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絶対に勝つ

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第二章

「それは気をつけています」
「それはいいことね。ただ」
「ただ?」
「もう一ついいものがあるけれど」
 部長はハンナにだ、怪我をしない為に準備体操以外にもう一つのことも言った。それはどういったものかというと。
「どうかしら」
「それって何でしょうか」
「お風呂だけれど」
「お風呂、ですか」
「ハンナはいつも何に入ってるの?」
「シャワーです」
 あっさりとだ、ハンナは部長に答えた。
「毎日寝る前に入っています」
「それで身体を奇麗にしてるのね」
「そうしています」
「それはいいことね。けれどね」
「お風呂はですか」
「身体にいいのよ」
「それはどうしてなんですか?」
 何故風呂が怪我をしない為にいいのかとだ、ハンナは部長に問うた。
「お風呂が怪我をしない為にいい理由は」
「身体を温めるからよ」
「お湯で、ですか」
「そう、それに汗をさらにかいて」
 そのこともあってというのだ。
「身体も温めて」
「ほぐすんですね」
「そうするから」
 いいというのだ。
「やってみたら?」
「身体をほぐせば」
 どうなる、ハンナは部長の言葉を頭の中で反芻しつつ自分ではこう言った。
「疲れも余計に取れますね」
「そう、それでね」
「その分速く走ることが出来ますね」
「身体が疲れているとどうしてもね」
「遅くなりますね」
「そう、だからね」
 それで、と言う部長だった。
「そのことからもいいのよ」
「お風呂はいいんですね」
「そう、そうした意味でも」
「わかりました、今日から入ってみます」
「そうしてね、運動もいいけれど」
 風呂もというのだ。
「食事にまで気をつけてるのならよ」
「そうした疲れの取り方も大事なんですね」
「マッサージとかもいいけれど」
「私マッサージは」
 そうしたことはとだ、ハンナは微妙な顔になって述べた。
「まだ高校生ですし」
「いいと思ってるのね」
「そう思ってますけれど」
「まあお風呂入ってもまだ疲れが残っているのなら」
「その時はですか」
「マッサージもいいわよ」
「とにかく身体の疲れを取ることですね」
 ハンナは部長の言葉をここでも頭の中で反芻した、そしてそのうえでだった。
 一旦屈伸をして足を伸ばしてだった、部長にこう返した。
「じゃあ今日からお風呂入ります」
「やってみて、全然違うから」
「そして今からは」
「また走るのね」
「そうします」
「走って走ってね」
 そして、とだ。部長はハンナに微笑んで述べた。
「疲れをほぐしてこそよ」
「あいつに勝てるんですね」
「怪我をせずにね」
 そうなるとだ、走る前のハンナに言うのだった。ハンナはその言葉を受けてランニングに出て気持ちよく走った。
 ハンナは実際にこの日からシャワーではなく風呂に入る様になった、するとすぐにだった。
「全然違います」
「身体が温まってよね」
「はい、これまでとは全然違って」
 それこそというのだ。 
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