| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

剣聖龍使いの神皇帝

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第1巻
  《最も古き英霊》×《最も古き神》

電話の相手の正体を誰かに漏らせば、自分は命がないだろう。亜鐘学園高校一年一組担任である田中太郎は恭しい口調で、『彼』に報告する。

「はい、間違いありません。三人目の神皇帝です。我が校で発見されました。はい、白鉄でも黒魔でもないと知ったのでもしやと思いましたら、流石にこれは驚愕しています」

どこか抜けた普段の田中からは想像もつかない、真剣味を帯びた表情で。

『灰村諸葉と言ったな、一人目はソレスタルビーイング総司令織斑一真、二人目は蒼い翼日本本社社長兼CEO零達也、そして三人目か。その少年の戦闘記録が欲しいね』

電話の向こうから聞こえる『彼』の命令は簡潔にして明瞭だった。

「分かりました。以降は全てを録画し、送ります。詳しいプロフィールや人間関係は不明ですが、何とかしてみせます」

『秘密裏にね』

「はい。誰にも悟られずに」

通話が切れた後もずっと、田中は虚空に向かって低頭した。そうでなければ、胸中でとぐろを巻く畏怖に耐えられなくて。でも実はこの事は既に灰村の耳に届いていた。何か不審な行動をする者がいるなら、無人偵察機をばら撒いている。入学早々に校長室に来るのは、俺が零達也の時に来たぐらいだなと思った。校長室にはオーク製の高級家具の執務机があり、校長先生である四門万里はその上で手を組んでいた。トレードマークのトンガリ帽子は相変わらずだったけど、校長の背後には赤龍帝の鎧を纏っている時に回復魔法的な事をしてくれた女の子が、ピッタリくっついている。そういえば入学式の校長挨拶の時も、ずっと腕にくっついてたな。俺の後ろには沙紀がいる。

「それで?校長先生は神皇帝をどの辺りまで知っているのでしょうか」

「本来なら二つの力が使える者をエンシェントドラゴンと呼び、《救世主(セイヴァー)》の通称であり白騎士機関・日本支部の者は『最も古き英霊』とも呼びます。が、諸葉様は二つの前世持ちでありながら、両方の力は使えない代わりに創造神黒鐵様の力を使える者を、蒼い翼やソレスタルビーイングに一部の者には『神皇帝』と呼んでいます」

「そうね、私が知っている神皇帝の情報はこの世にいるのは今までだと二人だけだと思っていた。二人は頭脳の方が蒼い翼日本本社社長兼CEOをしている御方である零達也様と、戦闘を主に持っているのがソレスタルビーイング総司令官織斑一真様だけだとね。二人とも二つの前世持ちでありながら、白鉄と黒魔でもない力を持っている事ぐらいかしらね」

そこからは《最も古き英霊(エンシェントドラゴン)》についてを語り始めた俺であるが、昔から白騎士機関ではある仮説が唱えられていた。《救世主(セイヴァー)》達は全員が前世を持つ『輪廻転生者(リンカーネイター)』だ。一度転生し、更にもう一度生まれ変わった素性を持つ、《救世主(セイヴァー)》がいても理論上は可笑しくないのではないか?と思った訳だ。二つの前世持ちで二種類の『アンセスタルアーツ(源祖の業)』を使う《救世主(セイヴァー)》が存在する可能性はあるのか。この仮説を実証する者は未だに現れていなかったが、その理由としてもう一つの仮説があった。

人の魂は、転生するのに数千万年の時を要すると考えられている。それだけ途方もない時を経ても、摩耗する事なかった英霊の魂だけが転生出来るともとなれば、二度の転生を果たした魂は、一億年近い悠久の時を越えてなお、不滅だったという事だ。そんな巨大な魂が果たして人という器の中に存在しえるだろうか、恒星級の天体や神話世界の幻獣に宿るならともかくという冗談な話のような感じである。二度の転生を果たした《救世主(セイヴァー)》がもし実在したら、そいつは人ではなく神代の御代から存在するドラゴンのようで全てを創造した黒鐵様のような力を持つ者。

「という事で二つの前世持ちが珍しい事に代わりはないが、既に力を発揮させているのが零達也様と織斑一真様という事。そして俺も二つの前世持ちでありながら、二つの力を使えない代わりに創造神黒鐵様の力を自由自在に使用可能。それも三つ目の記憶である創造神黒鐵様の分身体、一億年以上魂が滅びなかった持ち主はこの世で三人だけ」

「その通りよ、やはり創造神黒鐵様のお力を持っているのはこの学校ではあなたしかいないけど、巨大グループの社長と異端者とドウターを倒せる力を持つ総司令官。今まで歴史でも誰一人いなかった存在」

実際俺は創造神黒鐵なので分身体と言っているが、零達也も織斑一真も同一人物である事を知っているのは蒼い翼とソレスタルビーイングしか知らない。怪物呼ばわりされたとしても、俺には仲間や相棒達がいる訳だ。ここで語られた創造神黒鐵の頭脳と戦闘スキルを持つ二人とされているが、俺はその両方を持つ者とされている。

「それで?俺はこれからどうされるおつもりで」

この世に三人しかいない神皇帝だからか、珍しいサンプルとしてかマッドサイエンティストに解剖でもされるのかと一瞬思ったが、これまで一度もなかったからな。

『一応そのような仕打ちは一度もなかったわよ?一真』

『ティアマット、相棒の名前を間違えるんじゃねえよ。今の相棒は灰村諸葉だ』

『ごめんね、まだ慣れなくて』

『いいさティア。お前らは別に諸葉じゃなくて一真のままでいいぞ』

そう心に念じたら流石は一真の旦那だぜとか器がデカいとか言っていたけど。

「どうもしないわ。将来有望な生徒が入ってきたなって喜ばしいだけよ。この学校で存分に学んで、大成して頂戴。この学園の創設者は零様だもの、白騎士機関に入るの良しだから。私は魔女だけど、あなたは今後色んな人に見られると思うわよ」

「分かってますよ。ホントは隠しておきたかった神皇帝の力は、余り見せないようにしといたんですけど。ドウターが現れたら仕事ですからね、アレの対処だけは例え白鉄や黒魔でも倒せない化け物ですから。俺としては敵の区別を付けてほしい所ですね。それと校長先生だけに伝える事があります」

「何かしら?」

「一つだけ訂正を入れるなら、神皇帝は三人ではなく二人目ですよ。織斑一真様と零達也様は同一人物だと言う事をね、そして創造神黒鐵様は人間のフリをしていては姿を現すかもしれません」

三人ではなく二人だと言って、同一人物だと知った校長先生は流石に驚愕していた。それと創造神黒鐵は、現世ではヒトの姿をしてどこかで隠居でもしているという情報を仕込んでおいた。そんで、俺に回復系のをした子は一言。

「あなたには女難の相が見えますので、気を付けて欲しいのです」

「それについては既に理解しているが、忠告感謝している御嬢さん」

天使みたいな笑顔で言ったので、こっちも反撃させてもらった。座りながら手の甲にキスをしたら、顔を真っ赤にしていたので俺はウインクをしながら一礼して退室した。廊下に出ると、サツキと静乃が待ってくれていた。俺は別に大した事は無かったと言うと、二人は安堵した。

「二つの前世持ちだとは知っていたけど、諸葉があの神皇帝だった何て聞いてない!」

「神皇帝は創造神黒鐵様の分身体で、記憶と力を受け継ぐと言われているわよね?」

「そうだ。だが一つだけ勘違いしているが、受け継ぐのではなくあくまで分身体がいるだけで、本人である黒鐵様は実在するぞ。世界のどこかで隠居でもしてんじゃねえのかな」

そう言いながら俺はスマホを取り出してから、一応零達也がいる蒼い翼本社とソレスタルビーイング拠点の所にケータイでメールを打っていた。打ち終わると送信してから、送信後留守電がないか確認していたけど、片方の手にあるスマホには情報端末として使っている。

「あれ?諸葉のケータイにスマホを持っているから二刀流なの?」

「ん?ああそうだ、仕事用と普段用に分けている。電話やメールはケータイで、主に情報探索とかにはスマホを使っている。ノーパソは流石に持って来れないからな」

「今時二刀流とは珍しいのね、私の電話番号とメルアド交換しましょう」

サツキと静乃はそれぞれケータイとスマホを取り出してから、互いのを赤外線通信で交換した。今は友人関係だろうとも、前世では恋仲と伴侶だったんだからな。それと一応沙紀のも交換しといた。サツキは両親以外だと桜花だけ交換したらしいので、久々の赤外線通信だった。俺のケータイには灰村諸葉として使っているので、簡単なプロフと番号とメルアドを交換した。勝った約束として、それぞれキスされたが俺は別にどうもしないのでこれでいいのかと思った。この後からの学園生活を少しエンジョイしたが、十日程続いた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧