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オズのベッツイ

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第六幕その四

「丁渡近くにお池があるから」
「そこで、ですね」
「ええ、身体を奇麗にしてね」
 そうしてというのです。
「寝ましょう」
「わかりました」
「清潔第一よ」 
 身体を奇麗にしてこそというのです。
「女の子も男の子もね」
「そうですね、毎日お風呂に入らないと」
 恵里香はベッツイのそのお話にその通りと頷いて答えて言います。
「不衛生ですね」
「だからね」
 それで、というのです。
「身体を奇麗にしてね」
「わかりました」
「昔の旅は身体を奇麗にするなんて殆ど出来なかったけれど」
「今は違いますね」
「ええ、ボディーソープもシャンプーもあるし」
 勿論タオルもです。
「それにオズの国は気候もいいから」
「水浴びをしても風邪をひかないですね」
「だから楽なのよ」
 水浴びをすることもです。
「風邪をひかないのならね」
「身体を奇麗にしてですね」
「そうしておいた方がいいから」
「そうそう、それに五人共お風呂嫌いじゃないしね」
 このことはハンクが言ってきました。
「丁渡いいよ」
「そう、いつも奇麗にしないとね」
 ガラスの猫も言ってきます、暗くなろうとしているその中でガラスの身体の透き通っているものが見えています。
「それがいいのよ」
「貴女もいつも奇麗にしているから」
「あんた達もよ」
 是非にというのです。
「奇麗にしてね」
「わかったわ」
「そういうことよ」
「貴女も水浴びをしているの?」
 恵里香は猫に尋ねまいた。
「やっぱり」
「いえ、違うわ」
「じゃあどうして奇麗にしているの?」
「舌よ」
 ガラスのお口から舌をぺろりと出しての言葉です。
「これを使ってよ」
「それだと他の猫と同じね」
「そう、このことは普通の猫と同じよ」
 舌で身体を奇麗にすることはというのです。
「あとベッツイ達に奇麗に磨いてもらうこともあるわ」
「時々そうしているの」
 実際にと答えるベッツイでした。
「そうしたら普段よりも奇麗になるから」
「それでなんですね」
「この娘の身体は曇らないし傷つきもしないけれど」
 このことは普通のガラスとは違います、そして壊れることもありません。そうした意味でとても優れたガラスです。
「磨くとなのよ」
「余計に奇麗になるんですね」
「水晶みたいにね」
「私の身体はそうなのよ」
「私達も見ていて奇麗だから」
「磨いてくれるのよ」
 そうだというのです。
「感謝しているわ」
「ううん、確かにこの娘がさらに奇麗になるのなら」
 それならと言うナターシャでした。
「私達もそうしてみたいわ」
「何時でもいいわよ」
 猫は誇らしげにナターシャに答えます。
「私を磨くことはね」
「何時でもいいの」
「私は寛大だから」
 それでというのです。
「何時でもいいわよ」
「何か偉そうね、相変わらず」
「だって偉いから」
 ここでこう言うのがこの猫です。 
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