の子は可愛い娘ばかりだけれど」
「あんた達も可愛いね」
「それもとてもね」
「可愛いじゃないか」
「どっちの娘もお人形さんみたいだよ」
「ここはあんた達のお人形を作ろうかな」 
 クルマーの族長さんは笑ってこんなことも言いました。
「わし等はこうした両手だから無理だけれど」
「車輪の手はこうした時不便だよな」
「全くだよ、手作業には向いていないからな」
「進むことが楽でも」
「それでもな」
「手作業になると」
「これがな」
 クルマー達は自分達のその車輪の手足を見ながら苦笑いにもなりました。その手足では、というのです。
 そうしたことをお話してです、そして。
 そのうえで、です。二人にあらためて言いました。
「だから誰かに作ってもらうよ」
「それでわし等の国の宮殿に飾っておくよ」
「フランス人形みたいにね」
「それかぬいぐるみだね」 
 二人のぬいぐるみもいいというのです。
「ああいうのでもいいね」
「とにかくあんた達は可愛いから」
「お人形みたいだからお人形を作るよ」
「誰かに頼んでね」
「お人形作りだと」
 お人形のお話をここまで聞いてです、ベッツイはクルマー達に言いました。
「マンチキンの国にね」
「いい職人さんがいるんだね」
「人形作りの」
「ぬいぐるみ作りにしてもね」
 そちらもだというのです。
「あの国にいたわよ」
「じゃあこの旅行でマンチキンの国にも行くか」
「そうしようか」
「ここからな」
「それがいいな」
 こう彼等の中でお話するのでした。
「それで二人のお人形さんを作ってもらうか」
「そうしようか」
「ついでにマンチキンの国でも観光して」
「そっちも楽しむか」
「それがいいな」
 こうお話してでした、皆でお話して決めました。ですがここで族長さんが皆にこうしたことを言ったのでした。
「ただな」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「わし等は娘さん達の顔のことは知っているぞ」
 今見たからです、そのお顔だけでなく外見全体は服装も。
「けれどな」
「ああ、それでもな」
「マンチキンまで覚えているかどうか」
「覚えていても職人さんに外見のことをちゃんと言えるか」
「それが問題だな」
「そうだよな」
「それなら写真に撮ればいいじゃない」
 彼等にです、アンが言いました。
「あんた達カメラ持ってるの?」
「ああ、一応」
「それぞれ一個ずつ持ってるぞ」
「ちゃんとな」
「持ってるよ」
「それならよ」
 クルマー達のお話を聞いてです、アンはあらためて言いました。
「撮ればいいのよ、二人をね」
「そうだな、写真を撮って」
「そうしてその写真を見せれば」
「それでいいな」
「そうだよな」
「あんた達はどうだい?」
 族長さんはナターシャと恵理香に声をかけました。 
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