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オズのベッツイ

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第四幕その九

「何処で」
「そこまではわからないけれどね、私にも」
「けれど何かが起こることは間違いないわね」
「だから用心してね」
 こう一行に言うのでした。
「皆ね」
「わかったわ、気をつけるわ」
 ベッツイは猫の言葉に確かな顔で応えました。
「何かが起こるって覚悟してね」
「そうしておいてね、この国はそうした国だからね」
「ううん、これまでの旅であったことは」
 ナターシャは腕を組んで自分達のこれまでの旅のことを述べました。
「ボタン=ブライトが寝ていたりカドリングの色々な国を回ったり」
「トラブルはなかったわね」
 恵里香もナターシャに応えて言います。
「特に」
「ええ、ドロシーさん達の沢山の旅に比べたら」
「それでもなのよ」
 ベッツイがその二人に言うのでした。
「オズの国の旅は大抵何かが起こるのよ」
「多くの場合はですね」
「これまでは貴方達の度は何かがあってもね」
 それでもというのです。
「そう感じさせない位のものだったのよ」
「そうだったんですね」
「私達のこれまでの旅は」
「そうだったの、ただね」
「この旅はですね」
「何か起こるわよ」
 このことは間違いないというのです。
「ガラスの猫の予感だから」
「わかりました、それじゃあ」
「気をつけます」
 ナターシャと恵里香が五人を代表して応えます、そしてベッツイは微笑んで五人にこうも言ったのでした。
「それにね」
「それに?」
「それにっていいますと」
「私が頼りにならなくても」
 それでもというのです。
「ハンクとガラスの猫がいるから」
「ううん、僕は何も出来ないよ」
 jハンクは照れ臭そうに笑って言います。
「別にね」
「そんなことないわよ」
「だといいけれどね」
「いつも頼りにしてるわ」
 親友であるハンクをとです、ベッツイは笑って彼に言うのでした。
「だからね」
「この旅もなんだね」
「そうよ、何が起こってもね」
「僕を頼りにしてくれてるんだ」
「そうしてわよね」
「頼りにされたら嬉しくない筈がないよ」
 心優しいハンクにとってはです、このことはとても嬉しいことです。
「それじゃあね
「ええ、この旅もね」
「頑張らせてもらうよ」
 是非にと言うハンクでした。
「僕もね」
「それじゃあね」
「私がいるだけでね」 
 猫は猫らしく言うのでした。
「何があっても大丈夫だから安心してね」
「ここでこう言うのがね」
 ナターシャは少し笑って猫を見て言いました。
「猫らしいわね」
「私じゃなくて?」
「猫はそうした生きものだから」
 それで、というのです。
「だからね」
「猫らしいっていうのね」
「そう、まあ貴女自身もそうだけれど」
「私がいるとね」
 それこそとです、また言う猫でした。 
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