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オズのベッツイ

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第九幕その六

「カルロスの服は黄色だけれど」
「他の皆の服は」
「それぞれの色じゃない」
「あたしなんてガラスだしね」
「そう、だからね」
 その前だからです。
「その分目立ってわよ」
「そうよね」
「黄色の中に他の色があれば目立つわ」
「特に私はそうですね」
 黒いゴスロリの服のナターシャの言葉です。
「物凄く目立っていますね」
「虎を思い出すわ」
 ベッツイは微笑んで言いました。
「本当にね」
「虎ですか」
「腹ペコタイガーをね」
 思い出したのはこの虎でした。
「あの人をね」
「確かに。黒と黄色ですと」
 ナターシャも言います。
「腹ぺコタイガーさんですね」
「そうでしょ」
「豹もそうですけれど」
「けれど黒と黄色ならね」
 それならというのです。
「どちらかというとそうね」
「ええ、そうですね」
「それよね」
 まさにというのです。
「豹よりもどうしてもね」
「虎になりますね」
「私は腹ペコタイガーといつも一緒だから」
 ベッツイは王宮での自分のことをお話します。
「それでなのよ」
「黒と黄色だと虎を連想するんですね」
「そうなの、豹もオズの国にいるけれど」
「それでもですね」
「ええ、腹ペコタイガーをいつも見ているからね」
「虎になるんですね」
「そうなの」
 こうお話するのでした。
「それに豹は黒いだけのもいるでしょ」
「黒豹ですね」
「あれはあれで格好いいけれど」
 それでもとです、ベッツイは言うのでした。
「そのせいで豹が絶対に黒と黄色とは限らないイメージがあるのよ」
「虎も白い虎がいるわよ」
 猫はベッツイにこのことを言いました。
「ちゃんとね」
「そうね、けれどね」
「腹ペコタイガーを見ているから」
「そう、だからね」
 それでだというのです。
「私は黒と黄色だと虎なの」
「私もです」
「本当にナターシャの黒い服はウィンキーの国では特に目立つわね」
「あとね」
 アンもナターシャに言います、彼女が言うことはといいますと。
「ナターシャの服って」
「はい、何でしょうか」
「そのお姫様みたいな服は何なの?」
「お姫様の様でね」
 ベッツイもナターシャの服のお話に加わってきました。
「それでいてね」
「少し違うわよね」
「お人形さん?」
 アンは首を傾げさせてこうも言いました。
「ナターシャの服って」
「あっ、確かにそんな感じね」
「フリルがひらひらとしていて」
「スカートの長さは膝までで」
「それで可愛らしいデザインで」
「頭にはリボンが付いたボンネットがあってね」
 そうしたナターシャのファッションの細かいところまで言うのでした。
「脚は黒のストッキングで覆って」
「靴も可愛くて」
「アクセサリーでも飾っていて」
「とても可愛くてね」
 それでお人形さんに見えるというのです。 
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