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オズのベッツイ

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第三幕その二

「道中で知っている人に会うこともその一つなのよ」
「だからなんですね」
「そう、あの人にお会いしましょう」
「わかりました」
「ただ、あの人は羊飼いだから」
「羊と一緒にですね」
「お外にいるかも知れないわ」
 羊はお外にいます、勿論羊飼いもです。それであの羊飼いさんもお外にいるのではないかというのです。
「けれどまずはお家に行きましょう」
「西に行って」
 何はともあれ西に進むのでした、そして。
 お家が見えたところで羊達がいてです、その羊達と一緒にでした。
 その羊飼いさんがいました、羊飼いさんはベッツイの姿を認めて彼女に声をかけました。
「おお、ベッツイ王女か」
「あっ、羊飼いさん」
 お互いに笑顔で言葉を交わせます。
「お元気ですか?」
「ははは、この通りだよ」
 笑顔での返事でした。
「わしは元気だよ」
「そうですか、それは何よりです」
「それでどうしてここに来たんだい?」
「実はウーガブーの国に行こうと思いまして」
「おやおや、それはまた遠いところに行くね」
 ウーガブーの国と聞いてです、羊飼いさんは少し驚いた口調で言葉を返しました。
「あそこまでなんて」
「黄金の林檎で作ったジャムを頂き」
「それはまたいいものを」
「その為にです」
「成程な、ただね」
「ただ?」
「いや、ベッツイ王女は知ってるがね」
 羊飼いさんはここで五人を見て言うのでした。
「そっちの子達はね」
「私達ですね」
 ナターシャが応えます。
「そうですよね」
「見たことがないけれど」
「この子達は外の世界から来た子達よ」
 ベッツイが羊飼いさんに説明します。
「私のお友達よ」
「ああ、外の世界からだね」
「そうよ、だから私と同じになるわね」
「そうだね、王女さん達は外の世界から来てるから」 
 ベッツイだけでなくドロシーもトロットもです、このことは。
「一緒だね」
「そうよ、それでここに来たのは」
「旅の途中にわしに会いに来てくれたのかな」
「そうなの、お邪魔だったかしら」
「いやいや、そんな筈はないよ」
 笑顔で、でした。羊飼いさんはベッツイに答えました。
「誰かが来てくれて邪魔な筈がないよ」
「有り難う、そう行ってくれて」
「王女さん達とは古い友達だからね」
 友達に会って不機嫌でいる人はそうはいません、それに羊飼いさんはとてもいい人なのでベッツイ達に会ってもです。
 嬉しいのです、そしてこう言ったのです。
「今日はいい日だよ」
「それにしてもここは相変わらずね」
 猫が周り、平原を見回してこう言いました。
「うねっているわね」
「ここはウネリ平原じゃよ」
 羊飼いさんはその猫に優しい笑顔で答えました。
「それなら当然じゃろ」
「そう言ってしまえばその通りね」
「あとメリーゴーランド山脈もそのままじゃ」
「あそこがそのままなのは嫌だね」
 ハンクは羊飼いさんの言葉に少し苦笑いになって述べました。
「それはまた」
「だからわしはあまり行くことは進めぬ」
「うん、そうだよね」
「しかしウーガブーの国に行くのなら」
「あの山脈を越えないとね」
「駄目じゃ、そしてそこで苦労することになる」
 そうなるというのです。 
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