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我輩は逃亡者である

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第二章 世界からの逃亡者三人。
  08.先輩からのお誘い

「これは……汚い。流石の翔くんもこれには苦笑い」
「ひどっ!?」

どうも、現在束さんの散らかったラボにいます上代翔だよ。海岸で遭遇した内の一人が世界最強ブリュンヒルデ織斑千冬であるときには人生オワタと思ったが束さんがいてよかった、おだてる前に散々なこと言ったから心配だったがしっかりと連れて逃げてくれた。案外チョロ…純粋なのかもしれない。
--世間で天災と呼ばれているらしい彼女について来たのもどうかと思うがブリュンヒルデの笑みの方が威圧的すぎて恐かったのだから仕方無い。

「お帰りなさいませ、束様。そちらの方は?」
「くーちゃんただいまー!一人で寂しくなかったかい?束さんは寂しかったよ!そうだハグハグしよう!」

おやラボの奥から銀髪の女の子が…ボーデヴィッヒさんにそっくり…いや髪の色以外は違うか。この子はどっちかっていうとおっとりした感じだね、ボーデヴィッヒさんは寄らば切る去っても切るって感じだった。
--くーちゃん成分補給中ー、と言って束さんが抱きついているが話を聞いてあげようよ。

「始めまして。上代かけ」
「この男の子はかーくんだよ!かーくんって呼んであげてね!」
「そうですか、かーくんさんよろしくお願いします」
「えー、かーくんさんって呼び方決定?」
「はい、束様の指示ですので」
「そっか。まあいいや、よろしくね…えーと」

なんて呼ぶか…初対面でくーちゃんは流石になぁ、名前なんだろうか?

「クロエです。クロエ・クロニクル、クロエとお呼びください」

クロエ・クロニクルか、凄い名前だ。外国ではこんなものなのだろうか?まあ日本だって負けてないくらい凄いのがあるけど。

「えー!くーちゃんはくーちゃんって呼んでもらおうよ!」
「ではそうお呼びください、かーくんさん」
「…わかったよ、よろしくくーちゃん。束さんアンタ暴君ですか」
「違うよ!あとかーくんは束さんのことは束先輩と呼びなさい!」
「先輩…何でです?」
「ふっふっふー、束さんが先輩だからだよ!私も君も世界に指名手配されてるからね!」

え…?マジで?近所で指名手配されてたのは知ってるけど世界的に追われてるんですか?束さんと同じく?
世界に追われるなんていつの間にそんな人気になったんだおれ?

「束先輩ちょっとタンマ、あと少し聞きたいことが」
「いいよ!あとさっそく先輩呼びとは順応早いね!先輩に聞きたいことがあったら聞くといいよ!何が知りたい?束さんのスリーサイズかい?それともくーちゃんの!?おおっと!かーくん後輩そいつぁトップシークレットだよ!」
「束パイセンうるさい」
「束様お静かに」
「はい」
スリーサイズが聞けるなら是非とも聞きたいがそうじゃない。

「俺世界に追われてるんですか?」
「うん、束さんと一緒だね。キャッ、おそろ」
「何でですか?」
「…えーとかーくんは世界で2人しかいない人間だからだね」
「束先輩ボケた?おれは一人しかいないよ」
「束様しっかりしてください、かーくんさんは一人しかいません」
「そうじゃないよ!しかも二人とも何か息合ってるね!?…はぁ、正確に言うと世界中の男の中で2人しかいない男性IS操縦者だからだね」

えー世界はそんなことでおれを追ってるの…?ほんとたまたまタマタマついてるやつが二人操縦出来ただけなのに。絶対世界で他に一人しか出来ないことやってる珍しい人いるって、そっち追っかけようよ。男性操縦者だなんて2人いればまだまだ見つかるよ、ほら逃げたやつ追うよりもっと頑張って探そう世界!応援するから!
--まあ要するに逃亡者として先輩なのか。ISって結構前からある気するから結構な先輩である。

「そうですか。束先輩ちなみに他に動かせる男はいないんですかね?」
「んー残念ながら束さんのわかる限りではいないね、何でそんなこと聞くのかな?」
「いや居たら今もバレずに悠々暮らしてるソイツをスケープゴートにしたくて…」
「かーくん中々最低だね!」

ですよね、逃亡続けてると性格がすれてきた気がしてならない。具体的にはあのとき。

「ラーメン屋で個人情報だだ漏れの貼り紙見てから性格がすれてきてる自覚はあります」
「ギクッ…」
「ギクッって何ですか?何か心当たりが?」
「い、いやー始め2人目の男性操縦者が見つかったって聞いたときかーくんのこと気に入らなくて…片手間で警察に情報リークしちゃった!テヘペロ☆」
「束様…それは」
ああ、なんかこの人が世界で指名手配されてる理由がわかってきた。少なくとも片手間でやっていいことじゃないよ。

「まあいいですよ、どうせそのうちバレることが多い内容でしたし。束先輩が直接手を出してたこと考えれば比にならないですし」
「ひゅー、懐が広いねかーくん!」
「よかったですね束様。…そういえばかーくんさんはこれからどうなさるので?」

ん?そーだねぇ、取り敢えず凌ぎであの場からから逃げたくて束さ…束先輩頼ったわけだけどこれからなんて考えてなかった。というか先を考えて行動したことあったかな?樹海に突撃して何かの施設に捕まりパスポートもないのに空港にいって密航船で海を渡ろうとして挙げ句の果てには初代ブリュンヒルデと天災に遭遇したけど…これは酷い。しかし…

「今までも今も先のこともは何も考えてないよ!くーちゃん!」
「何でちょっとドヤ顔で言ってるんですか…?」

これがおれ、行き当たりばったりの上代クオリティー。
とかいつも通りくだらないこと考えてたら

「なら束さんとくーちゃんと一緒に世界から逃げないかい?」


--それはまた今後を大きく変えそうなお誘いであった。






▼▼▼▼



そのときのIS学園

「え!ちふ…織斑先生上代翔に会ったのか!?」
「ああ、中々おかしな奴だったぞ。何しろあの束が話していて疲れていたからな」
「姉さんが相手をするのに疲れる人間…それは人間なんですか?」
千冬姉は臨海学校のときに一回上代翔に会っていたのか…ん?なんで千冬姉と遭遇してるのに捕まってないんだ?あと箒それはさすがに酷いぞ……

「その後上代は……束について逃げていったな。解剖なんてごめんだとか言いながら」
「解剖……?どういう意味ですか教官?」
「知らん、ただかなり真剣に言っていたようには見えたがな」
「捕まったら解剖されると思っているということでしょうか?」
「えっ?何それ、普通そんなこと思う?」
「ハハ、世にも珍しい男性操縦者だし何の後ろ楯もなければそう思うかも……?」

「え、じゃあ上代翔は捕まったら解剖されると思って逃げ続けてるのか……?」
よ、予想外すぎる理由だ!解剖なんてされないからIS学園に来てくれよ!

--やっぱ男1人は辛いんだ…… 
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