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秋葉原総合警備

作者:イトヒー
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警察も頼りの警備員 No.2

 誰も居ない事務所のテレビはつけたまま。番組はニュースに乗っ取られていた。
『現在、秋葉原中央通りの某アイドルライブハウスで、銃を持った20代の男がライブを占拠。約200人を人質に身代金を要求している模様です。警察は……。』
 ライブ会場は極度の緊迫状態にあった。身代金だけではない。ライブを盛り上げる人気アイドルまで誘拐しようと企てていた。今まさに、アイドルを盾に会場の包囲を抜け出そうとしていた。ゆっくりと扉が開き、外までパニック状態に。
「み…道を空けろ!!…ゆかちゃんは僕のだ!」
 か弱いアイドルは涙をボロボロ流しゆっくりゆっくり連れて行かれる。なかなか警察も手を出せない。
「金は…金は用意出来たのか!!」
 すると緊張感の無いスーツ姿の女性が1人、犯人に近づく。アタッシュケースを片手に気軽に挨拶。
「えっと、お金で~す。いくらか確認しますね~。」
「は、早くしろ!!」
 怖いぐらいの緊張感の無さに犯人の方が焦り始める。すると、気配を消して犯人の背後に立つ男。一瞬の隙を突き、スーツ姿の美咲は拳銃を弾き飛ばし、アイドルを引き離す。すかさず、背後の陽一が犯人を捕まえる。
「くたばれ!!」
 殺意があるのではと、犯人に同情してしまう程の強力なバックドロップ。ある意味現場が盛り上げる。犯人は気を失い、空を向いた足はだらんと垂れる。


「ゆかを助けていただき、本当に…ありがとうございました!何とお礼をしたらいいか…!」
「ありがとう…ござい…ました…。」
 ボロボロと泣き崩れるアイドルゆかとマネージャーが事務所に。あまりお礼されるのは慣れていない陽一。軽く受け取ってしまう。
「まぁ…、なんてことねぇよ。良かったじゃんか。」
 怖い思いまでして救ってくれたことに何度もお礼を言い、しばらくして警察と一緒に帰った。朝から物騒だと疲れを見せ、椅子に座る。
「ゆか人気だもんね~。」
「ライブを乗っ取るなんてよ、危なくなったな、この街もよ。参っちまうな。」
 事件が当たり前になってきた秋葉原。警察も頼りにならず、陽一はぐったりとする。美咲は今回のお礼を漁り始める。分厚い紙の束に美咲の目が輝く。
「わぁ、やっぱ人気アイドルは違うね~!」
「焼肉でも行くか。」
 体を張った分、自分へのご褒美も二人とも遠慮はしない。軽めに羽織って外出しようとした途端だった。
『秋葉原駅付近のDVD店で強盗が発生しました。犯人は商品約20点と、現金を盗み現在も逃走中。警察は緊急体制を取り、犯人を追っています。』
 表情変えて事務所を走り去る。 
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