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ルドガーinD×D (改)

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四十話:ぶつかり合う想い

仲間に刃を向けて来たルドガーにまず一番、最初に反応したのは祐斗であった。あらかじめ用意してあった聖魔剣を抜き出し反応が全く出来ていない他の者を守る為にルドガーの刃を受け止める。彼自身、動揺していないというわけではないがそれでも体は動いた。

いかなる時でもいかなる状況においても仲間を守り通す『騎士』になろうと心掛けている彼だからこそ動けたのだ。そして激しい鍔迫り合いを繰り広げながら祐斗はルドガーの目を見る。ルドガーの目は悲しみと憂いを湛えていたがそこに一切の迷いは見受けられなかった。本気で仲間と愛する女性に斬りかかってきているのだ。

そのことに気づき、さらに動揺してしまう祐斗。ルドガーはその動揺を見逃すことなく祐斗の剣を一気に押し切り左肩を切り裂こうとするがそれは素早く展開されたもう一つの聖魔剣で防がれてしまう。そのことにわずかに舌打ちをしてルドガーは一端距離を取る。


「ルドガー君、何をしているんだい!?」

「はあっ!」


祐斗の叫びも聞かずにルドガーはゼノヴィアに向けて銃を発砲する。それをゼノヴィアは横に転がり回避するが、攻撃に入ろうとはしない。信じられずにただ避けることしかできないのだ。他の者も皆、同じような状態だ。そんな光景にルドガーは苛立ったように叫び声を上げる。


「甘い……甘いんだよ! 何も傷つけずに、何も失わずに本気で何かが守れると思っているのか、お前達は!?」

「そんなこと言っても…っ。私達は仲間よ、それに黒歌はあなたの恋人じゃない!?」

「それが甘いと言っているんだ!
 何かを守りたいのなら全てを捨てろ、全てを壊せ!
 愛する者も、仲間も、世界すらも壊してみせろ!
 その覚悟がないのなら俺を連れ戻すなんて戯言は言うな!」


ルドガーの甘いという叫びにリアスは震えながら言い返すがそんな言葉ではルドガーを説得することなど出来ない。逆にルドガーの叫びに気圧されてしまう。今のルドガーが纏う空気は仲間に向けるそれではなく完全に敵に向けるものになっていた。

グレモリー眷属にはルドガーと模擬戦をしてきたことがある者も勿論、多数存在する。だが誰一人として“敵”としてのルドガーに相対したことのある者はいなかった。それ故に思い知らされるルドガーを敵に回すという恐ろしさを、ヴィクトルと戦うという無謀を。
だが、恋人である黒歌はそんなことでは諦めきれず、ルドガーに呼びかける。


「やめるにゃ、ルドガー! それ以上はルドガー自身が傷つくにゃ!」


黒歌はルドガーの優しさをこの中の誰よりも知っている。故に仲間を傷つけるという行為をすればルドガー本人が傷つくことも分かっていた。だからこそ今すぐにこんな事はやめて欲しかった。しかし、現実はそう上手く事は運ばない。ルドガーは寂しげな笑みを黒歌に向けながら双剣に持ち替える。


「君を守れるなら、俺はどうなったって構わない……。
 何が何でも君に生きていて欲しいんだ……例えそれが―――君を傷つける選択だとしても」


そう言うと同時に、足だけ部分的に骸殻を発動させ、ヴィクトルのように超高速で移動しアーシアに斬りかかるルドガー。回復役から消すのは戦場においての常識だ。普段のルドガーであれば戦闘に参加はしないアーシアを傷つけようとしない。

しかし、今回は回復をされて再び立ち向かってこられると困るので容赦なく狙いに来たのだ。そしてアーシアは傷を与えても自分で回復をしてしまうので意識を刈り取るために剣の峰で後頭部を狙う。そして、後少しでアーシアの後頭部に剣の峰が当たろうとした時―――


「アーシア!」


イッセーが間一髪のところで横っ飛びでアーシアを抱きかかえ何とかその攻撃に当たることを回避する。しかし、避けたといってもまだルドガーの射程範囲内に居ることには変わりがない。そしてその危惧通りにルドガーは素早く双銃を創り出し相手を動けないようにするためにイッセーとアーシアの足と肩を撃ち抜こうとするが、そこでまたしても邪魔が入ってしまう。

突如として巨大な炎を宿した車輪がルドガーに飛んできたのである。ルドガーはそれを見て避けるのは間に合わないと判断してハンマーに持ち替えて車輪を防御する。だがそれでも威力を殺しきれずにルドガーは数メートル程後ろに飛んでイッセー達から引き離されることになる。そして、車輪はまるでブーメランのように持ち主、小猫の手元に戻っていく。そして小猫の姿はいつもとは違い猫又の特徴である耳と二本の尻尾を生やしている状態であった。


「少し見ない間に変わったな……小猫。その車輪と姿はなんなんだ?」

「……この車輪は『火車』といって猫又の使う妖術です。……そしてこの姿は姉様との修行で闘気を纏えるようになった姿です、兄様」

「そうか……まだ、俺なんかを兄と呼んでくれるのか」

「……私は兄様以外が私の義兄になるなんて嫌です。……だから帰ってきてください」

「可愛い義妹のお願いでもそれは出来ないな!」


すぐに小猫との距離を詰めようとするルドガーだったがそんなところに赤黒い禍々しい魔力が飛んでくる。小猫に集中していたルドガーはそれに気づくのに僅かに遅れて脇腹にかすってしまう、ただかすっただけでもあるにも関わらずルドガーの脇腹は傷つき、血が溢れ出す。

その事にその傷をつけた張本人であるリアスは顔を苦痛に歪める。情愛の深い彼女にとっては自分が傷つくよりも眷属、ひいては部員が傷つくことの方が辛いのである。だがそんな彼女とて譲れないものはある。


「ルドガー……あなたが私達を守る為に私達と戦うなら……私達もあなたを連れ戻すためにあなたと戦う! あなたを何があっても連れ戻す、それがグレモリー眷属の総意よ!」


そう力強く宣言する、リアスに対してルドガーは一瞬だけ心苦しそうな顔を覗かせるがすぐにその顔を引っ込め、一直線に突っ込んで来ていたゼノヴィアに対応する。ゼノヴィアの顔は迷いでルドガーに刃を向けることが出来なかった先程までとは違い、覚悟を決めた険しい顔つきになっていた。二人は刃を交えながら言葉を交わしていく。


「君が手足をもぎ取ってでも私達を止めようというのなら私達も君の手足をもぎ取るつもりで戦わせてもらう!」

「やっと、覚悟を決めたか……でもな、そうなった場合、俺は舌を噛み切って自害するかもな。そもそも、俺が死ねば狙われることは無いんだから」

「まったく、君は強情な奴だな!」


刃がぶつかり合う事に火花が散っていき、辺りを照らしていく。一撃一撃の重さはゼノヴィアの方が武器の性能、戦い方の両方から見て、はるかに上回っている。現に打ち合い自体はジリジリとではあるがゼノヴィアが押していっている。

しかし、ルドガーはゼノヴィアよりパワーが低い分をテクニックで補い、相手に決定打を打たせない。押されながらも冷静に逆転の一撃を入れる隙を伺っている。ゼノヴィアもその事には気づいているので緊張感を切らさず額に汗を浮かべながら斬り合いを続けている。
そんな斬り合いの拮抗した状態を打破するべくルドガーはある行動に出た。


「なっ! 武器を捨てた!?」

「アッパーブライス!」

「なあっ!?」


そのある行動とは斬り合いの最中に自分の武器である双剣をゼノヴィアに向けて投げ捨てるという行為である。本来であれば戦闘中に剣士が剣を離すことなどあり得ない為にゼノヴィアは驚きで一瞬硬直してしまう。ゼノヴィアはその時失念していたのである。ルドガーはただの剣士ではないという事を、彼の神器(セイクリッドギア)は武器創造系だという事を。

ルドガーは剣を投げ捨てると同時に素早くハンマーを創り出していたのである。そして硬直したゼノヴィアをまるで天に打ち上げるかの様にハンマーで大きく吹き飛ばす。ここまではルドガーの計画通りでありルドガーもこれで自分が有利になると踏んでいた。そう、ゼノヴィアを吹き飛ばした際に自身の頭上に巨大な雷雲が立ち込めていることに気づくまでは。


「ふふふふ……少々痛いですが我慢してください」

「くっ! トライスパロー!」


ルドガーは朱乃が雷雲に自身の電光を流そうとしているのを防ぐために双銃に持ち替えて風を纏った、じゃれ合う燕のような弾丸を放つ。しかし、その弾丸は突如として宙で“停止”してしまった。ギャスパーが止めたのである。ギャスパーの力ではルドガー本人を止めることは出来ないが銃弾であれば止められないことはないのである。

しかし、ルドガー本人は今までギャスパーの能力を実際には見たことがなかったのでそのことに驚いてしまい、僅かばかり雷雲から逃げ出す足を止めてしまった。そのことにハッとし、すぐに動きを再開しようとしたルドガーであったが既に手遅れであった。



「私はこの忌々しい力を使いあなたを連れ戻します―――雷光よ、迸りなさい!」



大地を揺るがし空気を切り裂くような凄まじい音と共にルドガーに雷と堕天使の力である光が加わった、雷光が降り注ぐ。ルドガーは声を上げる間もなくその光に飲み込まれて姿を消してしまう。朱乃が全力で放ったこの一撃を受けた以上はルドガーと言えどただでは済まないだろう。
ただし―――受けた相手が生身の状態であればの話だが。

雷撃の中心部分から朱乃の電光とは違う黄金の光が溢れ出し、電光をはね返していく。そして驚く朱乃をよそに光と雷が残る中心地からゆっくりとルドガーが歩いて出てくる。ルドガーの姿は頭以外の全身を骸殻で覆い、背中からは光で出来たひだの様な物が生えていた。スリークオーター骸殻である。


「骸殻……ですか?」

「……兄さんを殺した際に手に入れた力だ」


そう言うと同時に朱乃の傍に移動し、横に薙ぎ払って朱乃吹き飛ばすルドガー。そしてそのまま近くにいたギャスパーの腹に蹴りを入れて倒す。そんなルドガーに対してイッセーが殴りかかって来るがルドガーはその拳をいとも簡単に片手で受け止めその掴んだ腕を利用して上空へと放り投げる。

そして宙に浮いたイッセーに目掛けて衝撃波を飛ばす。悪魔は本来であれば空を飛べるので避けることも難しくはないのだがイッセーは飛ぶのが苦手なために避けることが出来ず、仕方なく溜めていた倍加の力を放って衝撃波を相殺する。


「……みんな強くなっているな」

「ああ、お前を連れ戻すためにみんな強くなったんだ」

「だとしても、骸殻を使えば十分勝てるレベルだ。お前達じゃ俺には勝てない、諦めろ」


諦めろと言うルドガーに対してイッセーは断固として拒絶の意志を示す為に強い意志を持って叫び返す。


「いいや、諦めねえよ。今のままでダメなら強くなればいい。それでもダメならまた強くなる! 俺はお前を連れ戻すことを絶対に―――諦めない!」


Welsh Dragon Balance Breaker(ウェルシュドラゴン・バランス・ブレイカー)!』


その瞬間、イッセーの体から噴き出る力の嵐、全てを支配せんと吹き荒れる赤き波動。以前に見せた左腕を代償にしてなった擬似的な物とは比べ物にならない程の力を宿す、赤い全身鎧。イッセーの想いに答えて至った禁 手 化(バランス・ブレイク)―――『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケアメイル)』!


禁手(バランス・ブレイカー)か……凄いパワーを感じるな」

「当たり前だ、この力はお前を取り戻すために手に入れたんだ! その位ないと困る!」


片腕から赤い波動を飛ばしてルドガーに攻撃するイッセー。ルドガーはそれに対して危機感を覚えてとっさに避ける。どうやらルドガーの予感は当たっていたらしく、ルドガーに当らずに飛んでいった波動は山に当り跡形もなく消し飛ばしていた。

それを見て少し肝を冷やすルドガーだったがすぐに当たらなければどうということはないと切り替えて槍のリーチを生かしながらイッセーに対してつかず離れずの状態で攻撃を加えていく。イッセーもそれに対して何とか対応しようとするがルドガーとは経験の差がありすぎるために攻撃を当てることも全てを避ける事も出来ずにジリ貧状態になっていく。

一対一の戦いであればこのままイッセーが負けていただろう。しかし、この戦いは一対一ではない。ルドガーを連れ戻そうとしているのは一人だけではないのだ。ルドガーがこれで終わりにするためにイッセーに対して槍を突き立てようと大きく槍を引き貫こうとした瞬間、二人の間に“黒歌”が飛び込んできた。その事にルドガーは顔を青ざめ慌てて槍を引こうとするが間に合わずに恐らくは致命傷になるであろう胸に槍を突き立ててしまう。


「く、黒歌っ!?」


その事に真っ青になって黒歌に近づこうとするルドガーだったが突如として黒歌の姿は霧のように消え去ってしまう。その事に訳が分からずに茫然とするルドガーだったがその顔は消えた黒歌の後ろから現れたイッセーにより殴り飛ばされてしまう。

その拳を受けたルドガーはろくに受け身も取れずに地面に叩きつけられその衝撃で息が出来なくなってしまう。一体今のは何だったのだと酸素が足りない頭で考えるルドガーの元に再び黒歌が現れる。


「ルドガーがさっき刺したのは私の分身にゃ……ちょっと卑怯だったと思うけどルドガーを連れ戻すためだから許して欲しいにゃ」

「ぶ…分身…? そうか……なら…よかった」

「ねえ、ルドガー……私はルドガーと戦いたくないにゃ。それはルドガーも同じでしょ。だから、もう、やめて帰ってきて」


自分が刺したのが黒歌の分身だったとわかり呼吸が整わないままも安堵の表情を浮かべるルドガー。そんなルドガーに黒歌は涙ながらに説得するが、ルドガーはそれに対して何も答えずに立ち上がり黒歌に背を向けて再びイッセーと向かい合う。

そんなルドガーに対してイッセーは鎧の頭の部分を解除して強い覚悟の籠った眼差しでルドガーを見つめる。それに対してルドガーも信念の籠った目でイッセーを見つめ返す。


「ルドガー、俺は何が何でもお前を連れ戻す! それが俺の願いでもあり、みんなの願いでもあるからな!」


「俺は何が何でも黒歌を、お前達を守る。例え、お前達を傷つけることになってもな!」


その言葉を皮切りに再びぶつかり合う両者、ルドガーの槍がイッセーの鎧を砕き、イッセーの拳がルドガーに突き刺さる。そんなぶつかり合いが何度となく繰り返される激しい押収が続く。

本来であればルドガーは先ほどのようにつかず離れずの状態で自分の間合いを崩さずに戦っていれば簡単にイッセーには勝てる。しかし、あえてそれをしない。何故か? それは、イッセーは何度倒しても向かって来ると確信しているからである。

不屈の意志を、意地を持って戦っている男を倒すには意地の張り合いで負かす以外方法がないのだ。それを知っているルドガーは敢えて自分にとって不利な状況に飛び込み真正面からぶつかっているのである。イッセーの戦闘技術はまだプロのそれとは比べ物にならない程荒いがその力は骸殻状態のルドガーであっても十分にダメージを与えるものだ。

それでもなお引かないのはルドガーにもまた意地があるからである。そうこの戦いはまさに意地と意地のぶつかり合いなのだ。見ている者達もそれが分かっているので手出しはせずに二人の戦いを見守っている。


「守りたいんなら、傍で守ってみせろよ!
 あの人はお前が消えてずっと泣いていたんだぞ!」

「黙れ! そうだとしても……これが一番確実な方法なんだ!」

「確実とか不確実じゃなくてお前も俺達も幸せになれる方法を選べよ!
 お前を失って得た幸せなんて俺達はちっとも嬉しくねえんだよ!」

「お前に…何が分かる!? お前は世界の残酷さも、過酷さも知らない!
 何かを守る為には必ず何かを犠牲にしなければならないのが世界だ!」


拳と槍のぶつかり合いは激しさをますます増していく。そして二人の心のぶつかり合いもまた激しくなっていく。お互いが一歩たりとも譲らない。どちらも譲れないものを持っている故に起きたぶつかり合いにはどちらが正しいともどちらが間違いという事は無い。

お互いの覚悟と信念、それがより強い者が己の意志を押し通すことが出来るのだ。その身に赤き龍を宿す青年とその身に一族の業を背負った青年。どちらの想いが勝るかはまだ誰にも分からない。


「いい加減に分かれよ! この分からずやがあああっ!」


「分からずやはてめえの方だろうが! ルドガァァァッ!」


ルドガーの槍とイッセーの左の拳がお互いの想いを最大限に込めてぶつかり合う。


「「おおおおおっっ!!」」


雄叫びと共にぶつかった槍と拳。そこから凄まじい衝撃波が放たれ辺りの地面を抉っていき、空の雲をも吹き飛ばしてしまう。そこまでの威力が生まれてもどちらも一歩も下がらずにさらに押し合う。

そして二人の想いが何かに達した時、突如として槍と拳のぶつかり合っている部分から金色の光と歯車が解き放たれる。そのことに驚いたのもつかの間、イッセーとルドガー、そしてその場で勝負を見ていた全員が意識を失ってしまう。





「………あれ、どこだ、ここ? というかルドガーとの勝負はどうなったんだ!?」


イッセーが目を覚ますとそこは見知らぬ誰かの部屋であった。しかもあたりを見まわして見ると自分達グレモリー眷属だけでなく黒歌やルフェイおまけにアーサー達までいた。その事に驚きを感じつつ取りあえず全員を起こして回る。

そして全員を起こしたところでようやくベッドで眠る人物に気づく。ベッドの上で寝ていたのはルドガーであったのだ。その顔つきが少し自分達の見慣れているルドガーよりも大人びているような気がしたが取りあえず、ルドガーも起こそうと声を掛けようとしたところでルドガーが跳ね起きる。


『はあ…はあ……また、あの夢か……』

「ルドガー、大丈夫か?」


恐らくは悪夢でも見たのであろうルドガーに取りあえず心配して声をかけるがルドガーは無視というかまるで聞こえていないように自分達に見向きもしない。その事に疑問を覚えながら再び声をかけようとしたところで足元から一匹の丸々と太った猫が現れてルドガーを見て餌をくれと言わんばかりに鳴いた。


『ルル、兄さんには貰ってないのか? そう言えば今は何時―――やばっ!?
 クランスピア社の試験に遅れる!』


時計を見た瞬間に顔を真っ青にし、ベッドから飛び降りてそのまま真っ直ぐにドアに―――ドアの真正面に立っていたアーシアに向けて駆け出すルドガー。その様子に思わず危ないと思いルドガーを止めようとするが―――


「え?」


ルドガーはそのままアーシアをすり抜けてドアの向こう側へと消えていってしまったのだ。そのことに先程からここはどこかと考えていた黒歌がある仮説をだす。


「ここってもしかして……ルドガーの記憶の中?」


彼女達はそうして知ることになる。彼の人生を、過去を、そして―――残酷な真実を。

 
 

 
後書き
祝! ドライグ救済(涙)
………だがまだフラグは完全には折られていない!

次回から過去編入ります。まあ、二、三話で纏められたらいいなと思っています。
あんまり長いとダレそうだし。 
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