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あひるのジマイマさんのお話

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第三章

「その時はね」
「そうするのね」
「ええ、それに水草の陰にも隠れられるし」
「そういえばそうね、けれどね」
「けれど?」
「人間は猟銃も持ってるわよ」
 お母さんは怪訝なお顔でジマイマさんにこのことも言いました。
「だから猟銃から逃げる為にも」
「飛べた方がいいのね」
「そうじゃないかしら」
 こうジマイマさんに言うのでした、ですが。 
 ジマイマさんはそのお話を聞いてです、少し考えてからこうお母さんに返しました。
「あの、兎さん達は人間が猟銃を持っていたらどうするの?」
「その時は?」
「そう、どうするのかしら」
「隠れるわ」 
 お母さんはジマイマさんにすぐに答えました。
「だって。下手に動いたらね」
「それで人間に気付かれるわね」
「そう、それに物陰から出て人間に姿を見られたら」
 その時はというのです、まさに。
「狙われるから」
「そうなるわよね」
「うちの人だってね」 
 お母さんはここでご自身のご主人のことをお話しました。
「それでこの前ね」
「撃たれたのね」
「逃げようとして姿を見られて」
 その時にというのです。
「危うく当たるところだったわ」
「危なかったのね」
「本当にね」
「そうしたことを考えたらね」
「飛べるよりもなの」
「泳げるか」
「隠れられるかよ」
 そうしたことの方がいいというのです。
「私達にとってはね」
「そういえば私達も」
「そうでしょ、飛べなくてもでしょ」
「やっていけてるわ」
「だから私は泳げたらいいわ」
 家鴨にとってはというのです。
「その方がね」
「そうなるのね」
「ええ、本当にね」
「だから別にいいわ」
「そういうことね」
「下手に飛んだら」
 それこそとも言うジマイマさんでした。 
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