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日向の兎

作者:アルビス
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1部
  38話

 
前書き
まず遅くなった言い訳を……

PSO2のアップデートとデジモンが悪いんだ!!
俺は悪くねぇ!!俺は(ry

はい、いつも通りの理由です
本当に申し訳ありません
次はさっさと更新しますので、なにとぞ、なにとぞ…… 

 
「はー正直戦闘向けじゃないあの術で倒すなんて意外ね。物は使いようって言うけど、私もまだまだってことか」
「うむ、ああも位置関係、相手の精神状態、そして結果に至る道筋への思考といった複数の物事を並行して思考できるというのは中々のものだな」
「同時に違う物事をこなすとうのは傀儡師でも基本なんだが一番難しいことじゃん。だから、傀儡師の腕は扱える傀儡の数で決まるって言われてるじゃん」
三者三様に捉え方は違うものの、シカマルの能力に対して惜しみない賛辞を送った。それにしても、彼自身は戦闘タイプという訳ではなく、指揮官や軍師といった立場に置いてその才を発揮するタイプだな。
実際、あの影を操る術は直接攻撃向きではなく支援用、仮に攻撃用に扱うのであれば事前に何手か仕込みをするようなタイプの術だ。そういう意味では術者と術の相性もいいな。
「けど、ヒジリとしては次の試合の方が気になるんじゃないかな?」
「ん?どういう事……ああ、成る程」
テンテンに言われて掲示板を確認すると、そこには
うずまき ナルト、犬塚 キバ
の名前があった。
「ヒジリって、ナルト君の事もサスケ君と同じくらい気にかけてたよね?」
「ああ」
「サスケ?……ああ、あいつか。ってことはあのナルトってのも中々の奴ってことか」
カンクロウのその言葉にテンテンは少し悩むように俯き、しばらくしてから首を傾げた。
「うーん、アカデミーとかで聞いた噂だと劣等生って話だったし、そこまで際立った噂も聞いたことがないね。
ヒジリがサスケ君と同じように目をかけてるし、あのヒナタちゃんと引っ付けようとしてるんだから凄いんだろうけど、私にはちょっと分からないかな。
いい機会だから教えてよ、ヒジリ。一体、ナルト君のどういう所が凄いのかをさ」
彼女は私にそう言って話を振った。確かにナルトの才はサスケと違い、センスのような魅せるようなものではない。だが、忍として……いや、人として彼の才は優れている。
「そうだな。色々と説明しても構わないのだが、実際に試合を見てからの方が分かりやすいだろう。
説明はその後でいいか?」
「あ、うん」
「あ、ああ」
テンテンとカンクロウはそう返事をしてから、注意深くナルトの動きを観察し始めた。
そんな我々やナルトの事をよく知るカカシ班のメンバーとは逆に、周囲の視線は酷く冷めたものだった。
ナルトをアカデミーの成績でしか知らず、あれの強みを知らないのであれば当然とも言える反応だ。
加えて、相手はあの犬塚一族だ。忍犬に関してとことんまで特化した犬塚一族、そこの忍犬は並の忍者と比較しても遜色の無い力を持つという。
加えて、人間の方も忍犬とのコンビネーションに特化した戦闘スタイルということもあり、その連携は非常に厄介といえる。
調和する二つは完全な一すら打ち破る、親父殿からの数少ない教えだ。事実その通りだと私は考えている。
だが、逆説的に言えば調和せざる二つは不全なる一にすら破れる、という事でもある。
果たして、犬塚キバとあの犬は真に調和できているかな?




「勝者、うずまきナルト」
観客席は一時騒然となり、ナルトは傷だらけにこそなっているが悠々と上に登ってきた。それと同時にヒナタは彼に塗り薬を渡し、彼と楽しげに語りあっている。
いやはや……本当にいいものだ。ああいう光景は思わず頬が緩んでしまうな。
「ヒージーリ、にやけてないで説明お願い」
「……だから、君はどうして仮面越しに私の表情が分かるのだ?
まぁ、それはいい。二人とも先程の試合を見てどう思う?」
「そうだね……ナルト君が私の思っていたより、ずっと頭がいいって思ったかな?術の数こそ少なかったけど、局面に合わせた術の使い方は目を見張るものがあったと思うよ」
「俺も似たような感想じゃん。けど、付け足すとするなら傀儡造形師に求められる素質があるって点じゃん。造形師に求められるのは仕込みの隠し方、つまりどれだけ相手に仕込みを悟らせないかじゃん。
言ってしまえば傀儡ってのはびっくり箱だ。造形師はどれだけ相手を驚かせるか、騙くらかすかってのに何日も、下手すりゃ何年も考えるじゃん。
けど、あのナルトって奴はごく自然に変化で犬っころと入れ替わって騙した、しかも即興かつあの自然さでだ。
ありゃ、一種の才能じゃん」
両者とも忍具を扱う忍だけあって、ナルトへの評価は実に正確だ。
「おおよそ二人の評価は正しい。私の言うナルトの才能とは瞬間的な発想力、言うなれば対応力とでも言うべきものだ。
あれは危機的状況に対して教科書的な状況を凌ぐ百点の対応ではなく、状況を打破し、かつ逆転すらも可能とする百二十点とも言うべき解を導きだす。
事実、ヒナタとの連携ありきとはいえ、私が相手をしていた相手ではサスケよりも手間取らされたのはナルトだ」
「サスケ君より手間取ったって……」
「事実だ。ナルトは変化による撹乱、影分身による陽動によって、時として私の眼すら欺くのだ。彼は意外性ナンバーワンと言われるが、あれは蔑称ではなく尊称なのだよ」
私は内心でナルトの中の住人からの実質無尽蔵のチャクラ供給もある、と付け加えておく。
二人は驚いた表情を浮かべつつ、私とナルトの方を見比べた。二人のナルトを見る目は、評判より優秀だった落ちこぼれを見る目から、サスケのような抜きん出た才能を持つ者を見る目へと変わっていた。
だが、試合の後処理が終わった瞬間、テンテンの表情が凍りついた。そして、ギギギとでも擬音の付きそうな首の動きで私の方を見た。
……彼女の言わんとする事は私にも分かる。何しろ掲示板に表情された次の試合内容は、彼女から最悪とも言えるものなのだから。
掲示板には
日向ヒナタ、日向ネジ
その両名の名前が記されているのだから。
「あのさ、これってネジに今すぐ棄権するように言った方がいいかな?」
「それを私に言うのか?安心しろ、こういう事態になった時にどうするかはネジに言ってある」
「えっと……自害しろ、とかじゃないよね?」
「はぁ……一応言っておくが、私はそこまで愚かでも外道でもない」
その言葉を聞いた彼女は取り敢えず一安心というような表情を浮かべて、密かにポーチから取り出そうとしていた巻物をしまった。
どうやら最悪腕ずくでも私の動きを封じるつもりだったらしい。
仮に私が今より幼ければそういう事態に発展しただろうが、私とてヒナタへの態度は改めているのだ。
確かに、私にとってヒナタはあらゆる優先順位の最も上にある。それに関しては今も、これからも変わることはないだろう。
以前の私は彼女を大事にしすぎるあまり、彼女を宝石か何かのように扱っていた。しかし、それは彼女に対しての侮辱とも言える態度だった。
それではダメなのだ。彼女は一人の人間だ。人には太陽だけでなく、時には北風も必要だという基本的な事すら、かつての私は失念していた。
それでも、私はヒナタの北風となる事は出来ないのだろう。たった一度だけ、その手の行動を取った事があるのだが、数日間自己嫌悪で食事が喉を通らなかった。
その時にネジにとある約束をしたのだ。
「じゃあ、この試合は少し心穏やかに見れるかな?」
「……いや」
「え?」
ヒナタとネジが下に降りて、向かい合いながら試合開始を待つ。
ヒナタは少し恐怖の感情を抱いている事が見て取れるが、一方ネジの方は一切感情の動きはない。
「両者、よろしいですか?」
試験官が2人に確認を取ると、ネジが声を上げた。
「少し待ってくれ」
「分かりました。ですが、何かするのでしたら手早くお願いします」
「ああ。ヒナタ様、先に言っておく事がありますが、よろしいですか?」
ヒナタは少しビクリとしてから、静かに頷いた。
「俺は宗家、分家に関してどうこう言うつもりはありません。
生まれの不幸を呪って悲劇のヒロインを気取る事が、いかに無駄な事だと学びました。それに、貴女にも貴女なりに宗家の娘として苦しんでいるのでしょう。
しかし……」
ネジはそこまで穏やかな口調で言った後、白眼を発動させて怒りに満ちた表情でヒナタを睨んだ。
「いつまでも他人の顔色を伺い、何かに怯え続け、立ち止まり続ける貴女がヒジリ様の妹であるという事が、俺にとって何よりも許せないんですよ。
これが俺個人の八つ当たりであり、子供染みた感情だとも分かっています。ですが、これは理性でどうこうなる感情ではないんです。
それに、貴女と戦う機会があったならば全力でやれとヒジリ様から言われていますからね」
そう、ネジはヒナタにとっての北風となると私に約束したのだ。




 
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