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あひるのジマイマさんのお話

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第二章

「飛べないじゃないか」
「跳ねることは出来ても」
「それが無理だからな」
 それで、というのです。
「一緒じゃないか」
「言われてみるとそうなのよね」
「だからわしは別にいいよ」
「飛べなくても」
「泳げればな」
 まさにそれで、と言ってです。実際に飛ぶことについては興味を見せないのでした。それは結局のところジマイマさんも同じで。
 自分達家鴨が飛べると聞いても特に何も思いませんでした、それで巣から出て自分達と子供達の為の餌を探す時もです。
 飛ぶことはしませんでした、泳ぎながら湖の中の餌を探していました。そしてその時に鴨さん達と一緒になりました。
 そこで鴨さん達にもです、ピーターラビットのお母さんに言われたことをそのままお話しましたが鴨さん達もこう言うのでした。
「そうそう、飛ぶことよりもね」
「私達は泳げるかどうかよ」
「泳ぎが上手であることよ」
「そのことの方が大事よ」
 鴨さん達もこう言うのでした。
「さもないとね」
「飛べてもね」
「私達お空を飛んでる虫は食べないじゃない」
「殆どね」
「それで飛んでどうするの?」
 そのことに意味があるのかというのです。
「あまりないじゃない」
「鶏さん達だってそうじゃない」
 この鳥達もというのです。
「鶏さん達も飛べないよ」
「けれどそんなに気にしてないわよ」
「地面にあるものを見付けて食べてて」
「特に飛べなくてもね」
「困ってないわ」
「あの人達も隠れるから」
 危険が迫ればです。
「足も速いし」
「それならね」
「別に困らないでしょ」
「飛べなくても」
「鶏さん達もそうだし」
「だからね」
 自分達もというのです。
 それで、です。鴨さん達はジマイマさんにあらためて言いました。
「私達は飛べるけれどね」
「別にどうってことないわ、このことは」
「問題は泳ぎがどうかよ」
「私達にしてもね」
「大事なのはこのことよ」
 あくまでこちらが第一だというのです。
「泳げてもね」
「別にね」
「どうでもいいわ」
「このことは」
 こう言って全くどうでもいいと言ってでした、鴨さん達はジマイマさんと一緒に仲良く餌を食べて集めていました、そして。
 ジマイマさんは次の日市場でピーターのお母さんと一緒になりました、するとお母さんはジマイマさんにこうしたことを言いました。
「この前にお話したことだけれど」
「私達家鴨も飛べるということを」
「どう?飛んでみた?」
「いえ、全然よ」
 ジマイマさんはお母さんにあっさりと答えました。
「そうしたことはしていないわ」
「あら、どうしてなの?」
「飛べることがわかってもね」
 それでもだというのです。
「全然ね」
「飛んでみなかったのね」
「だって。私達は水辺にいるでしょ」
「ええ」
「それじゃあ泳げる方がずっと大事だから」
「人間や狐が来たら飛んで逃げないの?」
「湖の中に潜って隠れるわ」
 その時はそうするとです、ジマイマさんはお母さんにも言いました。 
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