| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

我輩は逃亡者である

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章 世界からの逃亡者三人。
  10.厨二がきた

「はぁ!はぁっ!嘘だ!こんなのってないよ!」

信じられない!こんな、こんなことが!離されないのがやっとだなんて!おれだって短い間とはいえ警察から走って逃げ続けてたのに、樹海で数日間生き残る体力だってあることが図らずもわかったのに!



「女の子一人背負った引き籠りのメカウサミミつけた不思議の国アリス系科学者に成長期の逃亡系男子が体力でも走力でも負けるなんてあり得ない!現実を認めたくない!」
「また滅茶苦茶いうね!しかし束さんは細胞単位で天才なのだぁぁぁぁ!!」
「流石束様です!しかしかーくんさんよくついてこれてますね…」
「いっぱいいっぱいだよ!もう…も、もた…ない」

細胞単位で天災だなんて本当に反則級…頭使ってメカつくって逃げてると思ったら肉体面でもブッ飛んでるのか!なんも整備されてない山の中走ってるってのに呼吸が微塵も乱れてないし!なんか普段引きこもってる女の人に負けるってショックだ…あ、ホント無理転けっ!?

「おっと!危ないよ、かーくん!」
「ごふっ…はっはっ!はぁはぁ…転んだ男を難なく脇に拾い上げて抱えて走るだなんて、束先輩には敵わないですよ…あーしんどい」
「ハハハハ!ようやく束さんの凄さがわかったんだね!」
「いや、凄いのはもうわかってましたよ。ただ素直に凄いと思えないだけで」
「そうです!束様は世界で一番凄いんですよ、ただ素直に認めにくいだけです」
「誉められてるのかな!?それ束さん誉められてるのかな!まったくかーくんはツンデレだなぁ!」
「はいはいツンデレツンデレ。べ、別に束先輩のことなんて駄目なとこあるだなんて思ってないんだからね!」
「お!ノリいいね、かーく…それでツンデレだったら束さんのこと駄目だと思ってるじゃん!?」

いやだってそこいらの男子に家事力で負けるとか二十歳越えた女性としてどーですよ?さっきいたラボなんて床9割埋もれてましたよ?俺の部屋だって流石に床は見えてたよ。

「ぐっ…いっくんがいれば凄い綺麗にしてくれそうなんだけどなー。束さんにはできないことだからかーくんに任せるよ」
「自分でするという選択肢はないのか、この先輩は」
「すみません、かーくんさん。私も手伝いますので」
「そうだね、取り敢えず落ち着けたらラボの床が見えるくらいには頑張ろう。束先輩はルンバみたいなのつくってくださいよ」
「そーゆうことなら任したまえ!いくらでもつくるさ!」
ルンバあれば勝手にある程度綺麗になるでしょ。あ、ダメか…ルンバが動けるほど足場なかった…

「で束先輩や、今さらなんだけどラボに来たISはどこのですかね?」
「えーとアメリカの軍所属の機体だね、正確に言うと一般には知られていない地図にない基地(イレイズド)ってとこの部隊の奴らだね」
「へーそうですか」
「聞いてきたわりに反応がドライで束さんは悲しいよ…」
「ネーミングセンスが厨二すぎてアメリカの未来を愁たんですよ」

そんな急に右腕が疼いたり邪気眼の封印が解けそうになったり何かと共鳴したりしそうなところにISを任せるなんてアメリカは終わってそうだよ。

「寧ろ終わりが始まってますねアメリカ」
「おっ、くーちゃん上手い。まあ金髪たちの将来なんてどーでもいいけどね。成功しようが野垂れ死のうがさ」
「関係ないですもんね、束先輩にもくーちゃんにも。ついでに俺にも。まあまかり間違ってその部隊と会うことがあればそこはかとなく恥ずかしい部隊名って伝えるくらいはしますかね」

反応が気になる…素で首とか傾げられたらどうしよう?
アメリカ人とかって日本のアニメとか好きだもんなぁ。日本でも厨二が普通とか思われてるかもしれん…

「それで束様、今度は何処へ向かっているのでしょうか?」
「んー取り敢えず今日はもう夜遅いし適当な街までいってホテルに泊まろうかな」
「え…捕まりませんか?そんな奇抜な格好してたら一発でお縄ですよ」
「大丈夫だよー、何かファンタとタコスって組織から一度会って話がしたいって言われてね。そのとき幾つかの施設を使ってもいいって言われてたんだよ」

ま、ほんとは必要ないんだけど今回は使おうか、と束先輩は言った。ファンタとタコスって組織か…食い意地はってんのかな?束先輩の科学力でファンタとタコスの大量生産をお願いしたいとか。

「はー、そうなんですか。束先輩他人に基本興味無さそうだけど会うんですか?」
「まーねー、ちょっと気になる子がいてね。調度いい機会だからいいかなと思って」
「ファンタとタコスですか…束様に大量生産でもお願いしたいとかでしょうか?」

あ、くーちゃんと考えが被った。

「プッ…アハハハハ!そうだったらいいねぇ!束さんの意表を突いたってことでつくったげるよ!まあ合法的な組織じゃないからあり得ないだろうけどね」
「そうなんですか?」
「そうだよ、逃亡中だったかーくんのことも狙ってたんじゃない?まあテレビ中継されたり警察に追われたりしてたから手を出しにくかったみたいだけど」

おおう、ひょんなところに解剖の危険が潜んでる。ファンタとタコスとか変な名前の癖に危ない奴らなのか。道行く人にタコスを投げつけファンタをかけるテロとかやりかねん…

「食べ物を粗末にするなんて許すまじファンタとタコス!」
「え、急にどうされましたか?かーくんさん」
「いやファンタとタコスの行いが許せなくて…世の中には樹海に突撃して迷ってお腹を空かせる人間だっているのに」
「それがなんで食べ物を粗末にすることに繋がるのか束さんには理解できないよ…あと樹海に突撃してで迷うのはかーくんぐらいだよ」
ですよね、他にいたら是非友達になりたいよ。

「ま、取り敢えずホテルへレッゴー!久々に綺麗な寝床で寝れるよ!やったねくーちゃん、かーくん!」
「寝床まで散らかってんですか…」
「私の寝床は片付けてますよ?」

--取り敢えず落ち着けたら本当に掃除くらいしようかと思う。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧