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極短編集

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短編48「廃墟で」

「あなたって、生きてるの?」

 声の方を振り向くと、白く綺麗なワンピースを着た、ひとりの女の子がいた。薄汚れた廃墟の中、その綺麗な服が、とてもアンバランスだった。

「ああ、なるほど」

 と、僕は、ボソッと言った。

「ねえ、飴持ってる?」

 と、女の子は言った。僕は……

「ないよ」

 と、答えた。

「チェッ」

 女の子はつまらなそうに、足元の小石を蹴った。

「じゃあ僕、行くから」

 僕は、その場から離れた。でも、ちょっと歩いてから……

「あっ」

 足元に見つけた物を拾って振ってみた。

カランカラン

 と、音がなったので、さっきの場所へ戻って行った。戻った先には、さっきも見た、薄汚れてて、多分、白かったであろうワンピースを着た、女の子の(しかばね)があった。
 僕は、さっき足元で見つけた物……飴玉の缶あけてみた。缶をあけると、ひとかけらの飴玉があって、僕はそれを女の子の、半開きの口の中に放りこんだ。
 そのあと僕はタバコに火をつけると、足早にその場を去ろうとした。その時、後ろに気配を感じて振り向くと、白く綺麗なワンピースを着た、女の子が立っていた。
 僕はどうやら、女の子の探し物を、見つける手伝いが出来たようだ。その女の子のホッペは……



 飴玉と笑顔で、ふくらんでいたからだった。

おしまい

 
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