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科学と魔術の輪廻転生

作者:ともとも
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魔術について学ぼう! 後編

「次は……魔術について、ですね」

 彼女はあっけらかんと言った。
 俺は既に聞き手に回っていた。


 魔術は普通、五種類に分けられるという。

 生成魔術
 治癒魔術
 召喚魔術
 操作魔術
 結界魔術

 まず生成魔術は、その名の通り何かを生成する魔術だ。
 水球(ウォーターボール)などの攻撃するための魔術もここに分類されるらしい。

 治癒魔術は、生物の怪我を治すことが出来る魔術だ。
 しかし、手足などの欠損は上の方のランクでしか治せないという。

 召喚魔術は、魔物や動物を召喚出来るらしいが、詳しいことはまだ分かっていないらしい。

 操作魔術。そこにある物を操作できる。
 生成魔術より魔力の消費が半減する。
 生成魔術と組み合わせることにより、魔力の消費を抑えられるが、詠唱を組み合わせなければいけないため、難易度があまりにも高すぎるのだ。

 最後に結界魔術。
 これは属性に応じた壁を生み出すことが出来る。
 熟練した魔術師ならば、ある程度の魔術や衝撃を反射する壁を作ることも出来るという。

 そして、魔術の属性は、炎、水、風、土、氷、雷、そして無属性の七つに分類される。
 無属性以外はそのまんま。
 無属性魔術は、身体強化や、閃光(フラッシュ)などのことをいう。

 そして、魔術には勿論ランクがある。
 ランクが高ければ高いほど詠唱が長くなる。
 魔力消費量も増える。
 だが及ぼす効果も大きくなるという。
 低いランクから順に、F<E<D<C<B<A<Sとなるらしい。
 普通の冒険者の魔術師ならばCランクに到達すれば良い方だ。
 ちなみにCランクあれば冒険者としても殆ど苦労しないという。

 殆どの魔術師は一属性しか使えない。
 それは、人によって魔力の色が決まっているからだ。
 そして殆どの場合、色と質が被ることはない、とさっきの授業で習ったことを復唱する先生。

「ただーし、極たまーに全属性魔術師(オールウィザード)が生まれることがあります」

 先生は顔の前に指を立てながら言う。可愛い。

 全属性魔術師は殆ど存在が確認されていないが、オーラの色は純白。
 そう決まっているらしい。
 後、三属性以上を万能魔術師(マルチウィザード)とも言うらしい。
 万能魔術師でも世界に指で数えられるほどしか居ないらしいし、全属性魔術師は居なくてもおかしくないな。
 むしろ居たらおかしい。
 ちなみに、アイリ先生は二属性の使い手で、水属性と風属性。
 どちらもBランクまで使えるという。
 ……凄いんだろうな。
 今まで平均的な魔術師に会ったことないから、イマイチよく分からないな。

 話を戻そう。

 魔術の発動には、三種類の形態がある。

 詠唱、魔法陣、魔石。


 まず詠唱は、あるキーワードをトリガーにして、魔術が発動するというやり方だ。
 詠唱の過程も重視しなければ、あまり魔術の威力が出ないらしい。
 戦闘に最も使われている方法だ。
 なので、魔術師初心者が初めにやることは、自分の魔力の色を確認してから、それに合った属性の魔術の詠唱を覚えることだという。

 次に魔法陣。
 まあ、簡単に言えば訳の分からない幾何学模様を描いて、魔術を発動させる方法。
 魔術によって魔法陣は違い、自分で創り出すことも出来るらしい。
 色々な法則があるらしいが、俺にはサッパリだ。
 更に描くのも手間だ。
 だから、あまり戦闘には使われていない。
 だが、その代わりに、インクが消えない限り何度でも使える。
 もちろんその度に魔力は流さないといけないが。

 最後は魔石。
 魔石は、前にも書いた通り、魔石内の魔力を使って魔術を使う、というやり方。
 基本的に無詠唱、陣いらずだが、出る魔術や種類や出る場所が決まっているのは少しキツイ。
 なので、魔道具として使われたり、杖の先に付けたりして使うらしい。


 ざっとこんなもんだ。

「わかりましたか?」

 確認するような口調で問われた。

「はい、よく分かりました」

 俺は首を縦に振る。

「では、実際に魔術を見せます。
 付いて来てください」

 アイリ先生は踵を返し、歩いて行く。
 俺はローブ姿の彼女の背中を追いかけた。


 ────

 俺とアイリ先生は、庭にいた。
 家の庭はそこそこ広く、魔術を使っても問題ないくらいの広さだ。
 だから、ここを選んだのだろう。

「さあ、危ないですから離れててくださいねー」

 それを聞き、背後に数歩ずれる俺。
 彼女は右手を前に差し出し、詠唱を紡ぎ始めた。

「行きますよー!
『私の中に眠る、青き力。今こそ理の力を解き放ち、青き球へと姿を変えよ。水球(ウォーターボール)!』」

 そう叫び終わると同時に、青い魔力らしき物が弧を描きながら掌の少し先の空中に集まって行く。
 それは数秒と経たずに球形へと形を変え、バスケットボール程度の水の球へと変化した。
 そしてそれは真っ直ぐに飛んで行き、正面の茂みにぶち当たった。
 水の塊は健康的な緑色の葉たちに揺れをもたらし、バラバラに砕け散った。
 その軌跡には若干、虹が見えた気がした。
 というか少し、水が飛んで来た。

「凄いですねー!」

 俺は手を叩きながら感嘆した。
 決して虹が見えたことに対してでは無い。
 ただ単純に、魔術を間近で初めて見たからだ。
 いや、確かに母さんの治癒魔術は見た。
 けれど、あれは抽象的過ぎて、正直何が何だか分からない。
 治癒魔術には、細胞分裂を促進する効果があるのだろうか……?
 いや、そう考えると、多分細胞が取り込むためのエネルギーも作り出しているのか?
 うーん、難しいな。
 やっぱり魔術というのは科学とは違うのだろうか。

「いや、これはE級魔術なので、アル君も普通に使えるようになれると思いますよ。
 アル君の適性が水属性ならばの話ですけどね。
 でもまあ、ボール系の魔術ならすぐ使えるようになりますよ。
 私を雇ったくらいなんですから魔力量は十分でしょうし」

 その声で俺は思考を中断した。
 失敬失敬。
 つい脱線してしまった。
 見ると、彼女の頬が桜色に染まっていた。
 なんだかんだで照れているのだろう。
 俺は少し笑いを貼り付けながら言った。

「それでも、凄いですよ。
 アイリ先生は」

 それだけ、最初に魔術を見せてくれた相手というのは大切なのだろうか。
 いや、違う。
 信頼というか、尊敬。
 今日会ったばかりの相手を、俺は尊敬しているのだ。
 何故だろうか。
 カリスマか?
 考えても分からないが、少なくとも、これだけは分かった。

「僕はアイリ先生を、尊敬すべき人物だと感じました。
 これからも家庭教師をしていただけると、僕的にはすっごく嬉しいです」

 この人に、魔術を教えてもらいたい。
 その思いが胸を掠めた。
 初対面の人物に何故こんなにも、留まって欲しいと思うのかは分からないが、これだけは真実。
 これだけは、俺の、本当の思い。

「……当たり前ですよ。
 私は暫くここに厄介になるつもりです。
 なんというか、充実した毎日が過ごせそうな予感がします」

 予感かよ。
 というか、家庭教師をする理由がなんか、不自然な気がする。

「後、アル君が可愛過ぎてもうアル君無しじゃ生きて行けな……ゴホン。
 とにかく、私については心配しなくて良いですよ」

 ……なんか不穏な単語が聞こえた気がした。
 これが本命の理由か?
 うーん、定期的に抱き締められていれば良い、んだろうな。

 微妙だ。 
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