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ムームー

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第四章

「その時はね」
「いや、あんたの場合はね」
「夏はね」
「無理じゃないの?」
 ホクのことを知っている友人達はだ、少し苦笑いになってだった。そのうえで彼女に対して言ったのだった。
「ムームーでもね」
「暑いでしょ」
「今は冬だけれど」
「それでもね」
「夏はね」
「ううん、夏は無理かしら」
 ここでホクは実際にハワイの夏を思い出した、すると。
 今着ているムームーだとだ、どうかと思ってこう言った。
「やっぱり」
「もっと生地が薄いムームーもあるわよ」
 すぐにだ、先程コーラを差し出した彼女が言って来た。見ればホクよりもさらにハワイ系の血が濃い感じだ。
「だから夏はね」
「そうしたムームーを着ればいいのね」
「ムームーが好きならね」
「そうね、着てみれいい感じだし」
 ホクはムームーのスカートのところを右手で摘んで少し上にあげて見つつ言った。
「夏もね」
「そうしたムームーを着て」
「楽しみたいわ」
「私もそうするわ」
 その彼女もというのだ、コーラを差し出した。
「こうしたパーティーの時もね」
「ムームー着るのね」
「そうするから」
「そうね、私達もね」
「ムームーいいかもね」
 他の娘達も言い出した。
「男の子にも好評みたいだし」
「今皆実際にホク見てるし」
「それならね」
「私達もね」
「ムームー着てみる?」
「パーティーの時もね」
 自然と女の子の間でそうした話になった、そして。 
 女の子達はそのホクのムームー姿を見ている男の子達ともドリンクやお菓子を楽しむつつ屋外のパーティーを楽しんだ。夜空に無数の星達が様々な色で瞬き遠くからは潮騒の音が聴こえるその夜のハワイの中で。
 パーティーが終わってだ、ホクは友人達と一緒に帰った、そして。
 家に入るとだ、ハリアに笑顔でこう言えた。
「凄い評判よかったわ」
「そうでしょ」
「思っていたよりもね」
「ムームーはデザインもいいから」
「可愛いって言われてたわ」
「そうでしょ、それにね」
 ハリアは娘に夕食を出しながら言った、ヨーグルトをかけたサラダにフルーツの盛り合わせと冷たい人参のスープにパイナップルを添えたハンバーガーだ。
「ムームーは正装でもいけるから」
「普段着たり今日みたいなラフなパーティーにもなの」
「そう、着ていけるから」
「便利な服なのね」
「そうよ、だから何時でも着ていいのよ」
「そう、それじゃあね」
 ホクは母の言葉に笑顔で応えた。
「夏用のムームーも買ってね」
「夏も着るのね」
「そうしたいわ、このムームーもいいけれど」
 それでもというのだ、母から貰ったそのムームーを見つつ。
「私には夏にはね」
「そうね、あんたは暑がりだから」
「夏はもっと生地の薄いの買うわ」
「それがいいわ、じゃあもうすぐお父さんも帰ってくるから」
「一緒にね」
「御飯食べましょう」
 ハリアは戻って来た娘に笑顔でこう言った、そしてだった。
 ムームーを着たまま笑顔でだった、戻って来たマイケルも入れて家族で夕食を食べた。ムームーの着心地はこの時も最高だった。


ムームー   完


                             2015・5・27 
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