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オズのベッツイ

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第四幕その十一

「楽しみにね」
「そうしてくれるのね」
「それじゃあね」
 こうお別れの言葉を交えてでした、皆はです。
 薊の国を後にします、その前に別井が皆に言います。
「それじゃあね」
「あっ、そうですね」
「今からですね」
「そう、薊があるからね」
 とても険しいそれがあるからというのです。
「クリーム塗りましょう」
「そうですね、そうしてですね」
「宙を浮かんで」
「そうしてですね」
「薊の上を歩いてね」 
 そしてというのです。
「行きましょう」
「わかりました」
 ナターシャが応えてです、そしてでした。
 皆は薊の国を後にしました、そしてです。
 ベッツイは皆にです、明るい声で言いました。
「それじゃあ次はね」
「はい、果樹園を越えて」
「そしてですね」
「ハークの都に行きましょう」
 そこにというのです。
「そしてヴィグ皇帝とお会いしましょう」
「そういえばですけれど」
 ナターシャがヴィグ皇帝と聞いてこう言いました。
「一つ気になることが」
「どうしたの?」
「はい、ヴィグ皇帝は皇帝陛下ですけれど」
「ウィンキーにはっていうのね」
「ブリキの木樵さんもおられます」
 この人もというのです。
「あの人も皇帝ですよ」
「そうですよね、皇帝の上に皇帝がいるんですね」
「そうよ、オズの国ではね」
「そこが違いますね」
「皇帝はあらゆる民の上に立つ方よね」
「はい、例えば」
 ここでナターシャは恵里香を見てです、そして言いました。
「恵里香のお国の日本は」
「天皇陛下?」
 恵里香もナターシャに応えて言うのでした。
「あの方?」
「ええ、ロシアも昔は皇帝がいたけれど」
 今はいないのです。
「日本の天皇陛下は皇帝でしょ」
「そうね、言われてみれば」
 そうなるとです、恵里香もナターシャの言葉に頷きます。
「あの方は皇帝になるわ」
「そうでしょ、皇帝は王の上に立つから」
「私達の世界ではね」
「皇帝は二人もいない筈よ」
 これが五人の世界の決まりです、ベッツイ達もかつていた。
「そこがオズの国では違うのね」
「そうよ、オズの国では皇帝がいてもね」
「それでもですよね」
「皇帝の上に皇帝がいるの」
 そのヴィグ皇帝の上にというのです。
「木樵さんがね」
「そうなんですね」
「そしてね」
 さらにお話するベッツイでした。
「その上にオズマがいるのよ」
「オズマ姫がですね」
「オズの国で一番偉いのはお姫様なの」
「お姫様が国家元首ですね」
「四つの国、そしてエメラルドの都のね」
 あらゆる国のというのです。
「国家元首がオズマなのよ」
「そうなるんですね」
「そう、じゃあね」
「あらためてですね」
「オズの国の仕組みを納得してくれたら」
 国家元首のこともその中にあるのです。
「あらためて行きましょう」
「ヴィグ皇帝のところに」
「そしてね」
 さらにと言うのでした。
「ゾソーゾだけれど」
「あの力が強くなるお薬ですね」
 ナターシャがベッツイに応えます。
「それも物凄く」
「そう、あのお薬を飲む?」
「ううん、それは」
「それはなのね」
「別にいいです」 
 特に興味はないといった口調で、です。ナターシャはベッツイに答えました。
「それは」
「そう、じゃあ興味ない人はそのままでね」
「それで、ですね」
「何はともあれヴィグ皇帝のお国に行きましょう」
 そのハーグの都にです、こうして一行はさらに旅を続けるのでした。 
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