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ムームー

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第二章

「好きだし」
「そうよね」
「上はアロハ、下は半ズボン」
「あんたその格好多いわよね」
「涼しいし動きやすいから」
 よくそうしたファッションになる理由はこうだった。
「だからね」
「それでよね」
「うん、普段ズボンが多いし」
「それでムームーは」
「なかったわ」
 また言うのだった。
「そういえばね」
「じゃあ着てみればいいわ」
「ええ、じゃあそのムームーね」
「出しておくから。学校から帰ったら」
 その時にというのだ。
「それでね」
「まずは試しに着てみて」
「それから考えてみたら?」
「そうね」
 ホクは母のハリアのその言葉に応えた、そしてだった。
 まずは朝食をしっかりと食べてだ、登校してハイスクールライフを楽しんだ。クラスメイト達と楽しく過ごしてそれからだった。
 部活のバスケも楽しんでだ、それから。
 家に帰るとすぐにだ、ハリアに言った。
「ムームーは?」
「リビングに出してるわよ」
 ハリアは娘に笑顔で応えた。
「だからね」
「うん、お部屋に持っていってね」 
 自分のだ。
「それで試しに着てみるわね」
「そうしてから決めてね」
「うん、ただね」
「あんた今までムームー着たことなかったからね」
「そういえばそうなのよね」
 殆どだ、だからホクも言った。
「いや、これでもハワイ人なのに」
「そうよ、それはちょっとね」
「アロハだけっていうのは」
「カメハメハ大王に怒られるわよ」
「あはは、そうね」
「あの人がハワイを築いてくれたから」
 ハワイ王国の開祖と行っていい、ただしそのハワイ王国は今はない。アメリカの一つの州として存在している。
「その大王様に申し訳ないわよ」
「ハワイ人だから」
「そう、ハワイ州にいるのなら」
「大王様に申し訳ないことをしない」
「そのことは忘れたら駄目よ」
 笑ってだ、ハリアは娘のホクに言ってだった。
 そしてだった、ホクはそのムームー、ライトブルーの薄いさらさらとした生地に白い熱帯の大きな花が幾つもある模様で。
 くるぶしまで届きそうなワンピースのふわりとしたスカート、胸のところは四角く開いていて肩を覆う袖のところは丸くドレスみたいになっている。スカートの端もドレスの様に白い可愛らしい大きめのフリルがある。
 そのムームーを持ってだ、ホクは自分の部屋に入って。
 そして着てみてからだ、母にそのムームーを着た自分を見せた。
「どう?」
「あら、いいじゃない」
 ハリアはその娘を見て笑顔でこう言った。
「似合ってるわよ」
「本当に?」
「いい感じよ。それで着心地はどう?」
「涼しいわ、ドレスよりもね」
「そうでしょ、そもそもドレスはね」 
 こちらの服についてだ、ハリアはこう言った。
「ハワイの気候には合ってないわよ」
「生地が暑いから」
「ハワイは常夏でしょ」
「ええ、今だってね」 
 ハワイでも冬だ、しかし暑がりのホクにとってはだ。 
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