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剣聖龍使いの神皇帝

作者:黒鐡
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第1巻
  人気者からの挑発×お昼休みでの会話

次の日から何やら教室の空気が変わったのは俺と沙紀だけであろうか?登校した俺と護衛者が教室に入ると、途端にクラス中の男女が振り返って俺の事を見たのだ。特に女子からの熱い視線ではあるが、顔は相変わらずポーカーフェイスにしてから席に着く。

「ねえねえ、灰村君♪」

すると女子の一人がそそくさに傍へとやってくる。他の女子達は抜け駆け無しだとかだったから、目の前にいる女子は気付いてなさそうだ。容姿に自信ありげな子で、大きなヘアバンドをしている。サツキや静乃の存在が無ければ目を惹いた事だろう。

「今日の放課後ヒマかな?もしよかったら光技の特訓に付き合って欲しいなあ~。色々教えて欲しいな~。もちろん終わったらちゃんとお礼するよ?一緒に晩御飯でも・・・・」

晩御飯という言葉で反応するが、生憎俺の夕食は零家で食べているから金には困っていない。ギブアンドテイクならしょうがないと思うが、二人っきりになるのはちょっとなーと思ったら。

「・・・・諸葉には先約があるわ」

幽霊のような登場の仕方で現れた静乃が、背後から肩を掴んで囁いた。ヘアバンドの子は、心臓鷲掴みされたみたいな感じとなり退散していった。

「油断も隙もないわね」

「静乃もな、それに晩飯を奢られる程度でも断りを入れるが?」

俺と静乃との関係は知っているが、同じクラスメイトとしては教えてやってもよかったが、サツキか静乃がお許しになればの話だがな。

「じゃあ私に闇術をコーチして?」

「俺がいくらイレギュラーでも限度があるぞ?」

「イレギュラーな力を見せて欲しいわ、・・・・と言いたい所だけど嵐城さんが見ているから席に戻るわ」

横目を見れば、教室後方のドアを開けたままの状態となり、サツキがこっちを見ていた。俺は何だ?と眼力を強くすると、何でもなかったかのようにさっさと席に着く。女子達からは唸るような気配があったり、今度は男子が光技のコーチをしてくれと頼まれるのか、女子達も一丸となって俺に頼み込んでくる。俺はまるで優等生のような空気を出していたら・・・・。

「気に食わねえな」

ガラッと開いた教室前方のドアからだったが、姿を現した雑魚である石動厳だった。睥睨するように教室を見回すと、浮かれた様子だった男女達が一斉に顔を背ける。女子達の妙な熱気や同じクラスメイトである男子達も雑魚から視線を逃れるように窮屈にする。

「石動クン、おはようございまっすー」

男子の中にはあからさまに腰巾着のような者もいたのを忘れていた。物騒な目でまだ教室を見渡していたが、席に移動し、座った。

「ムカつくなあ。俺と灰村に向けられる目が、なあんか違わねえかあ?おかしいなあ?」

どうも俺に対してムカついている様子だったので、席から立ち上がり雑魚のところに向かった。興味を失せるところだが、俺もこいつの態度に気に食わないので文句を言い返す。

「器の小さい事を言うから、安く見られるのが分からないくらいの馬鹿なのか?お前は」

「何だとぉこの野郎!」

たちまち雑魚が激高し、腰を浮かす。雑魚が殺気を籠った目で、俺を見るがそんな殺気を籠らせるなら殺気に謝れと言いたい程だ。睨み返し、一触触発ともなりそうだったが俺の殺気負けしたのか席に座り直す。

「たく、雑魚がいくら喧嘩売ろうが力量の違いが分からないんじゃ、立派な《救世主(セイヴァー)》に何かなれないぜ。何だったら早めにナンバーワンでも決めるか?こういうのはハッキリさせた方がいいと思うが」

「偉く高く言ったなあ!灰村!」

言った直後に田中教師が来たので、俺と石動のバトルは今度決着付ける事にした。そこで空気が変わってから、授業に戻った。昼休みとなり、俺らはサツキと静乃と護衛者沙紀と中庭の芝生に座って食べていた。俺と沙紀は弁当箱があるが、二人は食堂が混んでいたのでテイクアウトで食べていたけど。

「それにしてもホントに大丈夫なの?諸葉」

「アイツと決着付けるっていうアレか。無論だ、あんな半端者が《救世主(セイヴァー)》になったとしても瞬殺されるのがオチだ」

「諸葉様には諸葉様の考えがありますが、それについては肯定します。調子者を放っておくと後が怖いですから」

「勝てる要素はあるのかしら?」

気分は爽快でサツキの代わりとして言ったのか、サツキは俺が発言した事で、スッキリしていた。誰がナンバーワンかここで決めるというのは想定内だったけど、あんなのが最強だとは言わせたくない。こちらとしては上から目線だったので、相手を怒らせたが問題はない。だからなのか、サツキは午前の授業に身が入ったというけど、ガリ勉みたいなのはやめろと。ここは授業料タダなのだから。

「それにここは普通の高校とは違うのだから、余りケチるの後が怖いぞ」

「それは私が悪いけど、諸葉がプライドを持って言ったから、あたしにとってはスッキリしたかも」

サンドイッチを食べた後にオレンジジュースを飲んでいたら全然冷えてなかったそうだ。確かに冷えてないジュースはまずいが、今更どうしろと。

「貸して。冷やしてあげるわ」

「??どうすんの漆原?」

サツキは首を傾げつつパックを渡すと、静乃はそれを左手で受け取ると右手であらぬ方向を指差す。

「綴る、氷の子よ 雪の童よ そなたの息吹を貸しておくれ 小さな息吹で凍えさせておくれ」

これはあれか、黒魔が使う闇術か。指差しではなく、そこに黒板があるかのようにして人差し指で光の文字を描き出す。この地球には存在しない言葉ではあったが、俺的な解釈だと呪文に近い。魔法の国の言葉で、唱え、綴る間、周囲が僅かに暗くなって、空を覆う物がなきこの中庭で怪現象。静乃が体内の魔力を高める事で、自然界の力を吸い込み己の望む力に変換する。力=エネルギーではあるが数秒で一行の文章を綴りが終わると、〆として文章をトンと叩く。流れるようにして、パックの中へ消えていったけど。

「はい、冷たくなったわ」

「ちべたっ!」

静乃が無造作にサツキの頬にパックを当て、サツキが驚く程飛び退く。

「氷の第一階梯闇術の威力調整アレンジバージョンか」

「闇術!?ってそれ黒魔が使う!?」

俺が確認のために言った事で、サツキが叫んだと思えば、静乃が無言で肯定した。するとサツキはアンセスタルアーツをここで使ってはいけない事を言い出した。確かに使っていいのは、実技の時間とやむを得ない状況となった時のみだと校則に書いてある。また異端者が出たら、それも使っていい事になっている。

「お前ら落ち着け、今は誰も見ていないが静乃がここでやると少し無駄となる」

そう言ってから、俺の飲み物も冷えてないのを確認を取った所で、手をかざしただけでぬるい飲み物が冷えた飲み物となった事で流石の静乃でも驚いていた。スペリング無しで魔法を使ったが、闇術ではないとな。

「ただ手をかざしただけで、飲み物が冷たくなるなんて!」

「ホントにあなたは闇術を使ってないの?」

「使ってない。これは魔法ではあるが、闇術とは言わない。第一スペリング無しでやってみせただろうに」

弁当を置いてから、掌に炎や風を出現させてから、再び食べているがここで静乃がカレーパンを食べていたので一口いる?と聞かれたので頷くとあーんをしたのだった。だったらと言って今度はサツキが持っていたサンドイッチをあーんしてもらったが、ここのは美味いと思った。

「今度は俺の弁当にあるおかずを食うか?」

「うん!あーん・・・・もぐもぐ!こ、これは!」

「どうしたの?嵐城さんが食べたのなら私にも『もちろん』あーん・・・・もぐもぐ!美味しいけど、何故か女のプライドを破壊するかのような味ね」

静乃が感想を言うとサツキはそれよそれ!と言っていたので、沙紀はあーあという顔をしていたが、この弁当は俺の味を料理人に教えたもんだから。自動的にここのよりもとても美味しいという。蒼い翼本社レストランで食べたランチも俺のを素にして作られているから、俺以上なスキル持ちは早々いない。 
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