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サロン

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第二章

「いいですね」
「はい、ここはです」
「マレーシアでも屈指のリゾート地で」
「景色のよさで有名ですから」
「旅行前に調べてはいました」
 主でネットでチェックしたのだ。
「ですが」
「それでもですね」
「実際にこの目で見ますと」
「百聞は一見に如かず」
「まさにその通りですね」
「本当に。では早速」
 ポッターは笑顔でチンに言った。
「部屋に入って」
「そうしてですね」
「水着に着替えて」
 そのうえでというのだ。
「泳がせてもらいます」
「水泳出来るんですね」
「テニスが一番ですが」
「それでもですね」
「はい、泳ぐことは出来ます」
 つまりカアナヅチではないというのだ。
「ですからご安心下さい」
「じゃあ私はここにいますから」
 チンは彼に笑顔で話した。
「ではどうぞ」
「はい、ホテルの部屋で着替えてきます」
 こうしてだった、ポッターは水着になってだ。
 そのサファイアの海を楽しんだ、しかし。
 海から上がった彼にだ、チンはこんなことを言った。
「楽しまれているのは海と水泳、景色の三つだけですか?」
「そこでプラスアルファだね」
「そうじゃありませんか?」
「まず言うけれど私はゲイじゃないよ」
 ポッターは水着の上に持参した白いシャツを着つつその彼に答えた。
「間違ってもね」
「じゃあここにいる天使達は」
「皆いいね」
 実際にだ、ポッターは彼女達を見つつ応えた。ビーチにいるので言うまでもなく彼女達はそれぞれビキニやワンピースの水着を着ている。
「赤に青、黒に白に黄色に」
「華やかでしょ、ここは」
「花の色がね」
 もっと言えば花が着ている水着の色がだ。
「観ていて飽きないね」
「そしてその中で、ですよ」
「美味しいものに美味しいお酒」
「そうなるね」
「そうですね、ただ」
「ただ?」
「ポッターさん女の人は観るだけですか?」
 チンは悪戯っぽく笑ってポッターに問うた。
「そこでさらにとは」
「声をかけて」
「そこから先は言いませんがね」
「いや、言ってるよ」
 言葉の中にとだ、ポッターはチンに笑って返した。
「もうね」
「そうでしょうか」
「そうだよ、そうだね」
 チンの言葉にだ、ポッターは考える顔になって応えた。
「それもいいね」
「そうしたことも」
「そうしよう、ただリゾート地だけあって」
 その花達を見るとだ、誰もがだった。
 誰かと一緒だった、中には子供と遊んでいる花もいる。ポッターはその花達を見てこうチンに言葉を返した。
「一人の人はいないね」
「カップルか家族かですね」
「女性の一人旅なんてないね」
 こう残念そうに言うのだった。 
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